塩田武士の『罪の声』を読むべき理由を、第7回山田風太郎賞受賞という評価・昭和最大級の未解決事件に着想を得た重厚な社会派ミステリという設定・脅迫テープの「子どもの声」を軸にした構成の3観点で完全解説。
一本のカセットテープから、封印された事件の真相へと迫っていく圧巻の群像ミステリを、ネタバレを最小限に紹介します。
最終更新日: 2026年7月25日
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罪の声とは|山田風太郎賞に輝いた塩田武士の社会派ミステリ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 塩田武士 |
| ジャンル | 社会派ミステリ/サスペンス |
| 単行本発売 | 2016年8月(講談社) |
| 文庫化 | 講談社文庫(2019年5月) |
| 文庫ISBN | 978-4-06-514825-9 |
| 受賞 | 第7回山田風太郎賞 |
| ランキング | 週刊文春ミステリーベスト10 国内部門第1位・本屋大賞第3位 |
| 題材 | 実在の未解決事件に着想を得たフィクション |
| 映画化 | 2020年(土井裕泰監督・小栗旬・星野源主演) |
『罪の声』は、塩田武士が第7回山田風太郎賞を受賞した社会派ミステリです。
昭和に起きた実在の未解決事件(グリコ・森永事件)に着想を得たフィクションとして書かれ、事実をなぞるのではなく「もし当事者がいたら」という想像力で物語を組み立てています。
「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門第1位、第14回本屋大賞第3位に輝き、2020年には小栗旬・星野源主演で映画化された話題作です。
罪の声のあらすじ|一本のテープから始まる真相への旅

物語は、京都でテーラーを営む曽根俊也が、父の遺品の中から一本のカセットテープを見つける場面から動き出します。
自分の声が録音されていたテープ
再生されたテープには、幼い子どもの声が吹き込まれていました。
それは、かつて世間を震撼させた未解決の脅迫事件で、犯行グループが使ったとされる「子どもの声」と重なるものだった——。
自分がその事件に関わっていたのではないかという疑念を抱いた俊也は、静かに過去をたどり始めます。
記者と当事者、二つの視点が交わる
もう一方の視点となるのが、新聞社の特別企画班に選ばれた記者・阿久津英士です。
時効を迎えた事件の真相を追う阿久津の取材と、テープの声の意味を探る俊也の歩み。
立場の異なる二人の追跡が少しずつ近づいていく群像劇の構成が、本作の大きな読みどころになっています。
※あらすじは物語の入口までにとどめ、事件の核心には触れていません。
罪の声の3つの読みどころ

1. 第7回山田風太郎賞を受賞した社会派ミステリの完成度
本作は第7回山田風太郎賞を受賞し、「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門第1位・本屋大賞第3位という高い評価を集めました。
エンターテインメントとしての推進力と、社会派としての重みを両立させた構成が、幅広い読者と選考委員に支持された一冊です。
2. 実在の未解決事件に着想を得たフィクションの想像力
本作は、昭和に起きた実在の未解決事件(グリコ・森永事件)に着想を得たフィクションです。
史実そのものを解説する作品ではなく、「事件に使われた子どもの声は誰のものだったのか」という一点から物語を立ち上げているのが特徴です。
実在の事件を扱いつつも、あくまで作者の想像によって描かれた人物たちのドラマとして読むのが、本作の正しい味わい方といえます。
3. 「声」に人生を奪われた人々の群像
本作のタイトルにもなっている「声」は、事件に巻き込まれた人々のその後の人生を象徴しています。
一つの事件が、無関係だったはずの子どもたちの人生をどう変えてしまったのか——。
加害と被害の境界を静かに問い直す視線が、単なる謎解きを超えた読後感をもたらします。
罪の声の構造|「追う記者」と「たどる当事者」の二重視点

| 項目 | 阿久津英士(記者) | 曽根俊也(当事者) |
|---|---|---|
| 立場 | 事件を取材する側 | 事件に関わった可能性がある側 |
| 動機 | 未解決事件の真相を追う | テープの声の意味を知りたい |
| 視点 | 社会・報道の側から | 個人・家族の側から |
| 物語での機能 | 事実を掘り起こす | 記憶と過去をたどる |
本作の構造は、「外から事件を追う阿久津」と「内側から過去をたどる俊也」という二つの視点で成り立っています。
報道の視点と当事者の視点が交差することで、事件が多層的に立ち上がっていくのがこの物語の巧みさです。
塩田武士が新聞記者出身であることが、取材描写のリアリティに生きています。
罪の声と塩田武士の他作品の関係
塩田武士は新聞記者出身の作家として、社会の現実を土台にしたミステリ・エンタメを書き続けています。
| 関連作品 | 概要 | 関係性 |
|---|---|---|
| 罪の声 | 第7回山田風太郎賞 | 社会派ミステリの代表作 |
| 歪んだ波紋 | 誤報をめぐる連作 | 報道の光と影を描く |
| 騙し絵の牙 | 出版業界が舞台 | 大泉洋を当て書きした話題作 |
塩田武士の「社会と人間を見据えるミステリ」に触れたいなら、まず『罪の声』から入るのがおすすめです。
報道・メディアを題材にした作品群と読み比べると、この作家が一貫して描く「事実と人間」のテーマがより立体的に見えてきます。
罪の声の読了時間と難易度
- 読了時間目安: 約9〜11時間(講談社文庫版・約540ページの長編)
- 難易度: ★★★☆☆(事件の背景を追う場面はあるが、物語として読みやすい)
- おすすめタイプ: 社会派ミステリが好きな人/群像劇や重厚な人間ドラマを味わいたい人/映画を観て原作が気になった人
予備知識がなくても十分に楽しめますが、昭和の未解決事件の空気感を知っていると、物語の背景がより鮮明に立ち上がります。
読み応えのある社会派ミステリをじっくり味わいたい方に適した一冊です。
罪の声に関するよくある質問
Q. 実話がベースなの?
A. 実在の未解決事件(グリコ・森永事件)に着想を得たフィクションです。
事件そのものを記録した作品ではなく、「もし当事者がいたら」という作者の想像によって描かれた物語です。
実在の人物を断定的に描くものではないため、あくまでフィクションとして読むのが前提になります。
Q. ミステリ初心者でも読める?
A. 十分に読めます。
複雑なトリックを解くタイプではなく、二つの視点が交わっていく物語の流れを追う構成なので、ミステリに不慣れでも入りやすい作品です。
Q. 映像化はされている?
A. 2020年に映画化されています。
土井裕泰監督、小栗旬・星野源のダブル主演で公開されました。原作は登場人物一人ひとりの心情や事件の背景を、より詳しく文章で追えるのが魅力です。
Q. シリーズもの?
A. 本作は独立した長編です。
シリーズの一部ではなく、1冊で完結します。塩田武士の他の社会派作品とあわせて読むと、作風の広がりを楽しめます。
まとめ|罪の声は山田風太郎賞に輝いた塩田武士の社会派ミステリ
『罪の声』は、塩田武士が第7回山田風太郎賞を受賞し、週刊文春ミステリーベスト10国内部門第1位・本屋大賞第3位に輝いた社会派ミステリ。
父の遺品のカセットテープに残された「子どもの声」から、封印された未解決事件の真相へと迫っていく——実在の事件に着想を得ながら、あくまでフィクションとして人間のドラマを描いた重厚な一冊です。
社会派ミステリが好きな方・群像劇を味わいたい方・映画から原作が気になった読者におすすめできる作品。
講談社文庫版で手に取って、記者と当事者、二つの視点が交わるミステリの醍醐味を堪能してみてください。
- 講談社文庫版がおすすめ・電子書籍版あり
- 第7回山田風太郎賞を受賞した社会派ミステリ
- 映画版(小栗旬・星野源)とあわせてチェック可
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罪の声・関連作品の読書ガイド
出典・参考情報
- 講談社『罪の声』製品情報(講談社文庫・ISBN 978-4-06-514825-9)
- 第7回山田風太郎賞 受賞情報
- Wikipedia「罪の声」項目(映画化・題材・受賞情報/最終確認: 2026年7月25日)




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