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猿の戴冠式 小砂川チト レビュー|第170回芥川賞候補・三島賞候補作 あらすじ・読みどころ・合本文庫完全ガイド【2026年最新】

2026 9/29
ジャンル別 純文学 芥川賞
2026年9月13日2026年9月29日
猿の戴冠式(小砂川チト・人間の女の皮を剥ぎ取る)レビュー記事のアイキャッチ画像

『猿の戴冠式』は、小砂川チトが書いた純文学で、ある事件以降引きこもっていたしふみが、テレビ画面のなかに「おねえちゃん」を見つけ、言葉を機械学習させられた過去をもつボノボ「シネノ」と魂をシンクロさせていく作品です。第170回芥川賞・第37回三島由紀夫賞・第46回野間文芸新人賞の候補になりました。この記事では、あらすじ・読みどころ・合本文庫での入手方法まで紹介します。

※本ページはアフィリエイトリンクを含みます。

『猿の戴冠式』をAmazonでチェック
  • 第170回芥川賞・三島由紀夫賞・野間文芸新人賞の3賞候補
  • 2026年6月に『家庭用安心坑夫』との合本文庫が出た
  • 合本文庫935円。単行本2冊(3,300円)より安く2作読める

Amazonで猿の戴冠式を見る →

目次

猿の戴冠式とは|3賞の候補になった2作目

項目 内容
著者 小砂川チト(1990年生まれ・岩手県盛岡市出身)
初刊 講談社・2024年1月19日・144ページ・定価1,760円(ISBN 978-4-06-534695-2)
文庫 講談社文庫『家庭用安心坑夫/猿の戴冠式』・2026年6月12日・288ページ・定価935円(ISBN 978-4-06-543765-0)
初出 『群像』2023年12月号
候補 第170回芥川賞/第37回三島由紀夫賞/第46回野間文芸新人賞(いずれも2024年・受賞ではありません)

出典:講談社『猿の戴冠式』製品詳細、同『家庭用安心坑夫/猿の戴冠式』、国立国会図書館サーチ、Wikipedia『小砂川チト』(2026年9月13日時点)

3つの賞の候補になりましたが、いずれも受賞はしていません。著者が芥川賞を受けたのは次の作品、第175回の『ゾンビ回収婦』です。本作はデビュー作『家庭用安心坑夫』に続く2作目で、2度目の芥川賞候補にあたります。

猿の戴冠式のあらすじ|テレビの中に「おねえちゃん」を見つける

猿の戴冠式 の物語の入り口を順に示した図

引きこもっていた、しふみ

主人公のしふみは、ある事件以降、引きこもっていました。

画面のなかの「おねえちゃん」

そのしふみが、テレビ画面のなかに「おねえちゃん」を見つけます。

それをきっかけに、動植物園へ行くことになります。

ボノボ「シネノ」との邂逅

そこで出会うのが、言葉を機械学習させられた過去のある類人猿ボノボ「シネノ」です。

しふみはシネノと魂をシンクロさせ、交歓していきます。

剥ぎ取りたいのは、人間の女の皮

作中にはこう書かれます。

「女がいますぐ剥ぎ取りたいと思っているものといえば、それは〈人間の女の皮〉にちがいなかった」。

「女とシネノは同じだった」——ガラスの向こうに立つボノボと、人間の〈ふり〉をする女が重なっていきます。

猿の戴冠式の3つの読みどころ

猿の戴冠式 の3つの読みどころをまとめた図

1. 題名が作中の詩句で回収される

冒頭に置かれるのは、「いい子のかんむりは/ヒトにもらうものでなく/自分で/自分に/さずけるもの」という一節です。戴冠——冠を授ける行為が誰の手によるものかという問いが、そのまま題名になっています。

2. 言葉を教えられた猿という設定の使い方

シネノは言葉を機械学習させられた過去を持ちます。人間の言葉を与えられた存在と、人間の〈ふり〉をして生きる女が、どちらも「本来の自分でない振る舞い」を課されている点で重なります。設定が比喩として最後まで機能します。

3. 交感が救いとして書かれないこと

しふみとシネノの魂のシンクロは、癒やしの物語には着地しません。ガラス越しという物理的な隔たりは最後まで残り、その距離が作品の緊張を保ちます。

猿の戴冠式の版と入手方法|合本文庫が最も安い

猿の戴冠式 の版や実績を比較した図
版 出版社 刊行 収録 定価
単行本 講談社 2024年1月19日・144ページ 猿の戴冠式 1,760円
単行本 講談社 2022年7月11日・128ページ 家庭用安心坑夫 1,540円
文庫(合本) 講談社文庫 2026年6月12日・288ページ 上記2作を同時収録 935円

2026年6月刊の合本文庫がいちばん合理的です。芥川賞候補になった2作がまとめて入って935円で、単行本2冊(合計3,300円)より安く済みます。町田康による「正気小説と狂気小説の間に設置された鉄板を外して、二つを混ぜた珍しい作品」という評は、この文庫版に寄せられたものです。

家庭用安心坑夫/猿の戴冠式 - 小砂川チト

家庭用安心坑夫/猿の戴冠式

小砂川チト|講談社文庫

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猿の戴冠式の読了時間と難易度

単行本で144ページ、一般的な読書速度で2〜3時間が目安です。

3作のなかでは最も詩的で、文章の密度が高い作品です。引用した詩句のように改行を多用する箇所があり、筋を追うだけの読み方だと手応えが薄くなります。逆に一文ずつ味わう読み方に向いており、短さのわりに読み終えるまで時間がかかることがあります。

猿の戴冠式に関するよくある質問

猿の戴冠式は芥川賞を受賞しましたか

受賞していません。第170回芥川賞の候補作です。第37回三島由紀夫賞・第46回野間文芸新人賞の候補にもなりましたが、いずれも受賞はしていません。

『家庭用安心坑夫』の続編ですか

続編ではありません。主人公も物語も別で、単独で読めます。

単行本と文庫、どちらを買うべきですか

2026年6月刊の講談社文庫は『家庭用安心坑夫』との合本で935円です。2作読むなら文庫のほうが安く済みます。

ボノボのシネノは実在しますか

作中の登場人物(類人猿)です。言葉を機械学習させられた過去をもつ設定で描かれます。

小砂川チトの他の作品はどれを読むべきですか

第175回芥川賞受賞作の『ゾンビ回収婦』と、デビュー作『家庭用安心坑夫』です。作品一覧は小砂川チトのおすすめ小説3選にまとめています。

『猿の戴冠式 小砂川チト』をKindleで読む

電子版はセールとポイント還元で実質の支払いが下がることがあります。紙と電子で価格が違うので、Amazonで確認してください。

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まとめ|冠は、誰かにもらうものではない

  • 『猿の戴冠式』は、引きこもっていたしふみが、言葉を教えられたボノボ「シネノ」と魂をシンクロさせる作品
  • 第170回芥川賞・第37回三島由紀夫賞・第46回野間文芸新人賞の候補(いずれも受賞ではない)
  • 人間の〈ふり〉をする女と、言葉を与えられた猿が重なる構造
  • 2026年6月の合本文庫(935円)で『家庭用安心坑夫』とまとめて読める

冠を自分で自分に授けるという冒頭の一節が、最後にもう一度効いてきます。

その一冊、“耳”で読むという手もあります

長編や積んだままの本ほど、聴くと最後までたどり着けます。

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猿の戴冠式・関連作品の読書ガイド

  • 小砂川チトのおすすめ小説3選
  • ゾンビ回収婦 レビュー(第175回芥川賞受賞作)
  • 家庭用安心坑夫 レビュー
  • 芥川賞 歴代受賞作と最新受賞作
ジャンル別 純文学 芥川賞
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  • 家庭用安心坑夫 小砂川チト レビュー|第65回群像新人文学賞のデビュー作 あらすじ・読みどころ・どの版を買うか完全ガイド【2026年最新】
  • 悪い血 鈴木涼美 レビュー|第175回芥川賞候補作 あらすじ・読みどころ・3度目の候補まで完全ガイド【2026年最新】

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