『アンネの日記』は、ナチス占領下のオランダ・アムステルダムで隠れ家に潜んだ13歳から15歳の少女、アンネ・フランクが残した日記です。エッセイ・ノンフィクションとして世界でもっとも読まれた1冊ですが、同じ題名で中身の違う版が3世代あります。いま文春文庫で流通しているのは「増補新訂版」で、これは従来版とも「完全版」とも中身が違います。この記事では、内容と読みどころに加え、買うときに何を見ればいいのかを解説します。
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- 文春文庫・608ページ(深町眞理子訳)
- 「完全版」に新発見の5ページを加えた版
- 同じ題名で中身の違う版があるので要確認
アンネの日記とは|隠れ家に潜んだ2年余りの記録
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | アンネ・フランク(1929-1945) |
| 訳者 | 深町眞理子 |
| 現行版 | 増補新訂版(文春文庫)2003年4月10日・608ページ・1,122円(税込) |
| ISBN | 978-4-16-765133-6 |
| 単行本 | 増補新訂版(文藝春秋)2003年4月・本体1,900円・ISBN 978-4-16-359610-5 |
| 書かれた時期 | アンネが13歳から15歳にかけて |
出典:文藝春秋『アンネの日記 増補新訂版』(文春文庫)、openBD(2026年9月22日時点)
608ページあります。日記なので通して一気に読む必要はありませんが、分量としては小説1冊分をはるかに超えます。
アンネの日記の内容|何が書かれているのか

隠れ家の生活が、日付順に記録される
アンネの一家は、ナチスの迫害を逃れて建物の一角に隠れ住みます。
そこには別の一家と歯科医が加わり、大人と子どもが狭い空間で暮らすことになります。
日記に書かれるのは、事件よりも日々の摩擦です。食べ物、物音を立てられないこと、同居人との衝突、そして家族への感情。
親との関係が、率直に書かれている
この日記が読み継がれている理由の一つが、親に対する評価が容赦なく書かれている点です。
文藝春秋の紹介では、この版について編集者が次のように書いています。
「アンネの日記」が2種類存在したことはあまりにも有名だ。その2つを編集した〈完全版〉に、さらに新たに発見された日記を加えた〈増補新訂版〉が誕生した
「2種類存在した」というのが、この本を理解する鍵です。次の見出しで詳しく見ます。
将来の夢が書かれている
アンネは作家になりたいと書いています。
日記を本にするつもりで、自分で書き直しもしていました。
これが「2種類の日記」の正体です。
アンネの日記で知っておくべき3つのこと

1. 日記は「自分用」と「公開用」の2種類がある
アンネは日記をつけたあと、戦後に本として出すことを想定して自分で書き直しを始めていました。
つまり手元には、
- 自分用の日記(もとの記述)
- 公開用に書き直した日記(アンネ自身が手を入れたもの)
の2系統が残ったのです。
2. 最初に世に出た版は、父親が削った版だった
戦後、日記を出版したのは唯一生き残った父オットー・フランクです。
彼は削除した部分があり、それが長く読まれてきた「アンネの日記」でした。
3. いま流通しているのは、削除を戻して5ページを足した版
文藝春秋の説明は次のとおりです。
自分用と公開用の二種の日記に父親が削っていた部分を再現した『完全版』に新たに発見された五頁を追加
整理すると、版は3世代あることになります。
| 世代 | 中身 |
|---|---|
| 従来版 | 父オットーが編集し、一部を削除した版 |
| 完全版 | 2種類の日記を統合し、削られていた部分を再現した版 |
| 増補新訂版 | 完全版に、新たに発見された5ページを追加した版(現行) |
「アンネの日記」という同じ題名の本を買うとき、見るべきは訳者ではなく版です。
アンネの日記はどれを買えばいいか

| 版 | 判型 | 刊行 | ページ | 価格 |
|---|---|---|---|---|
| 増補新訂版(文春文庫) | 文庫 | 2003年4月10日 | 608ページ | 1,122円(税込) |
| 増補新訂版(単行本) | 単行本 | 2003年4月 | — | 本体1,900円 |
出典:文藝春秋(文春文庫)、同(単行本)、openBD(2026年9月22日時点)
これから買うなら「増補新訂版」と表紙や書誌に書かれているものを選んでください。訳はいずれも深町眞理子です。中古で安い「アンネの日記」を見つけた場合、それが従来版であれば父が削除した部分が入っていません。
アンネの日記の読了時間と読み方
608ページありますが、日記なので途中で止めやすい構造です。通読の目安は10〜14時間。
読み方のコツが3つあります。
- 日付を追わない——連続したドラマではないので、拾い読みでも成立します
- 同居人の名前を最初にメモする——人数が多く、途中で混乱しやすいです
- 終わり方を知っておく——日記は途中で終わります。物語のような結末はありません
記録として読む本です。読後に事実関係を確認したくなったら、夜と霧のような同時代の証言と並べて読むと輪郭が出ます。
アンネの日記に関するよくある質問
「増補新訂版」と「完全版」はどう違いますか
完全版は、自分用と公開用の2種類の日記を統合し、父親が削っていた部分を再現した版です。増補新訂版は、その完全版に新たに発見された5ページを追加したものです(文藝春秋の説明による)。
なぜ日記が2種類あるのですか
アンネ自身が、戦後に本として出すことを考えて公開用に書き直していたためです。もとの日記と書き直した日記の両方が残りました。
何ページありますか
文春文庫の増補新訂版で608ページです。日記形式なので、少しずつ読み進められます。
訳者は誰ですか
深町眞理子です。文春文庫の増補新訂版・単行本とも同じ訳者です。
中古で安いものを買っても大丈夫ですか
版を確認してください。「増補新訂版」と書かれていないものは、父オットーが削除した部分が入っていない従来版の可能性があります。
まとめ|訳者ではなく「版」で選ぶ1冊
- 『アンネの日記』は隠れ家で書かれた13〜15歳の記録で、608ページある
- 日記には自分用と公開用の2種類があり、最初に出た版は父が一部を削除していた
- 現行の増補新訂版は、完全版に新発見の5ページを加えたもの
- 買うときに見るのは訳者ではなく版の表記
同じ題名で中身が違う本はそう多くありません。「増補新訂版」の4文字を確認してから買う——それがこの本のいちばん実用的な知識です。
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