『七つ怪談 「オール讀物」奇譚』は、三津田信三の短篇集で、2026年10月28日に文藝春秋から出ます。2,310円(税込)・四六判上製256ページ。
先に2つだけ、検索して来た方がつまずきやすい点を書きます。ひとつ、収録は7編ではなく5編です。「七つ怪談」は3番目に置かれた表題作の題で、収録数ではありません。ふたつ、2026年5月に出た『七人怪談』(角川ホラー文庫)とは別の本です。あちらは三津田信三が他の6人に依頼して編んだアンソロジーで、三津田の自作は1編だけです。同じ年に、同じ著者名で、似た書名の本が5か月差で並びました。
この記事では、その2冊の違いと、収録5編の題、そして版元が掲げる「戦慄のロジカルホラー」という言葉の中身を一次情報で整理します。
※本ページはアフィリエイトリンクを含みます。
※本記事は発売前に公表された情報にもとづいています。
- 2026年10月28日・文藝春秋・2,310円(税込)・四六判上製256ページ
- 収録は5編。「七つ怪談」は表題作の題で、収録数ではありません
- 2026年5月の編著『七人怪談』(角川ホラー文庫)とは別の本
七つ怪談とは|「オール讀物」に書いた短篇を集めた単著

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 三津田信三(単著) |
| 版元 | 文藝春秋(単行本) |
| 発売日 | 2026年10月28日 |
| 判型・頁 | 四六判 上製・256ページ(上製カバー装) |
| 価格 | 2,310円(税込・本体2,100円) |
| ISBN | 978-4-16-392160-0 |
| Cコード | C0093(一般・単行本・日本文学、小説・物語) |
| ジャンル表記 | エンタメ・ミステリ(文藝春秋BOOKS) |
| 収録 | 5編 |
| 副題 | 「オール讀物」奇譚 |
出典:文藝春秋BOOKS『七つ怪談 「オール讀物」奇譚』、版元ドットコム(2026年10月7日時点)
副題の「オール讀物」は文藝春秋の小説誌です。版元の紹介は、その「オール讀物」から短篇の依頼を受けたところから始まったと説明しています。
老舗小説誌「オール讀物」から短篇の依頼を受けた三津田信三。何を執筆するか考えるうち、怪しい、そして妖しい記憶が脳の奥底からよみがえってきて――。
出典:文藝春秋BOOKS(2026年10月7日時点)
収録は5編。題は次のとおり
| # | 題 |
|---|---|
| 1 | ただのろうもの |
| 2 | 行逢峠 |
| 3 | 七つ怪談(表題作) |
| 4 | 赤錆び色の記憶 |
| 5 | 猿㾔孟(しらろぼう)様 |
出典:文藝春秋BOOKS(収録作欄)、版元ドットコム(収録作欄)(2026年10月7日時点)
版元の2か所で収録作が5編と一致します。 書名の「七つ」は本の構成を表す数ではありません。
「七」は収録数ではなく、作中のモチーフ
版元が最初に置く一文が、その答えになっています。
”「七」は決して縁起の良い数字ではない”
出典:文藝春秋BOOKS(2026年10月7日時点)
七を「縁起が悪い数」として扱うという宣言です。日本では七福神・七五三のように七は吉数として使われることが多く、それをわざわざ否定するところから表題作が立ち上がります。書名の数字は、数えるためではなく、ひっくり返すために置かれていると読めます。
七つ怪談と「七人怪談」の違い|同じ2026年に5か月差で出た別の本

ここが本作でいちばん間違えられる点です。 三津田信三の名前で、2026年に2冊、似た書名の怪談本が出ます。
| 七人怪談 | 七つ怪談(本作) | |
|---|---|---|
| 版元・レーベル | 角川ホラー文庫 | 文藝春秋(単行本) |
| 発売日 | 2026年5月25日 | 2026年10月28日 |
| 判型 | 文庫判 | 四六判 上製 |
| ページ | 384ページ | 256ページ |
| 価格(税込) | 1,122円 | 2,310円 |
| 三津田信三の立場 | 編著(企画・依頼・編纂) | 単著 |
| 収録 | 7編/7人 | 5編/1人 |
| ISBN | 978-4-04-117418-0 | 978-4-16-392160-0 |
出典:KADOKAWA『七人怪談』角川ホラー文庫、文藝春秋BOOKS『七つ怪談』(2026年10月7日時点)
「七人怪談」は三津田が他の6人に依頼したアンソロジー
ホラー界を牽引する三津田信三が、屈指のホラー小説の名手六人それぞれに相応しいテーマで「自分が最も怖いと思う怪談を」と依頼して編まれた戦慄のアンソロジー
出典:KADOKAWA『七人怪談』(2026年10月7日時点)
執筆陣は次の7人です。
| # | 著者 | 題 |
|---|---|---|
| 1 | 澤村伊智 | サヤさん |
| 2 | 加門七海 | 貝田川 |
| 3 | 名梁和泉 | 燃頭のいた町 |
| 4 | 菊地秀行 | 旅の武士 |
| 5 | 霜島ケイ | 魔々 |
| 6 | 福澤徹三 | 会社奇譚 |
| 7 | 三津田信三 | 何も無い家 |
出典:KADOKAWA『七人怪談』(収録作欄)(2026年10月7日時点)
『七人怪談』で三津田信三が書いているのは「何も無い家」1編だけです。当サイトでは筆頭に並ぶ澤村伊智『靴と自転車』のレビューを公開しています。
数字と収録数の関係が、2冊で逆になっている
| 書名 | 書名の数字 | 実際の収録 | 一致するか |
|---|---|---|---|
| 七人怪談 | 七人 | 7編/7人 | 一致する |
| 七つ怪談(本作) | 七つ | 5編/1人 | 一致しない |
「七人」は数が合っていて、「七つ」は合っていません。 先に『七人怪談』を手に取った人ほど、本作も7編だと思い込みやすい作りになっています。
→ 三津田信三の単著として読みたいなら本作、7人のアンソロジーとして読みたいなら『七人怪談』です。中身の重なりはありません。
七つ怪談の3つの読みどころ

1. 版元が掲げるのは「怖いだけでは終わらない」ロジカルホラー
「怖い」だけでは終わらない。戦慄のロジカルホラー!
出典:文藝春秋BOOKS(2026年10月7日時点)
「ロジカルホラー」という言い方に、本作の立て方が出ています。怪異を怪異のまま置かず、筋を通して扱うという宣言です。文藝春秋BOOKSが本作に付けているジャンル表記も「エンタメ・ミステリ」で、ホラーではなくミステリの棚に置かれています。
怪談集でありながら版元の分類がミステリという点は、買う前に知っておくと期待がずれません。純粋に「怖がらせる」ことだけを目的にした本として売られてはいません。
2. 「オール讀物」という発注元が、本の形を決めている
本作の副題は「オール讀物」奇譚です。雑誌名が副題に入るのは珍しい作りで、版元の紹介も「オール讀物から短篇の依頼を受けた」という経緯から書き出されています。
| 本作の作りで分かること | 内容 |
|---|---|
| 発注元 | 文藝春秋の小説誌「オール讀物」 |
| 執筆の起点 | 短篇の依頼を受けて何を書くか考えたところから |
| 版元紹介の語り | 著者本人が主語(「三津田信三。何を執筆するか考えるうち」) |
| 収録 | 5編・四六判上製256ページ |
版元の紹介文が、作家本人を主語にして書かれているのが特徴です。依頼を受けた作家が記憶を掘るうちに怪異に行き当たるという枠組みが、紹介文の時点で示されています。三津田信三は作家自身を語り手に据える作品を書いてきた作家で、本作の紹介もその型に沿っています。
ただし、各編が「オール讀物」の何年何月号に載ったのかは、2026年10月7日時点で版元が公表していません。 初出一覧は本で確認することになります。
3. 5編のうち2編の題に、読み方の難しい語が入る
| 題 | 読みの注意 |
|---|---|
| 猿㾔孟(しらろぼう)様 | 版元が括弧でルビを示している。漢字からは読めない |
| 行逢峠 | 版元はルビを示していない |
| ただのろうもの | — |
| 赤錆び色の記憶 | — |
| 七つ怪談 | — |
出典:文藝春秋BOOKS(収録作欄)(2026年10月7日時点)
「猿㾔孟」には版元自身がルビを振っています(しらろぼう)。㾔 は常用漢字ではなく、環境によって表示が崩れることがある字です。ネット書店の商品名で字が化けている場合があるので、検索するときはISBNで探すのが確実です。
『行逢峠』のほうは版元がルビを示していません。 2026年10月7日時点で公表された読み方が見つからなかったため、本記事では読みを断定しません。
七つ怪談に関するよくある質問
七つ怪談は何編収録されていますか
5編です。 ただのろうもの/行逢峠/七つ怪談/赤錆び色の記憶/猿㾔孟(しらろぼう)様の5編で、文藝春秋BOOKSと版元ドットコムの2か所で一致しています。「七つ怪談」は3番目の表題作の題で、収録数ではありません。
「七人怪談」と同じ本ですか
違います。 『七人怪談』は2026年5月25日・角川ホラー文庫・384ページ・1,122円で、三津田信三が他の6人に依頼して編んだアンソロジーです(三津田の自作は「何も無い家」1編)。本作は2026年10月28日・文藝春秋・四六判上製256ページ・2,310円の単著です。中身は重なりません。
どちらを先に読むべきですか
どちらからでも読めます。 連作ではなく、版元も続編・前提作品を示していません。 三津田信三の文章を読みたいなら単著の本作、ホラー作家7人を読み比べたいなら『七人怪談』という選び方になります。
シリーズものですか。前に読んでおく本はありますか
いいえ。 版元の書誌情報にシリーズ表記はなく、前提となる既刊は示されていません。「オール讀物」に書いた短篇を集めた1冊です。
刀城言耶シリーズですか
版元は本作を刀城言耶シリーズとして案内していません。 2026年10月7日時点で、文藝春秋BOOKSにも版元ドットコムにもシリーズ表記はありません。 探偵役の設定は公表されていないため、本記事では断定しません。
怖さはどのくらいですか
版元の言葉では「戦慄のロジカルホラー」です。 ただし「怖いだけでは終わらない」とも書かれており、文藝春秋BOOKSのジャンル表記は「エンタメ・ミステリ」です。恐怖だけを目的にした本として売られてはいない点が、購入前の判断材料になります。
文庫版は出ますか
2026年10月7日時点で文庫化の告知はありません。 本作は四六判上製の単行本(2,310円)です。文藝春秋の単行本は数年後に文春文庫へ入る例が多くありますが、本作について公表された予定はないため、断定できません。
256ページは読むのにどれくらいかかりますか
四六判256ページで5編なので、通しで4〜5時間が目安です。短篇集なので1編ずつ区切って読めます。
三津田信三は初めてです。これから読めますか
読めます。 本作は単著の短篇集で、前提知識は要りません。ホラーの名手を横断して読みたい場合は、本作の著者が編んだ『七人怪談』に澤村伊智ら6人が参加しているので、そこから好みの作家を見つける手もあります。当サイトのホラー・怪談小説おすすめ15選も入口に使えます。
まとめ|「七つ」は数ではなく、ひっくり返すための数字
- 『七つ怪談 「オール讀物」奇譚』は2026年10月28日・文藝春秋・2,310円(税込)・四六判上製256ページ
- ★収録は7編ではなく5編。「七つ怪談」は3番目に置かれた表題作の題で、収録数ではない
- 収録はただのろうもの/行逢峠/七つ怪談/赤錆び色の記憶/猿㾔孟(しらろぼう)様
- ★2026年5月25日に出た『七人怪談』(角川ホラー文庫・384ページ・1,122円)とは別の本。 あちらは三津田信三が他の6人に依頼して編んだアンソロジーで、三津田の自作は「何も無い家」1編のみ
- ★「七人」は7編で数が合い、「七つ」は5編で合わない。 2冊で数字と収録数の関係が逆になっている
- 版元の掲げ方は「怖いだけでは終わらない。戦慄のロジカルホラー!」で、文藝春秋BOOKSのジャンル表記はエンタメ・ミステリ
- 版元が最初に置く一文は”「七」は決して縁起の良い数字ではない”
- シリーズ表記・刀城言耶シリーズである旨の記載は、2026年10月7日時点で版元に無い
- 各編の「オール讀物」初出号は公表されていない
七は吉数として扱われるのが普通です。 それを「縁起が良くない」と言い切るところから本作は始まります。書名の数字が収録数と合わないのも、おそらく同じ性質のいたずらです。数えようとすると、ひとつ足りない。




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