凪良ゆうの『わたしの美しい庭』を、屋上の縁切り神社という唯一無二の舞台設定・血のつながらない父娘が紡ぐ日常の温もり・多様な生きづらさを肯定するテーマの3観点で完全解説。
「普通じゃない」と言われる家族の形が、訪れる人々の心をそっと解きほぐす連作短編を、ネタバレを最小限に紹介します。
最終更新日: 2026年6月9日
※本ページはアフィリエイトリンクを含みます。
- 屋上の縁切り神社を舞台にした連作短編
- 血のつながらない父娘・百音と統理の日常
- ポプラ文庫版・電子書籍・中古版すべてチェック可能
わたしの美しい庭 あらすじ|縁切り神社と「普通じゃない」家族の物語
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 凪良ゆう |
| ジャンル | 現代小説/連作短編 |
| 単行本発売 | 2019年12月(ポプラ社) |
| 文庫化 | ポプラ文庫 2021年12月 |
| 文庫ISBN | 978-4-591-17206-3 |
| 舞台 | 都市の集合住宅・屋上の縁切り神社 |
| 主要人物 | 百音・統理・路有 |
| テーマ | 多様な家族・生きづらさの肯定 |
| 関連作 | 星を編む 凪良ゆう レビュー |
『わたしの美しい庭』は、凪良ゆうが2019年に発表した連作短編集です。
屋上に縁切り神社のある集合住宅を舞台に、血のつながらない父娘・百音と統理、そして生きづらさを抱えて神社を訪れる人々の物語が、やさしく積み重なっていきます。
「普通じゃない」と言われ続けた人たちが、この場所でそっと息をつく——凪良ゆうの温かな視線が光る一作です。
わたしの美しい庭のあらすじ|屋上の縁切り神社に集う人々

物語の舞台は、都市の一角に建つ集合住宅の屋上庭園の奥にある、小さな縁切り神社。
悪縁・悪習慣・心の重荷を断ち切ってくれるという言い伝えから、地域の人々が訪れる場所です。
百音と統理——血のつながらない父娘の日常
この神社を管理しているのが統理。
彼は、亡き元妻の娘である小学生の百音と、血のつながりのない二人暮らしを続けています。
毎朝、同じ集合住宅に住む路有が遊びにきて、三人で一緒にご飯を食べる——それが彼らの「普通」の日常です。
「そんな暮らし、おかしい」と言う人もいます。
でも百音と統理は、今日もいつもどおりに、屋上の庭で花に水をやり、神社を訪れる人たちを迎えます。
縁切り神社に集まる生きづらさ
連作短編の各話では、さまざまな生きづらさを抱えた人々が神社に引き寄せられるように登場します。
家族のあり方に悩む人、自分の居場所を見つけられない人、人間関係の重荷に疲れた人——。
彼らは、百音・統理・路有の三人との触れ合いのなかで、少しだけ自分を許す術を見つけていきます。
わたしの美しい庭の3つの読みどころ

1. 縁切り神社×連作短編という唯一無二の舞台設定
屋上に縁切り神社がある集合住宅という設定は、本作だけの発明です。
「縁を切る」という行為が、憎しみではなく自分を守るための選択として描かれ、その場所に集まる人々の物語がやさしく連なっていきます。
凪良ゆうが得意とする「あたたかな世界観のなかに、鋭い社会的視点を組み込む」技法が光る舞台設定です。
2. 血のつながらない家族が示す、家族のかたち
百音と統理の関係は、戸籍上も血縁上もつながらない「父娘」です。
しかしその日常は、どこまでも自然で穏やかです。
「家族とは何か」「一緒にいることの意味とは何か」——本作はその問いを、説教なしに読者に手渡します。
家族の多様なかたちを、押しつけがましくなく肯定している点が、多くの読者の共感を呼んでいます。
3. 多様な生きづらさをそっと肯定するテーマ
各話に登場する人々が抱えるのは、「普通ではない」と言われ続けた傷や、自分自身を責めてしまう感情です。
本作は、彼らを救済するのでも矯正するのでもなく、「あなたのままでいい」とそっと傍らに立つ物語を選びます。
生きづらさを感じている読者が、読後に少し楽になれる一冊です。
わたしの美しい庭の構造|連作短編が織りなす「御殿」の世界

| 視点 | 内容 |
|---|---|
| 軸となる人物 | 百音・統理・路有の三人 |
| 各話の構造 | 神社を訪れる「その人」の物語 |
| 場所の機能 | 縁切り神社が人々を引き寄せる装置 |
| 物語の積み重なり | 各話の人物が緩やかにつながる連作構造 |
本作は「御殿」(集合住宅の愛称)という場所を軸に、百音・統理・路有の日常と、神社を訪れる人々の物語が交互に織り重なる連作短編集です。
それぞれの話が独立して読めながら、読み進めるほど「御殿」という場所への愛着が深まっていく——そうした構造の妙が、本作の大きな魅力のひとつです。
わたしの美しい庭と凪良ゆうの他作品の関係
凪良ゆうは、「流浪の月」で2020年本屋大賞を受賞して以来、現代日本文学を代表する作家として注目されています。
| 関連作品 | 概要 | 関係性 |
|---|---|---|
| 星を編む | 『汝、星のごとく』続編・講談社 | 愛と喪失の連作短編 |
| 純文学・話題作 | 凪良ゆう含む話題作一覧 | 同時代の注目作を探す |
「生きづらさへの眼差し」という点で、『わたしの美しい庭』と『星を編む』は通底するものがあります。
本作を読んだあとに凪良ゆうの全作品ガイドを参照すると、作家としての一貫したテーマが見えてきます。
わたしの美しい庭の読了時間と難易度
- 読了時間目安: 約5〜7時間(ポプラ文庫版・連作短編)
- 難易度: ★★☆☆☆(読みやすく、幅広い読者に開かれている)
- おすすめタイプ: 凪良ゆうファン/家族・生きづらさをテーマにした作品が好きな人/連作短編が好きな人
特別な予備知識は不要で、各話から読み始めても楽しめます。
ただし最初から順番に読むと、「御殿」という場所への愛着が積み重なり、後半の余韻がさらに深まります。
わたしの美しい庭に関するよくある質問
Q. 「縁切り神社」は実在する?
A. 本作の縁切り神社はフィクションです。
屋上庭園の奥にある小さな神社という設定は凪良ゆうの創作です。
ただし、縁切り縁結び碑(京都・安井金比羅宮など)のような縁切りを祀る神社は実在します。
Q. シリーズもの?
A. 本作は独立した連作短編集で、1冊で完結します。
凪良ゆうの他の作品とは世界を共有していませんが、テーマの通底を感じながら読むことができます。
Q. 映像化はされている?
A. 2026年6月時点で、映像化(ドラマ・映画)の正式な公式発表は確認できていません。
Q. 『流浪の月』との違いは?
A. 本作は『流浪の月』よりも穏やかで、やさしい読み心地です。
『流浪の月』が社会の視線と闘う物語だとすれば、本作はその傷をそっと抱きしめる物語といえます。
凪良ゆう入門として本作から読み始めることもおすすめです。
まとめ|わたしの美しい庭は生きづらさをそっと肯定する連作短編
『わたしの美しい庭』は、凪良ゆうが屋上の縁切り神社を舞台に、血のつながらない父娘・百音と統理の日常と、生きづらさを抱えた人々の物語を編み上げた連作短編集。
「普通じゃない」を否定するのでなく、そのままの自分でいいと静かに肯定してくれる——読後、きっと少しだけ心が軽くなる一冊です。
凪良ゆうファン・家族のかたちを問い直したい読者・連作短編が好きな方におすすめできます。
ポプラ文庫版で手に取って、凪良ゆうの全作品ガイドとあわせて、その世界観を堪能してみてください。
- ポプラ文庫版がおすすめ・電子書籍版あり
- 縁切り神社×連作短編・読みやすく深い一冊
- 凪良ゆう全作品もまとめてチェック可
ヨムマップは小説情報を実体験ベースで継続更新しています
わたしの美しい庭・関連作品の読書ガイド
出典・参考情報
- ポプラ社『わたしの美しい庭』単行本公式ページ(発売日: 2019年12月)
- ポプラ社『わたしの美しい庭』ポプラ文庫公式ページ(発売日: 2021年12月)
- 版元ドットコム ISBN: 9784591172063(最終確認: 2026年6月9日)
- Amazon.co.jp 書籍ページ(最終確認: 2026年6月9日)



コメント