『靴と自転車』は、『ぼぎわんが、来る』でデビューした澤村伊智の短篇集で、2026年10月1日にKADOKAWAから出ます。248ページ、「はじめに」+8編。版元は「デビュー10周年を迎えたホラーの旗手」と紹介しています。表題作は、児童書版元である福音館書店のアンソロジーに書き下ろされた作品です。この記事では、収録作と読みどころを整理します。
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※本記事は発売前に公表された情報にもとづいています。
- 2026年10月1日・KADOKAWA・248ページ・2,035円(税込)
- 「はじめに」+8編の恐怖短篇集
- 表題作は福音館書店のアンソロジー初出
靴と自転車とは|デビュー10周年に出る恐怖短篇集
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 澤村伊智(1979年・大阪府生まれ/東京都在住) |
| 版元 | KADOKAWA(角川書店単行本) |
| 発売日 | 2026年10月1日 |
| 判型・頁 | 四六判・248ページ |
| 価格 | 2,035円(税込・本体1,850円) |
| ISBN | 978-4-04-811681-7 |
| Cコード | C0093(一般・単行本・日本文学、小説・物語) |
| 構成 | 「はじめに」+短編8編 |
出典:版元ドットコム(KADOKAWA登録データ)、KADOKAWA公式「靴と自転車」(2026年9月29日時点)
版元は本書をこう位置づけています。
「デビュー10周年を迎えたホラーの旗手が描く、恐怖の深淵を覗く物語たち。」
出典:版元ドットコム(KADOKAWA登録データ)(2026年9月29日時点)
澤村伊智は2015年に「ぼぎわんが、来る」(受賞時のタイトルは「ぼぎわん」)で第22回ホラー小説大賞〈大賞〉を受けてデビューしました。同じ賞の先行受賞作には『黒い家』(貴志祐介)や『夜市』(恒川光太郎)があります。
収録作(全9項目)
| # | 収録作 |
|---|---|
| — | はじめに |
| 1 | みてるよ |
| 2 | 靴と自転車(表題作) |
| 3 | すなばおじさんと、としょかんおじさん |
| 4 | 行かなかった遊園地と非心霊写真 |
| 5 | 赤い霧 |
| 6 | 頂戴 |
| 7 | さぶら池 |
| 8 | 墓 |
出典:KADOKAWA公式「靴と自転車」(2026年9月29日時点)
靴と自転車のあらすじ|版元が挙げる3編

版元紹介文は、8編のうち3編を名指しで紹介しています。
「靴と自転車」|青い子供靴を自転車の脇に置く同級生
同じ部活の三田は、通学用自転車の脇に、決まって青い子供靴を置きます。それは死んだ弟の靴らしい——。
冒頭に置かれた台詞が、こうです。
「あんたら、取り返しのつかないことしたんだから」
「赤い霧」|廃墟のニュータウンと、映らない霧
廃墟と化したニュータウンを訪れた心霊スポット突撃隊の三人組。深夜の廃マンションに現れたのは、カメラには映らない、不気味な赤い霧でした。
「さぶら池」|町中華の郵便受けを覗き込むもの
親から受け継いだ町中華を家族で懸命に守ってきた健作。不可解なものが店の郵便受けを覗き込んでいた日を境に、家族がおかしくなっていきます。
出典:版元ドットコム(KADOKAWA登録データ)の内容紹介(2026年9月29日時点)
靴と自転車の3つの読みどころ

1. 表題作は、児童書版元のアンソロジーに書き下ろされた
これが本書でいちばん見落とされやすい点です。表題作「靴と自転車」の初出は、KADOKAWAの雑誌ではありません。
井上雅彦編『こわい話の時間です 部分地獄』(福音館書店・2025年6月11日刊)への書き下ろしです。同書は書き下ろし9編のアンソロジーで、次の顔ぶれが並びます。
| 収録作家 |
|---|
| 黒史郎/太田忠司/加門七海/井上雅彦/斜線堂有紀/宇佐美まこと/澤村伊智/芦沢央/宮部みゆき |
出典:NDLサーチ『こわい話の時間です : 部分地獄』、福音館書店プレスリリース(2026年9月29日時点)
福音館書店は「ぐりとぐら」「だるまちゃん」の版元です。そこが仕立てた子ども向けの怪談アンソロジーに書かれた一編が、角川の四六判単行本の表題作として立っている——これが本書の成り立ちです。
「あんたら、取り返しのつかないことしたんだから」という一行が子どもに向けて書かれた枠のなかで置かれていたと知ると、読み方が変わります。
なお、残り7編の初出は2026年9月29日時点で公表されていません。KADOKAWA公式・版元ドットコムのいずれにも初出一覧の記載はありません。
2. 怖さの置き場所が「日常のすぐ隣」に寄っている
3編の舞台を並べると、通学用の自転車置き場・廃墟のニュータウン・町中華です。
| 収録作 | 舞台 | 異変の入口 |
|---|---|---|
| 靴と自転車 | 部活・通学路 | 自転車の脇の青い子供靴 |
| 赤い霧 | 廃マンション | カメラに映らない赤い霧 |
| さぶら池 | 家業の町中華 | 郵便受けを覗き込む「もの」 |
心霊スポットという「行く場所」の話は3編のうち1編だけで、残り2編は通学路と自宅兼店舗、つまり逃げ場のない場所です。版元が「恐怖の深淵を覗く」と書くとおり、覗くのは読者の側という構図になります。
3. 短編の名手としての10年が入っている
澤村伊智は長編のイメージが強い書き手ですが、短編で日本推理作家協会賞【短編部門】を受けています。
2019年、「学校は死の匂い」(角川ホラー文庫『などらきの首』所収)で第72回日本推理作家協会賞【短編部門】を受賞しました。ホラーの賞ではなくミステリの賞で短編が評価されている点が、この作家の短編の性格をよく示しています。
出典:版元ドットコム(KADOKAWA登録の著者プロフィール)(2026年9月29日時点)
靴と自転車の読了時間と、どこから読むか

248ページ・8編なので、1編あたり25〜30ページ前後の計算になります。通しで4〜5時間、1編ずつなら1日1編で8日分です。
短篇集なのでどこから読んでも構いませんが、「はじめに」が巻頭に置かれているため、著者が本書をどう束ねたかを先に読む形が想定されています。
澤村伊智を初めて読む場合も、本書から入れます。シリーズものではなく、前提となる既刊はありません。代表作の〈比嘉姉妹〉シリーズ(『ぼぎわんが、来る』『ずうのめ人形』など)とは独立しています。
靴と自転車に関するよくある質問
靴と自転車は長編ですか、短篇集ですか
短篇集です。「はじめに」+8編で、248ページです。
〈比嘉姉妹〉シリーズと関係はありますか
2026年9月29日時点で、版元の紹介文に〈比嘉姉妹〉シリーズとの関連は記載されていません。独立した短篇集として刊行されます。
表題作はこの本が初出ですか
いいえ。表題作「靴と自転車」は、井上雅彦編『こわい話の時間です 部分地獄』(福音館書店・2025年6月11日刊)への書き下ろしとして先に発表されています。残り7編の初出は公表されていません。
澤村伊智を初めて読みます。この本から入れますか
入れます。シリーズものではないため、前提となる既刊はありません。短篇集なので作風を測るのにも向きます。
澤村伊智はどんな作家ですか
1979年・大阪府生まれ、東京都在住。幼少時より怪談/ホラー作品に慣れ親しみ、岡本綺堂を敬愛しています。2015年に「ぼぎわんが、来る」(受賞時のタイトルは「ぼぎわん」)で第22回ホラー小説大賞〈大賞〉を受賞しデビュー。2019年、「学校は死の匂い」(角川ホラー文庫『などらきの首』所収)で第72回日本推理作家協会賞【短編部門】を受けています。ほかに『ずうのめ人形』『などらきの首』『ひとんち』『予言の島』などがあります。
まとめ|子ども向けアンソロジーに書かれた一編が、表題作になった
- 『靴と自転車』は2026年10月1日・KADOKAWA・248ページ・2,035円(税込)
- 「はじめに」+8編の恐怖短篇集
- 版元は「デビュー10周年を迎えたホラーの旗手」と紹介
- 表題作の初出は福音館書店『こわい話の時間です 部分地獄』(2025年6月11日)への書き下ろし
- 舞台は通学路・廃墟のニュータウン・町中華と、日常のすぐ隣
心霊スポットへ行く話より、帰ってこられない場所の話のほうが多いのが本書の配分です。表題作が子ども向けの枠で書かれた一編だと知ったうえで開くと、一行目の重さが変わります。




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