『悪逆』は、黒川博行のクライム・サスペンスで、2026年11月6日に朝日文庫から出ます。1,320円(税込)・文庫判688ページ・厚さ26mm。第58回吉川英治文学賞(2024年)の受賞作で、2023年10月6日に出た単行本の文庫化です。
先に、買う前に効く数字を置きます。単行本は2,200円(税込)で584ページ、文庫は1,320円で688ページ。880円安くなって、ページは104増えます。 文庫は判型が小さくなるぶんページ数が増えるのが普通で、中身が増えたという意味ではありません。 ただ688ページ・厚さ26mmという数字は、文庫としてはかなり厚い部類です。
受賞は2024年、文庫化は2026年11月。単行本の刊行からは3年1か月です。賞を取った警察小説が、ようやく文庫の棚に並びます。
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※本記事は発売前に公表された情報にもとづいています。
- 2026年11月6日・朝日文庫・1,320円(税込)・688ページ・厚さ26mm
- 第58回吉川英治文学賞(2024年)受賞作
- 単行本2,200円・584ページからの文庫化(880円安い)
悪逆とは|大阪府警の刑事2人が知能犯の完全犯罪に挑む

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 黒川博行 |
| 版元・レーベル | 朝日新聞出版/朝日文庫 |
| 発売予定日 | 2026年11月6日 |
| 初版年月日 | 2026年11月30日 |
| 判型・頁 | 文庫判・688ページ(厚さ26mm) |
| 価格 | 1,320円(税込・本体1,200円) |
| ISBN | 978-4-02-265268-3 |
| Cコード | C0193(一般・文庫・日本文学、小説・物語) |
| 受賞 | 第58回吉川英治文学賞(2024年) |
| 底本 | 朝日新聞出版の単行本(2023年10月6日・584ページ・2,200円) |
出典:版元ドットコム、同(単行本)、講談社 吉川英治文学賞 過去の受賞作品一覧(2026年10月9日時点)
版元のあらすじ
過払い金マフィア、マルチの親玉、カルトの宗務総長――社会に巣食う悪党が次々と殺害される。警察捜査の内情を知悉する男vs.大阪府警捜査一課の刑事と所轄のベテラン部屋長
出典:版元ドットコム(2026年10月9日時点)
殺されるのは「悪党」です。過払い金マフィア、マルチ商法の親玉、カルトの宗務総長。被害者のほうが社会的に悪とされる人物という構図が、この小説の立て方です。
追う側は刑事2人
| 人物 | 所属 |
|---|---|
| 舘野 | 大阪府警捜査一課 |
| 玉川 | 箕面北署のベテラン部屋長 |
出典:版元ドットコム(内容紹介)(2026年10月9日時点)
本庁の捜査一課と所轄のベテランという組み合わせです。「部屋長」は所轄の刑事部屋を仕切る立場で、キャリアでなく現場の年功で立っている人物になります。
版元の詳しい内容紹介
周到な準備と計画によって強盗殺人を遂行していく男――。大阪府警捜査一課の舘野と箕面北署のベテラン刑事・玉川が、広告代理店の元経営者殺害事件を追うなか、さらに被害者と面識のある男が殺される。二人はそれぞれ士業詐欺とマルチ商法によって莫大な金を荒稼ぎした悪党で、情報屋の標的になっていた。警察は犯行手口の違いから同一犯による可能性はないと判断するが、いずれも初動捜査で手詰まりとなる。
出典:版元ドットコム(内容紹介)(2026年10月9日時点)
警察が「同一犯ではない」と判断するところが仕掛けです。手口を変えることで捜査を分断する、という犯人側の設計が先に示されています。版元はさらに「警察の動きを攪乱しながら凶行を続ける男」と書き、犯人は警察捜査の内情を知っている人物だと明かしています。
版元は「ラスト5ページまで結末が読めない」と書く
ラスト5ページまで結末が読めない、吉川英治文学賞受賞作
出典:版元ドットコム(2026年10月9日時点)
688ページの最後の5ページまで引っ張るという売り方です。本記事では結末には触れません。
悪逆の受賞歴|第58回吉川英治文学賞(2024年)

第58回吉川英治文学賞の受賞作です。賞を運営する講談社の歴代一覧に、次のとおり掲載されています。
| 回/年 | 作品名 | 作者名 | 出版社 |
|---|---|---|---|
| 第58回/2024年 | 悪逆 | 黒川博行 | 朝日新聞出版刊 |
出典:講談社 吉川英治文学賞 過去の受賞作品一覧(2026年10月9日時点)
贈呈式は2024年に開催された
第58回の贈呈式には黒川博行を含む6名の受賞者が登壇しています。
出典:ORICON NEWS「『第58回吉川英治文学賞』の贈呈式開催 『悪逆』の黒川博行ら6名の受賞者が登壇」(2026年10月9日時点)
吉川英治文学賞は、吉川英治文学新人賞・吉川英治文化賞などと同時に贈呈されるため、1回に複数名が登壇します。当サイトでは吉川英治文学賞の歴代受賞作一覧をまとめています。
受賞から文庫化までの時間
| 出来事 | 日付 | 単行本発売からの経過 |
|---|---|---|
| 単行本 発売 | 2023年10月6日 | — |
| 単行本 初版奥付日 | 2023年10月30日 | 約1か月 |
| 第58回吉川英治文学賞 受賞 | 2024年 | 約0〜1年 |
| 文庫 発売 | 2026年11月6日 | 約3年1か月 |
出典:版元ドットコム(単行本)、講談社(2026年10月9日時点)
単行本から文庫化までちょうど3年1か月です。文庫化は一般に単行本の2〜3年後が目安なので、標準よりやや遅いペースになります。584ページという分量も関係していそうですが、版元は理由を公表していません。
当サイトでは、同じく吉川英治文学賞受賞作の文庫化である角田光代『方舟を燃やす』もレビューしています。
悪逆の単行本と文庫の違い|880円安く、104ページ厚い

| 単行本 2023年 | 文庫 2026年(本作) | |
|---|---|---|
| 発売日 | 2023年10月6日 | 2026年11月6日 |
| 初版奥付日 | 2023年10月30日 | 2026年11月30日 |
| ページ | 584ページ | 688ページ |
| 価格(税込) | 2,200円 | 1,320円 |
| 本体価格 | 2,000円 | 1,200円 |
| 厚さ | (未公表) | 26mm |
| ISBN | 978-4-02-251937-5 | 978-4-02-265268-3 |
出典:版元ドットコム(文庫)、同(単行本)(2026年10月9日時点)
価格差は880円。単行本の60%になる
2,200円 → 1,320円で、880円安くなります。 単行本の60.0%です。文庫化で半額近くになることが多いなかで6割にとどまるのは、688ページという分量が効いています。
688ページ・厚さ26mmは文庫として相当厚い
584ページ → 688ページで104ページ増えます。 これは判型が小さくなったためで、中身が増えたわけではありません。加筆・改稿の告知は2026年10月9日時点でありません。
ただし結果として出来上がる本は厚いです。厚さ26mmは版元自身が書誌に登録している数字で、一般的な文庫(200〜300ページで10〜15mm前後)の2倍前後にあたります。持ち歩きを前提に買うなら、この数字は見ておく価値があります。
どちらを買うか
| 単行本が向く人 | 文庫が向く人 | |
|---|---|---|
| 価格 | — | 880円安い |
| 文字の大きさ | 四六判で読みやすい | — |
| 持ち運び | — | 文庫判だが厚さ26mm |
| 入手性 | 2023年刊で在庫は店舗次第 | 新刊として並ぶ |
→ これから読むなら文庫で足ります。 内容の違いは公表されていません。
悪逆の3つの読みどころ

1. 殺される側が「悪党」である構図
版元が最初に並べるのは、被害者の属性です。
| # | 殺される人物 | 版元の表記 |
|---|---|---|
| 1 | 広告代理店の元経営者 | 士業詐欺で荒稼ぎした悪党 |
| 2 | 被害者と面識のある男 | マルチ商法で荒稼ぎした悪党 |
| 3 | 新興宗教の宗務総長 | 戦時中に麻薬密売組織に関わり、政治家とも昵懇だった |
出典:版元ドットコム(内容紹介)(2026年10月9日時点)
3人目の「戦時中に麻薬密売組織」という来歴が、この小説の射程を現代だけに閉じていません。戦後から現在まで繋がる裏社会の線が引かれています。
読者が犯人側に理を感じやすい作りになっているのは確かですが、版元は犯人の動機を明かしていません(「男の目的はどこにあるのか?」と問いの形で書いています)。
2. 「警察捜査の内情を知悉する男」という設定
版元はこの小説を「警察捜査の内情を知悉する男vs.大阪府警捜査一課の刑事と所轄のベテラン部屋長」と要約します。
犯人が捜査の手順を知っていることが、警察小説としての芯です。
| 犯人側 | 警察側 |
|---|---|
| 捜査の内情を知っている | 手口の違いから同一犯でないと判断する |
| 周到な準備と計画 | いずれも初動捜査で手詰まり |
| 警察の動きを攪乱する | 犯人像を掴めない |
「同一犯でないと判断する」ことが、犯人の計算どおりだったという構図です。版元が「王道の警察小説」と書くのは、捜査側の手順を正面から書くという意味でしょう。黒川博行は大阪を舞台にした犯罪小説を長く書いてきた作家で、本作もその土地にあります(箕面北署という具体的な所轄名が出てきます)。
3. 版元の分類は「クライム・サスペンス」
裏社会を跋扈する男たちを圧倒的な存在感で描き切る圧巻のクライム・サスペンス!
出典:版元ドットコム(2026年10月9日時点)
版元は同じ紹介文の中で「王道の警察小説」とも「クライム・サスペンス」とも書いています。捜査する側と犯す側の両方を追う構成だと読めます。
ただし、犯人の視点が本文でどの程度の分量を占めるかは公表されていません。 版元の紹介が犯人側の記述から始まることと、「周到な準備と計画によって強盗殺人を遂行していく男――」という一文が置かれていることだけが手がかりです。
悪逆に関するよくある質問
悪逆の文庫版はいつ出ますか
2026年11月6日です。 朝日文庫から1,320円(税込)・688ページで出ます。初版奥付日は2026年11月30日です。
単行本と文庫で中身は違いますか
2026年10月9日時点で、加筆や改稿の告知はありません。 ページ数は584→688へ増えますが、これは判型が小さくなったためです。
単行本と文庫はどちらを買うべきですか
これから読むなら文庫です。 単行本2,200円に対して文庫は1,320円で、880円安い。ただし厚さ26mmなので、持ち運びを重視する人は現物の厚みを見てから決めるのがよいでしょう。
悪逆はどんな賞を取りましたか
第58回吉川英治文学賞(2024年)です。賞を運営する講談社の歴代受賞作品一覧に「悪逆/黒川博行/朝日新聞出版刊」として掲載されています。贈呈式は受賞者6名が登壇して行われました。
シリーズものですか。前に読んでおく本はありますか
版元の書誌にシリーズ表記はありません。 主人公は大阪府警捜査一課の舘野と箕面北署の玉川ですが、この2人を主人公とする他の作品は版元が示していません。 前提となる既刊も挙げられていないため、本作から読めます。
688ページは読むのにどれくらいかかりますか
文庫判688ページなので、通しで9〜12時間が目安です。一般的な文庫2冊分の分量にあたります。
黒川博行は初めてです。これから読めますか
読めます。 本作は単独の長編で、前提知識は要りません。警察小説を横断して探したい場合は警察小説おすすめ20選、受賞作から入りたい場合は吉川英治文学賞 歴代受賞作一覧が入口になります。
実在の事件がもとになっていますか
版元はモデルを示していません。 過払い金・マルチ商法・新興宗教という題材は現実にもありますが、特定の事件との関係は公表されていないため本記事では断定しません。
まとめ|賞を取って3年、880円安く688ページで文庫になる
- 『悪逆』は2026年11月6日・朝日文庫・1,320円(税込)・文庫判688ページ・厚さ26mm
- ★第58回吉川英治文学賞(2024年)受賞作。 講談社の歴代一覧に「悪逆/黒川博行/朝日新聞出版刊」として掲載
- ★底本は2023年10月6日の単行本(584ページ・2,200円)。文庫化で880円安くなり、単行本の60.0%の値段になる
- ★584→688ページで104ページ増えるが、判型が小さくなったためで、加筆の告知はない。ただし厚さ26mmは一般的な文庫の2倍前後
- 単行本から文庫化まで3年1か月
- 追うのは大阪府警捜査一課の舘野と箕面北署のベテラン部屋長・玉川
- 殺されるのは過払い金マフィア・マルチの親玉・カルトの宗務総長で、被害者の側が「悪党」という構図
- 犯人は警察捜査の内情を知悉する男。警察は手口の違いから同一犯でないと判断する
- 版元の掲げ方は「ラスト5ページまで結末が読めない」「圧巻のクライム・サスペンス」
- シリーズ表記は無く、前提となる既刊も示されていない
殺されていくのは、放っておいても誰も困らない人間ばかりです。 それでも捜査は始まる。警察小説として正面から書かれているのは、そこを飛ばさないところです。



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