『若草物語』は、アメリカの作家ルイーザ・メイ・オルコットが1868年に発表した長編で、南北戦争で父が出征している家に残されたマーチ家の四姉妹が、貧しいクリスマスから1年を過ごす物語です。注意したいのは、日本で「若草物語」と呼ばれる本が全部で4作あり、文庫で売られている『若草物語』はそのうち1作目だけだという点です。この記事では、あらすじ・読みどころに加えて、4作の読む順番と訳の違いを整理します。
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- 1868年刊・南北戦争下の四姉妹の1年を描く長編
- 続編を含めた「若草物語」は全4作
- 文庫は新潮(480円)と光文社古典新訳(1,260円)
若草物語とは|作者自身の姉妹がモデルになった小説
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | ルイーザ・メイ・オルコット(1832-1888) |
| 原題 | Little Women |
| 原著刊行 | 1868年 |
| 舞台 | 南北戦争期のアメリカ北部 |
| 主人公 | マーチ家の四姉妹(メグ・ジョー・ベス・エイミー) |
| 日本語版 | 新潮文庫(松本恵子訳)/光文社古典新訳文庫(麻生九美訳) ほか |
出典:openBD、Wikipedia「若草物語」(2026年9月20日時点)
大事件が起きる小説ではありません。家事、手作りの贈り物、隣家との行き来、病気、小さな喧嘩——四姉妹の1年が、季節の順に積み上がっていきます。
若草物語の読む順番|「若草物語」は全部で4作ある

日本語で「若草物語」と名のつく本は、オルコットが書いた連続する4作を指します。
| 順番 | 邦題 | 原題 | 原著刊行 | 内容 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 若草物語 | Little Women | 1868年 | 四姉妹の1年。文庫の『若草物語』はここ |
| 2 | 続 若草物語 | Good Wives | 1869年 | 姉妹が大人になり、それぞれの道へ進む |
| 3 | 第三若草物語 | Little Men | 1871年 | ジョーが開いた学校と子どもたち |
| 4 | 第四若草物語 | Jo’s Boys | 1886年 | 学校の子どもたちのその後 |
出典:Wikipedia「若草物語」(2026年9月20日時点)
刊行順に読めば問題ありません。1作目だけでも1年分の物語として完結しているので、そこで止めても構いません。
ただし、姉妹の結婚や進路を知りたい場合は2作目『続 若草物語』まで必要です。映像化作品の多くは1作目と2作目をまとめて扱っているため、「映画で観た場面が文庫に無い」ということが起こります。
若草物語のあらすじ|プレゼントのないクリスマスから始まる

四姉妹それぞれの不満
物語は、「プレゼントのないクリスマスなんて」という長女メグの言葉から始まります。
- メグ(長女)——きれいな服と裕福な暮らしに憧れる
- ジョー(次女)——気が強く、作家になりたい。本作の中心
- ベス(三女)——内気で、ピアノを弾く
- エイミー(四女)——美しいものが好きで、上昇志向がある
父は従軍牧師として戦地におり、家には母と四人だけです。
隣家の少年ローリーと出会う
隣の屋敷に住む少年ローリーと知り合い、姉妹の世界が少し広がります。
とくにジョーとローリーは、性格が似た友人同士になります。
一年のあいだに起こること
原稿を燃やされる喧嘩があり、父の危篤の知らせがあり、ベスが猩紅熱にかかります。
大きな悲劇として描かれるのではなく、家の中の出来事として淡々と書かれるのがこの作品の書き方です。
若草物語の3つの読みどころ

1. ジョーが「女らしさ」から外れ続ける
ジョーは走り、口論し、髪を売り、小説を書いて稿料を得ます。
1868年の小説で、主人公が家庭の外で金を稼ぐ場面が肯定的に書かれていることが、この作品を現在まで残した理由のひとつです。
作者オルコット自身が、家計を支えるために書いた作家でした。
2. 四人の望みが噛み合わない
姉妹は仲が良いのですが、欲しいものがそれぞれ違い、しかもぶつかります。
メグは階級を上がりたい、ジョーは家を出たい、エイミーは認められたい。
同じ家で育った四人が同じ方向を向かないことを、この小説は隠しません。
3. 読者がジョーの選択に納得しない歴史がある
1作目のあとで起こるジョーの選択は、刊行当時から読者の抗議を受け続けてきました。
作者が読者の要望と折り合いをつけながら続編を書いた経緯そのものが、この作品の一部になっています。
1作目だけを読んで止めるか、2作目まで進むかで、受け取るものが変わります。
若草物語の訳の選び方
現在入手しやすいのは次の2つです。
| 文庫 | 訳者 | ISBN | 本体価格 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 新潮文庫 | 松本恵子 | 9784102029039 | 480円 | 1986年12月刊。訳文は刊行当時の言い回しが残る |
| 光文社古典新訳文庫 | 麻生九美 | 9784334753634 | 1,260円 | 2017年10月刊。現代の日本語で読める |
出典:openBD(2026年9月20日時点)
現代の言葉で通読したいなら光文社古典新訳文庫、価格を抑えるなら新潮文庫です。どちらも1作目(Little Women)の全訳です。
若草物語の読了時間と難易度
文庫1冊で4〜6時間が目安です。
入り組んだ仕掛けや時系列の操作はありません。章ごとに小さなエピソードが完結するため、少しずつ読んでも筋を見失いません。
小学校高学年から読めますが、姉妹が抱える階級意識や結婚観は19世紀のものです。そこを歴史として読めるかどうかで、印象がかなり変わります。
若草物語に関するよくある質問
文庫の『若草物語』を読めば全部読んだことになりますか
なりません。文庫の『若草物語』は4作あるうちの1作目(1868年・Little Women)です。姉妹の結婚やその後は『続 若草物語』(1869年・Good Wives)以降に描かれます。
何作目まで読めばいいですか
1作目だけで1年分の物語として完結します。姉妹のその後まで知りたいなら2作目まで、ジョーが開いた学校の話まで追うなら3作目・4作目へ進みます。
どの訳がおすすめですか
現代の日本語で読むなら光文社古典新訳文庫(麻生九美訳)、価格重視なら新潮文庫(松本恵子訳)です。
映画を観てから読んでも大丈夫ですか
大丈夫です。ただし映像化作品は1作目と2作目をまとめて描くことが多く、文庫1冊には映画の後半が入っていません。
子どもが読めますか
小学校高学年から読めます。児童書レーベルの版もあります。当サイトでは児童書・YA小説の枠で扱っています。
まとめ|1年分の家の中の出来事が、そのまま小説になっている
- 『若草物語』は南北戦争下のアメリカで、父不在の家に残された四姉妹の1年を描いた1868年の長編
- 日本で「若草物語」と呼ばれる本は全4作。文庫で売られているのは1作目だけ
- ジョーが家の外で書いて稼ぐ場面が肯定的に描かれることが、この作品を残した
- 訳は光文社古典新訳文庫(現代語・1,260円)と新潮文庫(480円)の2択
続きが気になったら『続 若草物語』へ進んでください。姉妹の話はそこから先が長いです。
長編や積んだままの本ほど、聴くと最後までたどり着けます。
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