『ハミングバードのいるところ』は、原田マハの短編集で、2026年11月5日に幻冬舎から出ます。1,980円(税込)・四六変型判224ページ。全5編で、表題作は書き下ろしです。
本作には、他の新刊と違う点が1つあります。書籍より約7週間早く、2026年9月18日にAudibleで先行配信されていることです。つまり発売前にもう聴けます。
そしてもう1つ。全5編の題は、版元の内容紹介だけでは3編しか分かりません。 Audibleの配信リリースに5編すべてが載っており、並べてみると神戸の震災・コロナ禍のパリ・ウクライナ侵攻・能登半島地震・ロサンゼルスと、5編すべてが災厄と芸術の関係で貫かれていることが見えます。この記事では、その5編を一次情報で整理します。
※本ページはアフィリエイトリンクを含みます。
※本記事は発売前に公表された情報にもとづいています。
- 2026年11月5日・幻冬舎・1,980円(税込)・四六変型判224ページ
- 全5編。表題作は書き下ろし
- Audibleでは2026年9月18日から先行配信中(約7週間早い)
ハミングバードのいるところとは|アート小説の書き手による5編

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 原田マハ |
| 版元 | 幻冬舎(単行本) |
| 発売日 | 2026年11月5日 |
| 判型・頁 | 四六変型判・224ページ |
| 価格 | 1,980円(税込・本体1,800円) |
| ISBN | 978-4-344-04666-5 |
| Cコード | C0093(一般・単行本・日本文学、小説・物語) |
| 収録 | 5編(表題作は書き下ろし) |
| Audible先行配信 | 2026年9月18日(ナレーター 黒葛原真奈) |
出典:版元ドットコム(幻冬舎登録データ)、Audible プレスリリース(PR TIMES)(2026年10月7日時点)
版元の掲げ方
人は、毎晩、死ぬ。そして毎朝、生まれる。生まれ変わる。生まれ変われる。何度でも。厳しい現代を生きるための、確かな覚悟とあたたかな希望を描く。傑作短編集。
出典:版元ドットコム(幻冬舎登録データ)(2026年10月7日時点)
「厳しい現代を生きるための」という前置きが付いています。この「厳しい現代」が何を指すかは、5編の題材を並べると分かります。
ハミングバードのいるところの収録5編|すべてが災厄と結びつく

版元ドットコムの内容紹介は3編しか挙げていません。 5編すべての題が分かるのは、Audibleの配信リリースです。
| # | 題 | 題材 |
|---|---|---|
| 1 | パリ市庁舎前のキス | 名作写真集が繋ぐ、神戸を舞台にした恋と震災による喪失の記憶 |
| 2 | 喝采 | 2020年ロックダウン中のパリ。医療従事者へ贈られた窓辺からの拍手を日記形式で |
| 3 | 望郷 | ロシア革命で引き裂かれ100年ぶりにパリで再会した名画が、ウクライナ侵攻で再び不穏な運命に |
| 4 | うつくしい器 | 震災で倒壊した能登半島の輪島塗の木地工房。85歳の名工から若き女性の弟子への継承 |
| 5 | ハミングバードのいるところ(表題作・書き下ろし) | 第61回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館展示作家荒川ナッシュ医への密着取材 |
出典:Audible『ハミングバードのいるところ』配信開始プレスリリース(PR TIMES)(2026年10月7日時点)
★5編すべてが災厄と芸術の関係で貫かれている
題材を災厄の種類で並べ直すと、構成が見えます。
| # | 災厄 | 芸術の側 |
|---|---|---|
| 1 パリ市庁舎前のキス | 震災(神戸) | 名作写真集 |
| 2 喝采 | パンデミック(2020年のパリ) | 窓辺からの拍手/日記 |
| 3 望郷 | 戦争(ロシア革命→ウクライナ侵攻) | 名画 |
| 4 うつくしい器 | 震災(能登半島) | 輪島塗 |
| 5 ハミングバードのいるところ | — | 現代美術(ヴェネチア・ビエンナーレ) |
震災が2編あります(神戸と能登半島)。これは版元の内容紹介からは見えません。 版元が挙げる3編は喝采(パリ)・望郷(ウクライナ)・表題作(ビエンナーレ)で、神戸と能登の2編が落ちています。
→ 本作は「災厄のあとに芸術はどう残るか」を5通りの場所で書いた本と読めます。版元の「厳しい現代を生きるための、確かな覚悟とあたたかな希望」という一文が、この5編を束ねる言葉になっています。
「喝采」は2020年のパリを日記形式で書いた1編
版元ドットコムの説明では、より具体的です。
2020年ロックダウン中のパリ。セーヌ川が見える書斎で、ひとり綴った18日間の記録。(「喝采」)
出典:版元ドットコム(幻冬舎登録データ)(2026年10月7日時点)
「18日間の記録」と期間が明記されています。Audibleのリリースは「医療従事者へ贈られた窓辺からの拍手」と題材を補っています。2020年のロックダウン下のヨーロッパで、毎晩決まった時間に住民が窓から医療従事者へ拍手を送ったという出来事が下敷きです。書名の「喝采」はそれを指します。
「望郷」は名画が主語になっている
2022年ロシアによるウクライナ侵攻の際、東回り18時間のフライトでパリに到着。LV財団美術館で作家が見たものは?(「望郷」)
出典:版元ドットコム(幻冬舎登録データ)(2026年10月7日時点)
版元は「作家が見たもの」として書き、Audibleのリリースは「名画たち」を主語にしています。
| 出所 | 「望郷」の説明 |
|---|---|
| 版元ドットコム | 作家が東回り18時間のフライトでパリに到着し、LV財団美術館で見たもの |
| Audible リリース | ロシア革命で引き裂かれ100年ぶりにパリで奇跡の再会を果たすも、ウクライナ侵攻の勃発により再び不穏な運命に揺れる名画たち |
2つを合わせると、「ロシア革命で離散した絵が100年後にパリで再会する展覧会を、ウクライナ侵攻の時期に見た」という構図になります。ロシアを離れた絵が、またロシアの戦争で揺れるという反復です。
「東回り18時間」という書き方は、ロシア上空を飛べなくなった2022年以降の欧州便の事情を指しています。
ハミングバードのいるところの3つの読みどころ

1. ★書籍より約7週間早く、Audibleで聴ける
| 媒体 | 日付 |
|---|---|
| Audible(先行配信) | 2026年9月18日 |
| 書籍(幻冬舎) | 2026年11月5日 |
| 差 | 約7週間(48日) |
出典:Audible プレスリリース(PR TIMES)(2026年10月7日時点)
ナレーターは黒葛原真奈です。「書籍刊行に先駆けて」という形の配信で、本記事を書いている2026年10月7日時点ですでに聴ける状態です。
→ 発売前に中身に触れられる、当サイトが扱う新刊では珍しい1冊です。紙で読みたい人は11月5日まで待つことになりますが、内容を先に知りたいなら手段があります。
なお、Audible版と書籍版の収録内容が完全に同じかどうかは、公表された情報からは確認できません。 Audibleのリリースは5編すべての題を挙げており、版元の書誌も「5編」なので一致していますが、版元が加筆の有無を告知していないため断定はしません。
2. 表題作は書き下ろしで、密着取材から書かれている
5編のうち表題作だけが「書き下ろし」とされています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 荒川ナッシュ医 |
| 肩書 | 第61回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展 日本館展示の作家 |
| 取材地 | ロサンゼルス |
| 内容 | 夫と共に双子を育てる様を綴った |
| 取材の形 | 著者による密着取材 |
出典:Audible プレスリリース(PR TIMES)、版元ドットコム(幻冬舎登録データ)(2026年10月7日時点)
原田マハはアート小説の書き手として知られています。当サイトでも『楽園のカンヴァス』(ルソー)、『暗幕のゲルニカ』(ピカソ)、『たゆたえども沈まず』・『リボルバー』(ゴッホ)のレビューを公開しています。
これまでの作品は、歴史上の画家と作品をめぐる物語でした。本作の表題作は違います。 題材はいま活動している現代作家で、しかもその人の子育てを密着取材して書いています。
| これまでのアート小説 | 本作の表題作 | |
|---|---|---|
| 対象 | ルソー、ピカソ、ゴッホなど歴史上の画家 | 荒川ナッシュ医(現代作家) |
| 時間 | 過去 | いま進行していること |
| 手法 | 史料に基づく虚構 | 密着取材 |
→ 原田マハの作品としては、題材の取り方が新しい1編です。
なお、版元ドットコムの説明は「2026年ヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表アーティスト」、Audibleのリリースは「第61回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館展示の作家」と表現が違います。回次(第61回)が明記されているのはAudibleのリリース側です。
3. 四六変型判224ページという薄さ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 判型 | 四六変型判 |
| ページ | 224ページ |
| 収録 | 5編 |
| 1編あたり | 約45ページ |
224ページで5編なので、1編あたり約45ページです。短編集としては1編が長めで、中編に近い長さです。
四六変型判は、通常の四六判と寸法が違う判型です。作品の性格に合わせて造本を変えることが多く、日記形式の「喝采」を含む本という性格と関係している可能性があります(ただし版元は造本の意図を公表していません)。
読む時間は、224ページで4〜5時間が目安です。1編ずつ区切って読めます。
ハミングバードのいるところに関するよくある質問
ハミングバードのいるところは何編入っていますか
全5編です。 ①パリ市庁舎前のキス ②喝采 ③望郷 ④うつくしい器 ⑤ハミングバードのいるところ(表題作・書き下ろし)。5編すべての題は、Audibleの配信プレスリリースで確認できます(版元ドットコムの内容紹介は3編のみ)。
もう読めますか。発売前なのに聴けるのは本当ですか
本当です。 Audibleで2026年9月18日から先行配信されています(ナレーター 黒葛原真奈)。書籍は11月5日なので、約7週間早い配信です。
長編ですか短編集ですか
短編集です。 版元が「傑作短編集」と明記しています。224ページに5編なので、1編あたり約45ページで、中編に近い長さです。
アート小説ですか
アートが軸ですが、これまでの作品とは題材の取り方が違います。 『楽園のカンヴァス』や『暗幕のゲルニカ』が歴史上の画家と作品を扱った虚構だったのに対し、本作の表題作は現代作家・荒川ナッシュ医への密着取材から書かれています。 他の4編も写真集・拍手・名画・輪島塗と、芸術や技の側から災厄を見る構えです。
荒川ナッシュ医とは誰ですか
第61回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展で日本館の展示を手がける作家です(Audibleのリリースより)。表題作は、著者がロサンゼルスで行った密着取材をもとに、荒川ナッシュ医が夫と共に双子を育てる様を綴ったものです。
「喝采」はコロナの話ですか
2020年ロックダウン中のパリを扱った1編です。版元の説明では「セーヌ川が見える書斎で、ひとり綴った18日間の記録」、Audibleのリリースでは「医療従事者へ贈られた窓辺からの拍手」と補われています。日記形式で書かれています。
原田マハは初めてです。これから読めますか
読めます。 短編集で、シリーズものでも続編でもありません。代表作から入りたいなら『楽園のカンヴァス』(山本周五郎賞)、『キネマの神様』(映画化)が定番です。全体像は原田マハの新刊・新作ガイドと人気ランキングTOP10にまとめています。
文庫版は出ますか
2026年10月7日時点で文庫化の告知はありません。 本作は四六変型判の単行本(1,980円)です。幻冬舎の単行本は数年後に幻冬舎文庫へ入る例が多くありますが、本作について公表された予定はないため断定できません。
224ページは読むのにどれくらいかかりますか
4〜5時間が目安です。5編それぞれ約45ページなので、1編あたり1時間弱で読めます。
まとめ|災厄のあとに、芸術はどう残るか
- 『ハミングバードのいるところ』は2026年11月5日・幻冬舎・1,980円(税込)・四六変型判224ページ
- 全5編の短編集で、表題作は書き下ろし
- ★書籍より約7週間早く、2026年9月18日にAudibleで先行配信されている(ナレーター 黒葛原真奈)。発売前にもう聴ける
- ★5編すべての題はAudibleの配信リリースで分かる(版元の内容紹介は3編のみ)。①パリ市庁舎前のキス ②喝采 ③望郷 ④うつくしい器 ⑤ハミングバードのいるところ
- ★5編すべてが災厄と芸術の関係で貫かれている。 震災(神戸)/パンデミック(2020年のパリ)/戦争(ウクライナ侵攻)/震災(能登半島・輪島塗)/現代美術(ヴェネチア・ビエンナーレ)
- 震災が2編ある(神戸と能登半島)。これは版元の内容紹介からは見えない
- 「喝采」はセーヌ川が見える書斎でひとり綴った18日間の記録。「望郷」はロシア革命で離散した名画が100年ぶりにパリで再会し、ウクライナ侵攻で再び揺れる話
- 表題作は第61回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館展示の作家・荒川ナッシュ医への密着取材(ロサンゼルス/夫と双子を育てる様)
- 歴史上の画家を扱ってきた著者が、いま活動する現代作家を密着取材で書いた点が新しい
- 版元の掲げ方は「厳しい現代を生きるための、確かな覚悟とあたたかな希望を描く」
「人は、毎晩、死ぬ。そして毎朝、生まれる。」——版元の紹介の冒頭です。倒れた工房、閉じた街、離散した絵。 5編はどれも何かが壊れたあとの話で、そのあとに残るものを芸術の側から見ています。
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