『明治元年の逆賊 池波正太郎幕末作品集』は、「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」の三大シリーズで知られる池波正太郎の作品集で、2026年10月28日に新潮文庫から出ます。693円(税込)・文庫判288ページ。池波正太郎は1990年に没しており、没後36年の編集作品集です。
中心に据えられているのは幕臣・小栗忠順(おぐり ただまさ)。井伊直弼に見出され、遣米使節として渡米し、横須賀製鉄所の建設に辣腕を振るいながら、維新で「逆賊」として悲劇の運命を辿った人物です。
この本には1つ、買う前に確かめておきたい点があります。版元ドットコムは本書の「旧版ISBN」として『武士(おとこ)の紋章』を挙げていますが、調べたところ両者は新潮文庫の整理番号も収録作も違う別の本でした。この記事では、その検証結果を含めて整理します。
※本ページはアフィリエイトリンクを含みます。
※本記事は発売前に公表された情報にもとづいています。
- 2026年10月28日・新潮文庫・693円(税込)・288ページ
- 小栗忠順を中心とした幕末作品集
- 『武士の紋章』とは整理番号も収録作も違う別の本
明治元年の逆賊とは|没後36年の幕末作品集

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | 明治元年の逆賊―池波正太郎幕末作品集― |
| 著者 | 池波正太郎(1923-1990) |
| 版元・レーベル | 新潮文庫(整理番号 い-16-101) |
| 発売日 | 2026年10月28日 |
| 判型・ページ | 文庫判・288ページ |
| 価格 | 693円(税込) |
| ISBN | 978-4-10-139738-2 |
| Cコード | C0193(一般・文庫・日本文学、小説・物語) |
| 電子書籍 | あり(2026年10月28日配信開始) |
出典:新潮社公式『明治元年の逆賊』、版元ドットコム(2026年10月5日時点)
★『武士の紋章』の改題ではない。整理番号も収録作も違う

版元ドットコムの本書のページには「旧版ISBN 9784101156712」という欄があります。この ISBN は新潮文庫『武士(おとこ)の紋章』を指します。
しかし両者を突き合わせると、別の本だと分かります。
| 武士(おとこ)の紋章 | 明治元年の逆賊 | |
|---|---|---|
| 新潮文庫 整理番号 | い-16-71 | い-16-101 |
| 発売日 | 1994年9月28日 | 2026年10月28日 |
| ページ | 336ページ | 288ページ |
| 価格(税込) | 781円 | 693円 |
| ISBN | 978-4-10-115671-2 | 978-4-10-139738-2 |
| 中心の時代 | 戦国〜江戸 | 幕末 |
| 新潮社サイトでの状態 | 現役(価格付きで掲載継続) | まもなく発売 |
出典:新潮社公式『武士(おとこ)の紋章』、同『明治元年の逆賊』(2026年10月5日時点)
『武士の紋章』の目次(新潮社公式より)
| 収録作 | 主人公 |
|---|---|
| 智謀の人――黒田如水 | 黒田如水(戦国) |
| 武士の紋章――滝川三九郎 | 滝川三九郎(関ヶ原後) |
| 三代の風雪――真田信之 | 真田信之(戦国〜江戸) |
| 首討とう大坂陣――真田幸村 | 真田幸村(大坂の陣) |
| 決闘高田の馬場 | 堀部安兵衛(江戸) |
| 新選組生残りの剣客――永倉新八 | 永倉新八(幕末) |
| 三根山 | — |
| 牧野富太郎 | — |
| 解説 八尋舜右 | — |
『明治元年の逆賊』が扱う人物(新潮社公式より)
小栗忠順・河井継之助・松平容保・新選組・彰義隊
重なっているのは「新選組」という枠だけで、『武士の紋章』の中心は黒田如水・真田信之・真田幸村といった戦国の武将です。『明治元年の逆賊』は幕末に絞った作品集で、看板に立つ人物がまったく違います。
決定的なのは整理番号です。新潮文庫は著者ごとに通し番号を振っており、『武士の紋章』が い-16-71、『明治元年の逆賊』が い-16-101。番号が別=新潮文庫のカタログ上は別のタイトルです。しかも『武士の紋章』は品切ではなく、新潮社サイトに価格付きで現役掲載されています。**
つまり版元ドットコムの「旧版ISBN」欄は、本書の元版を示していません。『武士の紋章』をお持ちの方が「同じ本の改題だろう」と判断して見送ると、別の作品集を取り逃がすことになります。
明治元年の逆賊のあらすじ|「負けぎらい」の俊才が逆賊になるまで

版元の紹介
幕末に近代日本の礎を築いた幕臣、小栗忠順(ただまさ)。井伊直弼に見出され、遣米使節として米国の先進性を目の当たりにした「負けぎらい」の俊才は、横須賀製鉄所の建設や陸海軍の充実、幕府財政の管理に辣腕を振るう。しかし維新の渦にのみこまれ、やがて「逆賊」として悲劇の運命を辿り──小栗ほか河井継之助(つぐのすけ)、松平容保(かたもり)、新選組や彰義隊など、熱き信念を貫いた男たちの葛藤と激闘を描く幕末作品集。
出典:新潮社公式『明治元年の逆賊』(2026年10月5日時点)
小栗忠順の経歴が、そのまま物語の骨格
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 登用 | 井伊直弼に見出される |
| 渡米 | 遣米使節として米国の先進性を目の当たりにする |
| 実務 | 横須賀製鉄所の建設・陸海軍の充実・幕府財政の管理に辣腕を振るう |
| 転落 | 維新の渦にのみこまれる |
| 結末 | 「逆賊」として悲劇の運命を辿る |
版元が「近代日本の礎を築いた幕臣」と書き、同時に「逆賊」とも書いているのが、本書のタイトルの意味です。同じ人物が、やったことでは礎を築き、立場では逆賊になる。
書名の「明治元年」は1868年で、小栗忠順が処刑された年にあたります。新しい時代が始まった年を、転落した側から見るタイトルということになります。
★キャッチと本文で、挙がる人名が一致しない
細かいことですが、新潮社のページ内で、2か所の人名リストが食い違っています。
| 掲載箇所 | 挙がる人名 |
|---|---|
| キャッチ(1行紹介) | 小栗忠順、河井継之助、土方歳三 |
| 内容紹介(本文) | 小栗、河井継之助、松平容保、新選組、彰義隊 |
出典:新潮社公式『明治元年の逆賊』(2026年10月5日時点)
キャッチには土方歳三が入り、本文には入っていません。逆に本文の松平容保がキャッチに入っていません。
土方歳三は新選組の副長なので、本文の「新選組」に含まれていると読むのが自然です。矛盾ではなく、粒度の違いと考えられます。ただし収録作の目次が公表されていないため、土方歳三が主人公の作品が入っているかどうかは、現時点では確認できません。
明治元年の逆賊の3つの読みどころ
1. 新潮社がルビを振っている3つの名前
新潮社の内容紹介は、3人の名前にわざわざ読み仮名を付けています。
| 人物 | 読み |
|---|---|
| 小栗忠順 | ただまさ |
| 河井継之助 | つぐのすけ |
| 松平容保 | かたもり |
出典:新潮社公式『明治元年の逆賊』(2026年10月5日時点)
どれも読み間違えやすい名前です。版元が内容紹介という短い文のなかで3つもルビを振っているのは、それだけ一般的な知名度が「鬼平」や「梅安」ほどではないことの裏返しでもあります。
池波正太郎といえば時代小説のシリーズものという印象が強い作家ですが、本書は実在の幕末人物を正面から扱う系統です。
2. 池波正太郎の経歴から見た「幕末」の位置
新潮社の著者プロフィールはこうです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 生没 | 1923-1990(東京・浅草生まれ) |
| 学歴・職歴 | 下谷・西町小学校を卒業後、茅場町の株式仲買店に勤める。戦後、東京都の職員となり下谷区役所等に勤務 |
| 修業 | 長谷川伸の門下に入り、新国劇の脚本・演出を担当 |
| 1960年 | 「錯乱」で直木賞受賞 |
| 代表作 | 「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」の3大シリーズ |
| 没 | 急性白血病で永眠 |
出典:新潮社公式『明治元年の逆賊』の著者プロフィール(2026年10月5日時点)
出発点が新国劇の脚本・演出だった点が、本書のような人物中心の作品集と結び付きます。芝居の書き手として、人物の葛藤を軸に組み立てる訓練を積んだ作家です。版元が「熱き信念を貫いた男たちの葛藤と激闘」という言い方をするのも、この出自と重なります。
当サイトでは池波正太郎のおすすめ・代表作ガイドで、三大シリーズを含む全体像を整理しています。
3. 没後36年でも新しい編集が組まれ続けている
池波正太郎は1990年に亡くなっています。本書は没後36年の刊行です。
| 年 | |
|---|---|
| 直木賞受賞 | 1960年 |
| 没年 | 1990年 |
| 本書の刊行 | 2026年 |
| 没後 | 36年 |
新しく書かれた作品ではなく、既発表作から「幕末」というテーマで選び直した作品集です。『武士の紋章』(1994年)も没後4年の刊行で、没後に編集されたアンソロジーが新潮文庫で何度も組まれてきたことが、整理番号の開き(い-16-71 → い-16-101)からも分かります。
同じ作家の作品が、時代を切り口にして編み直される。本書の価値は、「幕末」というテーマで池波作品がまとめて読めるという編集そのものにあります。
明治元年の逆賊に関するよくある質問
『武士の紋章』と同じ本ですか
違う本です。版元ドットコムは『武士の紋章』を本書の「旧版ISBN」として挙げていますが、新潮文庫の整理番号が別(い-16-71/い-16-101)で、ページ数も336/288と異なり、『武士の紋章』の中心は黒田如水・真田信之・真田幸村といった戦国の武将です。『武士の紋章』は新潮社サイトに価格付きで現役掲載されており、品切にもなっていません。
収録作のタイトルは公表されていますか
2026年10月5日時点では、新潮社公式にも版元ドットコムにも目次の掲載はありません。公表されているのは扱う人物(小栗忠順・河井継之助・松平容保・新選組・彰義隊)までです。
書き下ろしですか
いいえ。池波正太郎は1990年に亡くなっており、本書は既発表作を「幕末」というテーマで編んだ作品集です。
「鬼平犯科帳」や「剣客商売」とつながりますか
版元の書誌情報に、三大シリーズとの関連の記載はありません。本書は実在の幕末人物を扱う作品集で、シリーズものとは別系統です。池波正太郎のおすすめ・代表作ガイドで三大シリーズを整理しています。
池波正太郎は初めてです。これから読めますか
読めます。短めの作品を集めた288ページの作品集なので、池波正太郎の文章に触れる1冊目としては入りやすい部類です。ただし代表作から入りたいなら「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」の三大シリーズが定番です。
小栗忠順はどんな人物ですか
幕末の幕臣です。版元の紹介によれば、井伊直弼に見出され、遣米使節として渡米し、横須賀製鉄所の建設・陸海軍の充実・幕府財政の管理に携わった人物で、維新で「逆賊」とされ悲劇の運命を辿りました。版元は「幕末に近代日本の礎を築いた幕臣」と位置づけています。読みは「おぐり ただまさ」です。
電子書籍はありますか
あります。新潮社公式によれば、紙と同じ2026年10月28日に配信開始です。
発売日が11月1日と書かれている場所がありますが、どちらですか
書店に並ぶのは2026年10月28日です。版元ドットコムには「発売予定日 2026年10月28日」と「初版年月日 2026年11月1日」の2つが載っていますが、初版年月日は奥付に印刷される日付で、書店発売日ではありません。
288ページは読むのにどれくらいかかりますか
文庫版で288ページの作品集なので、通しで4〜5時間が目安です。作品ごとに区切れるので、1編ずつ読めます。
まとめ|「礎を築いた幕臣」と「逆賊」が同じ人を指す
- 『明治元年の逆賊 池波正太郎幕末作品集』は2026年10月28日・新潮文庫・693円(税込)・288ページ(整理番号 い-16-101)
- 池波正太郎は1990年没。本書は没後36年の編集作品集で、既発表作を「幕末」というテーマで編んだもの
- ★版元ドットコムは『武士(おとこ)の紋章』を「旧版ISBN」として挙げるが、両者は別の本
- ★整理番号が違い(い-16-71/い-16-101)、ページ数も336/288。『武士の紋章』の中心は黒田如水・真田信之・真田幸村といった戦国の武将で、新潮社サイトに現役掲載されている
- 中心人物は幕臣・小栗忠順(ただまさ)。井伊直弼に見出され、遣米使節として渡米、横須賀製鉄所の建設・陸海軍の充実・幕府財政に辣腕を振るい、維新で「逆賊」とされる
- ほかに河井継之助(つぐのすけ)・松平容保(かたもり)・新選組・彰義隊
- ★キャッチは「小栗忠順、河井継之助、土方歳三」だが、内容紹介本文に土方歳三の名は無く、代わりに松平容保が入る
- 目次は未公表(2026年10月5日時点)
- 著者は新国劇の脚本・演出出身で、1960年「錯乱」で直木賞
書名の「明治元年」は1868年です。新しい時代が始まった年を、そこで「逆賊」とされた側から見る——という視点が、この作品集のタイトルに込められています。



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