『VS.シャングリラ』は、『死刑にいたる病』などで知られる櫛木理宇の長編で、2026年10月9日に祥伝社から出ます。四六判ソフトカバー360ページ。女性専用の回復支援施設が、”正義”を振りかざす暴徒に襲われるという設定です。版元は本作を「善意に潜む加虐性が露わになる極限の密室劇」と打っています。この記事では、あらすじと読みどころ、そして本書の発売日が資料によって3つある理由を整理します。
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※本記事は発売前に公表された情報にもとづいています。
- 2026年10月9日・祥伝社・360ページ・2,310円(税込)
- 女性専用の回復支援施設を舞台にした密室劇
- 主人公は睡眠薬依存症に陥った元俳優・宮原鞆子
VS.シャングリラとは|祥伝社の四六判ソフトカバー360ページ

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 櫛木理宇 |
| 版元 | 祥伝社(祥伝社単行本・小説) |
| 発売日 | 2026年10月9日 |
| 奥付の初版年月日 | 2026年10月20日 |
| 判型・頁 | 四六判ソフトカバー・360ページ |
| 価格 | 2,310円(税込・本体2,100円) |
| ISBN | 978-4-396-63700-2 |
| Cコード | C0093(一般・単行本・日本文学、小説・物語) |
出典:祥伝社 s-book.net 書誌詳細、版元ドットコム(祥伝社登録データ)、国立国会図書館サーチ(2026年10月3日時点)
発売日が3つある|10月7日・10月9日・10月20日
本書は、どの資料を見るかで発売日が変わります。
| 日付 | その日付が書かれている場所 | 何の日付か |
|---|---|---|
| 2026年10月7日 | ネット書店の予約ページ | 入荷・配送の予定日 |
| 2026年10月9日 | 祥伝社公式(s-book.net)/版元ドットコムの「発売予定日」 | 書店発売日 |
| 2026年10月20日 | 版元ドットコムの「初版年月日」/国立国会図書館サーチ | 奥付に刷られる初版の日付 |
出典:祥伝社 s-book.net 書誌詳細、版元ドットコム(2026年10月3日時点)
買うときに見るべきは「書店発売日」=10月9日です。奥付の10月20日は、本に印刷される初版の日付で、書店に並ぶ日とは別物です。11日ずれているのは、日本の出版流通では珍しくありません。本記事では版元が公式に「発売日」と表示している10月9日を発売日として扱います。
VS.シャングリラのあらすじ|施設に逃れた女性たちと、襲ってくる「正義」

主人公は睡眠薬依存症に陥った元俳優
宮原鞆子(みやはら ともこ)は、十代で人気を博した元俳優です。支配的な母親と、世間が抱くイメージに苦しみ、睡眠薬依存症に陥りました。
舞台は女性専用の回復支援施設
鞆子が入居するのは女性専用の回復支援施設です。そこには夫のDVから逃れた母子も身を寄せています。
ある晩、「歪んだ正義」を掲げた暴徒が襲撃する
ある晩、歪んだ正義を掲げた暴徒が、依存症の母親から子供を”奪還”しようと施設を襲撃します。
鞆子は立ち上がり、そして死体が見つかる
かつて演じた孤島のサバイバルドラマ『シャングリラ』の完璧なヒロインと、自分との落差に苦しみ、自らを否定し続けてきた鞆子は、入居者と子供たちを守るため立ち上がります。
だが、逃げ惑う施設内で入居者の死体が見つかり、仲間への疑心が生まれ――。
出典:版元ドットコム(祥伝社登録データ)の内容紹介(2026年10月3日時点)
版元の惹句は、こうです。
「全員で逃げ切ろうね?」
「傷を抱え施設に逃れてきた女性たちは、互いに手を取り合った――はずだった。一人の死体が見つかるまでは……。」
出典:版元ドットコム(祥伝社登録データ)(2026年10月3日時点)
「手を取り合った――はずだった」という過去完了の言い方が、この小説の構造を言い当てています。
VS.シャングリラの3つの読みどころ

1. 加害者が「正義」の側から来る
本作の襲撃者は、強盗や通り魔ではありません。「依存症の母親から子供を”奪還”しよう」とする人たちです。
子供を守るという目的そのものは、正しさの形をしています。版元が「善意に潜む加虐性」と書いているのは、ここを指しています。悪意ではなく善意が、暴徒の動機として置かれているのが本作の仕掛けです。
依存症の親から子を引き離すべきかという問いは、現実にも賛否が分かれるものです。本作はその問いを、引き離される側が籠城している建物の外から、暴徒の形でやってくるという設定に変換しています。
2. 「完璧なヒロインを演じた人」が主人公である意味
鞆子は孤島のサバイバルドラマ『シャングリラ』で完璧なヒロインを演じた元俳優です。書名の「VS.シャングリラ」は、この役と戦うという意味に読めます。
| 対比 | ドラマ『シャングリラ』の役 | 現実の宮原鞆子 |
|---|---|---|
| 置かれた場所 | 孤島 | 閉ざされた支援施設 |
| 役割 | 完璧なヒロイン | 睡眠薬依存症の元俳優 |
| 周囲との関係 | 生き延びるために協力 | 死体が出て仲間を疑う |
同じ「閉ざされた場所で生き延びる話」を、虚構と現実の二重で走らせている構造です。演じたヒロインのようには振る舞えない人間が、それでも立ち上がるという筋立てになっています。
3. 櫛木理宇の得意分野である「集団の崩れ方」
櫛木理宇は、閉じた集団が内側から壊れる話を書き続けてきた作家です。
| 作品 | 閉じているもの |
|---|---|
| ホーンテッド・キャンパス(デビュー作) | 大学のオカルトサークル |
| 鵜頭川村事件 | 外界から切り離された村 |
| 死刑にいたる病 | 死刑囚と面会者の二人きりの関係 |
| 少女葬 | 居場所をなくした少女たちの集まり |
| VS.シャングリラ | 襲撃されて籠城する支援施設 |
出典:新潮社 著者紹介(2026年10月3日時点)。各作の題材は版元公表のあらすじにもとづく要約です。
『鵜頭川村事件』が「外から切り離された集団」の崩壊を書いたのに対し、本作は「外から攻撃される集団」の崩壊です。災害で孤立するのではなく、意図を持った人間に囲まれるという違いがあります。
なお代表作『死刑にいたる病』は、2015年7月に『チェインドッグ』として刊行され、2017年10月にハヤカワ文庫JAで改題文庫化された作品です。2022年5月6日に白石和彌監督・阿部サダヲ主演で映画化されています。
櫛木理宇はどんな作家か|同じ年に2つの新人賞を受けている
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 生年・出身 | 1972年・新潟県 |
| デビュー | 2012年『ホーンテッド・キャンパス』で日本ホラー小説大賞読者賞 |
| 同年の受賞 | 『赤と白』で小説すばる新人賞 |
| 代表作 | 『死刑にいたる病』『鵜頭川村事件』『少女葬』『殺人依存症』ほか「依存症」シリーズ、『七月の鋭利な破片』 |
出典:新潮社 著者紹介(2026年10月3日時点)
2012年に、ホラーの賞と文芸の新人賞を同じ年に受けているのが経歴の特徴です。ホラーとミステリーの両側から書ける作家です。
VS.シャングリラに関するよくある質問
VS.シャングリラの発売日はいつですか
2026年10月9日です。祥伝社公式(s-book.net)と版元ドットコムの「発売予定日」がこの日付です。版元ドットコムの「初版年月日」と国立国会図書館サーチは2026年10月20日を記載していますが、これは奥付に刷られる初版の日付で、書店に並ぶ日とは別です。
シリーズものですか。前に読むべき本はありますか
単独の長編です。版元の書誌情報にシリーズ表記はなく、前提となる既刊はありません。本作から読み始められます。
ホラーですか、ミステリーですか
版元は「極限の密室劇」と書いています。閉ざされた施設で死体が見つかり、仲間への疑心が生まれるという筋立てなので、密室ミステリーの構造を持ちます。ただし著者は日本ホラー小説大賞読者賞でデビューした書き手で、襲撃の描写は暴力的になることが想定されます。
「シャングリラ」とは何ですか
作中で主人公が過去に出演したドラマの題名です。版元の内容紹介によると、孤島を舞台にしたサバイバルドラマで、鞆子はそこで「完璧なヒロイン」を演じました。書名の「VS.シャングリラ」は、その役と現在の自分との落差を指していると読めます。
ページ数と読了時間はどれくらいですか
四六判ソフトカバー360ページです。長編1本なので、通しで6〜7時間が目安です。
櫛木理宇を初めて読みます。どれから読むべきですか
本作から入れます。作風を先に知りたい場合は『死刑にいたる病』(2015年刊『チェインドッグ』の改題。2022年5月に白石和彌監督・阿部サダヲ主演で映画化)が入口として知られています。閉じた集団が壊れる話で比べたいなら『鵜頭川村事件』が本作に構造が近い位置にあります。
まとめ|「子供を守るため」が暴力の動機になる話
- 『VS.シャングリラ』は2026年10月9日・祥伝社・四六判ソフトカバー360ページ・2,310円(税込)
- 奥付の初版年月日は10月20日。書店発売日(10月9日)とは11日ずれる
- 主人公は睡眠薬依存症に陥った元俳優・宮原鞆子。舞台は女性専用の回復支援施設
- 「依存症の母親から子供を”奪還”する」という正義を掲げた暴徒が施設を襲撃する
- 襲撃のさなかに入居者の死体が見つかり、仲間への疑心が生まれる
- 版元の位置づけは「善意に潜む加虐性が露わになる極限の密室劇」
襲ってくる側が、自分を正しいと思っている。そこが本作の核です。閉ざされた場所で誰を疑うかという密室劇と、何が正義かという問いが同時に走る小説として手に取るのが正解です。




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