『この夏の星を見る』は、辻村深月が書いた青春小説の長編で、コロナ禍で部活も行事も止められた中高生たちが、離れた土地どうしをオンラインでつないで「スターキャッチコンテスト」という手作りの大会を開く作品です。2023年6月にKADOKAWAから刊行され、2025年6月に角川文庫(上下巻)になりました。この記事では、あらすじ・「何もできなかった年」の書き方・文庫の上下巻構成まで紹介します。
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- コロナ禍の中高生を真正面から書いた長編
- 茨城・東京・長崎の五島を結ぶ手作りの天体大会
- 角川文庫は上下巻(2025年6月25日)
この夏の星を見るとは|コロナ禍を舞台にした天文部の長編
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 辻村深月 |
| 単行本 | KADOKAWA・2023年6月30日・488ページ・2,090円(ISBN 978-4-04-113216-6) |
| 文庫(上) | 角川文庫・2025年6月25日・336ページ(ISBN 978-4-04-116291-0) |
| 文庫(下) | 角川文庫・2025年6月25日・272ページ(ISBN 978-4-04-116290-3) |
| 舞台 | 茨城県土浦市/東京都渋谷区/長崎県五島列島 |
出典:KADOKAWA『この夏の星を見る』、国立国会図書館サーチ、版元ドットコム(2026年9月14日時点)
文庫は上下2冊に分かれています。単行本488ページが、上巻336ページ・下巻272ページに分冊されました。書店で片方だけ買わないよう注意してください。
この夏の星を見るのあらすじ|止められた部活と、それでも見る星

活動できない天文部
亜紗は高校2年生で、天文部に所属しています。
感染症対策のため、合宿も遠征も、部活そのものも制限されます。
離れた土地の同学年たち
真宙は中学1年生で、学年でただ一人の男子という立場にいます。
円華は長崎・五島の高校3年生で、島の外から来る人への警戒が学校生活に影を落としています。
三人はそれぞれ別の土地で、別の窮屈さを抱えています。
オンラインでつないだ「スターキャッチコンテスト」
集まれないなら、つなげばいい。
生徒たちは離れた場所から同時に望遠鏡を向け、目標の星をどれだけ速く捉えられるかを競う大会を、自分たちで組み立てます。
同じ空を、別々の土地から見るという一点だけで成立する競技です。
この夏の星を見るの3つの読みどころ

1. 「奪われた年」を取り返す話にしていない
コロナ禍を扱う物語は、失われたものを取り戻す形になりがちです。
本作は取り戻せなかったことを、取り戻せないまま書きます。
中止になった大会は中止のままです。そのうえで、別のものを新しく作るという選択だけが描かれます。
2. 大会のルールが人物配置そのもの
スターキャッチコンテストは、望遠鏡を目標の星に向ける速さを競います。
離れているほど条件が違い、五島の暗い空と渋谷の明るい空は同じではありません。
不公平が最初から織り込まれた競技であることが、そのまま三つの土地の事情の違いに重なります。
3. 大人が邪魔をしない
生徒の企画を止める大人は出てきますが、悪役として書かれません。
判断の理由が示されるため、読者は誰かを責める位置に立たされずに済みます。
この夏の星を見るの版と入手方法

| 版 | 出版社 | 刊行 |
|---|---|---|
| 単行本 | KADOKAWA | 2023年6月30日・488ページ・2,090円 |
| 文庫(上) | 角川文庫 | 2025年6月25日・336ページ |
| 文庫(下) | 角川文庫 | 2025年6月25日・272ページ |
新刊書店で手に入りやすいのは角川文庫の上下巻です。上巻だけでは完結しません。
この夏の星を見るの読了時間と難易度
単行本488ページ(文庫上下で計608ページ)で、一般的な読書速度で8〜10時間が目安です。
視点人物が3人いるため、序盤は誰の話かを確認しながら進むことになります。天文の知識は不要で、望遠鏡の扱いも作中で説明されます。中学生から読める文章で、学校で配られる課題図書としても扱いやすい難度です。
この夏の星を見るに関するよくある質問
この夏の星を見るは何か賞を受賞しましたか
2026年9月時点で、主要文学賞の受賞は確認できていません。本屋大賞は第21回(2024年)の一次投票で第13位となりましたが、ノミネート10作には入っていません。
文庫は上下巻ですか
上下巻です。角川文庫版は2025年6月25日に上(336ページ)・下(272ページ)が同時刊行されました。角川つばさ文庫からも児童向けの版が出ています。
映像化されていますか
2025年7月4日に実写映画が公開されました。桜田ひよりが主演しています。
コロナ禍の話は重いですか
感染症対策で行事が中止になる場面は出てきますが、感染や死の描写を主題にはしていません。止められた側が何を作るかに焦点があります。
辻村深月の他の作品はどれを読むべきですか
直木賞を受けた『鍵のない夢を見る』や、映画化された『朝が来る』が代表作です。作品一覧は辻村深月の新刊・新作ガイドにまとめています。
まとめ|同じ空を、別々の土地から見る
- 『この夏の星を見る』は、コロナ禍で活動を止められた中高生が、オンラインで天体観測の大会を自作する長編
- 舞台は茨城・東京・長崎の五島の3か所で、視点人物も3人
- 失われたものを取り戻す話ではなく、別のものを新しく作る話として書かれている
- 現行版は角川文庫の上下巻(2025年6月25日)
集まれないことを、そのまま競技のルールに変えてしまった人たちの話です。
長編や積んだままの本ほど、聴くと最後までたどり着けます。
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