『折れた岬』は、『マレー鉄道の謎』で日本推理作家協会賞を受けた有栖川有栖の久々のノンシリーズ長編で、2026年10月に日本経済新聞出版から出ます。512ページ。日本経済新聞夕刊に連載された小説で、版元は「著者初の“白秋”小説」、そして「この作品はミステリなのか否か」と打っています。日経は連載を「ミステリーなのにひとりも死なない」と紹介しました。この記事では、あらすじと読みどころ、連載の経緯を整理します。
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※本記事は発売前に公表された情報にもとづいています。
- 2026年10月・日本経済新聞出版・512ページ・2,420円(税込)
- 日本経済新聞夕刊の連載小説
- 著者初の“白秋”小説/ひとりも死なない
折れた岬とは|本格ミステリの第一人者による久々のノンシリーズ長編
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 有栖川有栖(1959年・大阪府生まれ) |
| 版元 | 日経BP 日本経済新聞出版 |
| 発売日 | 2026年10月3日(書店発売日)/10月6日(版元告知の発行日) |
| 判型・頁 | 四六判・512ページ |
| 価格 | 2,420円(税込・本体2,200円) |
| ISBN | 978-4-296-12623-1 |
| Cコード | C0093(一般・単行本・日本文学、小説・物語) |
| 初出 | 日本経済新聞夕刊 連載(2024年6月21日開始/2025年9月完結) |
| 挿絵 | 大路浩実(連載時) |
| 舞台 | 南伊豆の架空の町 |
出典:版元ドットコム(日経BP登録データ)、日経BOOKプラス『折れた岬』、日本経済新聞「有栖川有栖『折れた岬』日経夕刊連載小説」(2026年9月29日時点)
発売日は資料によって2つあります。版元ドットコムとNDLサーチの書店発売日は10月3日、版元自身の日経BOOKプラスの発行日は10月6日です。店頭で探すなら10月3日以降が目安です。
版元の紹介文が、そのまま本作の宣言になっている
「本格ミステリの第一人者による久々のノンシリーズ長編は、青春小説ならぬ、著者初の“白秋”小説。そして、この作品はミステリなのか否か。」
出典:版元ドットコム(日経BP登録データ)(2026年9月29日時点)
「白秋」は人生の秋、壮年から老年にかかる時期を指す語です。青春(青い春)に対して置かれています。火村英生シリーズでも江神二郎シリーズでもない単発の長編で、しかも主人公が還暦過ぎという点が、この作家としては新しい組み合わせです。
折れた岬のあらすじ|引退した編集者が、9年前の失踪へ戻る

還暦過ぎでリタイアした敏腕編集者
主人公は、還暦過ぎまでミステリ畑で名を馳せた敏腕編集者です。日経の連載時の紹介では、滝原という名で登場します。
移り住んだのは、南伊豆の海が望めるロッジ
滝原はリタイアし、南伊豆の海が望めるロッジに移り住みます。舞台は南伊豆の架空の町です。
そのロッジは、覆面作家が消えた家だった
そこは、〈得体が知れない小説〉でのデビューに立ち合った覆面作家が、ある日忽然と消えた家でした。
あれから9年
不可解な失踪から9年。その謎を解くのは自分の使命だと、滝原は考えます。
出典:版元ドットコム(日経BP登録データ)の内容紹介、日本経済新聞 連載告知(2026年9月29日時点)
デビューに立ち合った編集者が、その作家の失踪を追う——つまり本作の探偵役は、事件の外にいる第三者ではなく、当事者の側にいた人間です。
折れた岬の3つの読みどころ

1. ひとりも死なないミステリである
日本経済新聞は連載をこう紹介しています。
「ミステリーなのにひとりも死なない。一風変わったミステリー小説」
出典:日本経済新聞(2026年9月29日時点)
版元が「この作品はミステリなのか否か」と自ら問いを立てているのは、ここに理由があります。謎は失踪であって殺人ではありません。
有栖川有栖は本格ミステリ作家クラブの初代会長を務め、『女王国の城』で本格ミステリ大賞を受けた作家です。その書き手が、死体の出ない長編を512ページ書いたという点が本作の見どころになります。
2. タイトルが4年前に浮かんで、中身は後から来た
著者は連載を終えた際、本作の出発点についてこう書いています。
「『折れた岬』というタイトルが浮かんだのは四年ほど前だったであろうか」
出典:日本経済新聞「「折れた岬」連載を終えて 有栖川有栖」(2026年9月29日時点)
さらに、そのときの状態をこう続けています。
「心に引っ掛かり、どういう物語なのかさっぱり判らなかったが、『いつかそういう長編小説を書くのだな』と思った」
出典:日本経済新聞(2026年9月29日時点)
題だけが先に立って、物語が分からないまま4年抱えていたということです。日本経済新聞から連載の依頼を受けたことが、これを書き出す契機になりました。
3. 新聞夕刊連載という形式と、その枠の重さ
本作は書き下ろしではありません。日本経済新聞夕刊の連載小説として、2024年6月21日に始まりました。挿絵は大路浩実が担当しています。
見落としやすいのはこの枠の性格です。直前の連載は朝井リョウ「イン・ザ・メガチャーチ」で、2024年6月20日に完結しました。その翌日からバトンを受けたのが本作です。
| 連載 | 作者 | 期間 |
|---|---|---|
| イン・ザ・メガチャーチ | 朝井リョウ | 〜2024年6月20日完結 |
| 折れた岬 | 有栖川有栖 | 2024年6月21日〜2025年9月完結 |
出典:日本経済新聞 連載告知ページ、日本経済新聞(2026年9月29日時点)
1年3か月の連載で、単行本は512ページです。一回分の区切りは細かいと見込まれます(単行本でどう構成し直されたかは発売後に確かめてください)。
折れた岬の読了時間と、有栖川有栖のどこに位置するか

512ページで、8〜10時間が目安です。元が夕刊連載なので、少しずつ進める読み方に向く形です。
有栖川有栖の既刊のなかでは、シリーズ外の単発長編という位置にあります。同じ作者の代表的なシリーズとは独立しているため、本作から読み始めても前提知識は要りません。
| 作品・シリーズ | 位置づけ | 受賞 |
|---|---|---|
| 月光ゲーム(江神二郎シリーズ) | 1989年のデビュー作 | — |
| マレー鉄道の謎(火村英生シリーズ) | 2003年 | 日本推理作家協会賞 |
| 女王国の城(江神二郎シリーズ) | 2008年 | 本格ミステリ大賞 |
| 火村英生シリーズ | — | 吉川英治文庫賞(2018年) |
| 折れた岬 | ノンシリーズ・“白秋”小説 | 2026年10月刊 |
出典:版元ドットコム(日経BP登録の著者プロフィール)(2026年9月29日時点)
折れた岬に関するよくある質問
折れた岬は火村英生シリーズですか
いいえ。版元は本作を「久々のノンシリーズ長編」と明記しています。火村英生シリーズ、江神二郎シリーズのいずれにも属しません。前提となる既刊はありません。
人は死にますか
日本経済新聞は連載を「ミステリーなのにひとりも死なない」と紹介しています。謎の中心は殺人ではなく、覆面作家の失踪です。
「白秋」とはどういう意味ですか
人生の秋、壮年から老年にかかる時期を指す語です。青春の対として置かれています。版元は本作を「青春小説ならぬ、著者初の“白秋”小説」と紹介しており、主人公が還暦過ぎの引退した編集者であることを指しています。
新聞連載と単行本で内容は違いますか
2026年9月29日時点で、加筆修正の有無は公表されていません。連載は2024年6月21日に始まり2025年9月に完結、単行本は512ページです。
発売日は10月3日ですか、10月6日ですか
資料によって異なります。版元ドットコムとNDLサーチの書店発売日は10月3日、版元自身の日経BOOKプラスの発行日は10月6日です。店頭では10月3日以降が目安になります。
有栖川有栖はどんな作家ですか
1959年・大阪府生まれ。同志社大学法学部卒業。1989年『月光ゲーム』でデビュー。2003年『マレー鉄道の謎』で日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)、2008年『女王国の城』で本格ミステリ大賞、2018年「火村英生」シリーズで吉川英治文庫賞、2022年に日本ミステリー文学大賞を受賞しています。本格ミステリ作家クラブ初代会長。近著に『濱地健三郎の奇かる事件簿』『日本扇の謎』があります。
まとめ|死体の出ない512ページを、本格の第一人者が書いた
- 『折れた岬』は2026年10月3日(書店発売日)・日本経済新聞出版・512ページ・2,420円(税込)
- 日本経済新聞夕刊の連載小説(2024年6月21日〜2025年9月/挿絵は大路浩実)
- 著者初の“白秋”小説で、久々のノンシリーズ長編
- 日経は「ミステリーなのにひとりも死なない」と紹介
- 還暦過ぎでリタイアした編集者が、9年前に消えた覆面作家の謎を追う
版元自身が「この作品はミステリなのか否か」と問いを立てています。答えを出しに行く本ではなく、その問いに付き合う本として手に取るのが正解です。




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