安部公房(あべ・こうぼう、1924年〜1993年)は、1951年に「壁」で第25回芥川賞を受賞した作家です。1963年に『砂の女』で第14回読売文学賞、1967年に「友達」で第3回谷崎潤一郎賞を受賞しました。
日常がいつの間にか不条理な状況に変わっているという作風で知られ、作品は30以上の言語に翻訳されています。難解という印象を持たれがちですが、入口さえ間違えなければ読めます。本ページでは読みやすさ順に整理します。
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安部公房のおすすめ|まず結論(初心者はこの3冊から)
- はじめての1冊は『砂の女』 … 砂の穴の底の家に閉じ込められた男を描いた長編。筋がはっきりしていて、安部作品でもっとも読みやすい代表作です。
- 芥川賞受賞作から入るなら『壁』 … 名前を失った男の物語。実験的で、安部公房の出発点が分かります。
- 短い作品で試すなら『人間そっくり』 … ラジオ番組にかかってきた一本の電話から始まる中編。
安部公房のおすすめ 人気ランキングTOP10

順位は、①代表作としての定着度、②読みやすさ、③現在も文庫で入手しやすいかから、ヨムマップ編集部が整理しました。安部公房は作品ごとの難易度差が大きいので、入門度を重視しています。
| 順位 | タイトル | 文庫 | 受賞・特徴 | 入門度 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 砂の女 | 新潮文庫 | 第14回読売文学賞・映画化 | ★★★ |
| 2 | 壁 | 新潮文庫 | 第25回芥川賞 | ★★ |
| 3 | 人間そっくり | 新潮文庫 | 短め・会話中心 | ★★★ |
| 4 | 第四間氷期 | 新潮文庫 | 日本初期のSF長編 | ★★ |
| 5 | 他人の顔 | 新潮文庫 | 顔を失った男の手記 | ★★ |
| 6 | 箱男 | 新潮文庫 | 段ボール箱をかぶって暮らす男 | ★ |
| 7 | 燃えつきた地図 | 新潮文庫 | 失踪した男を追う探偵 | ★★ |
| 8 | 笑う月 | — | エッセイ・短編集 | ★★★ |
| 9 | 友達 | — | 第3回谷崎潤一郎賞(戯曲) | ★★ |
| 10 | 緑色のストッキング | — | 第26回読売文学賞(戯曲) | ★ |
1位. 砂の女(新潮文庫)
昆虫採集に出かけた男が、砂の穴の底にある家に閉じ込められる長編です。1963年1月に第14回読売文学賞を受賞しました。
安部公房の作品のなかで最も筋がはっきりしており、読みやすい1冊です。1964年に勅使河原宏監督で映画化され、カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞しました。安部公房を初めて読むなら、迷わずここからです。
2位. 壁(新潮文庫)
ある朝、自分の名前を失っていた男を描いた作品で、1951年7月に第25回芥川賞を受賞しました。
実験的で、『砂の女』よりは読者を選びます。ただし安部公房がどこから出発したのかが分かるので、2冊目として読む価値があります。
3位. 人間そっくり(新潮文庫)
「火星人です」と名乗る男が訪ねてくるところから始まる中編です。ほぼ全編が二人の会話で進み、どちらが正常なのか分からなくなっていきます。
短く、会話中心で読みやすいので、長編が不安な人の入口に向いています。
4位. 第四間氷期(新潮文庫)
未来を予言する計算機をめぐる長編で、日本の初期SFの代表作とされます。1958年から59年にかけて発表されました。
5位. 他人の顔(新潮文庫)
事故で顔を失った男が、精巧な仮面を作って妻に近づくという長編です。手記の形式で書かれています。
6位. 箱男(新潮文庫)
段ボール箱をかぶって街をさまよう男の記録です。安部公房の作品のなかでも特に実験的で、語り手すら定かでない構成になっています。
最初の1冊には向きません。『砂の女』『壁』を読んで作風が合った人が進む1冊です。2024年に映画化されました。
7〜10位|さらに読みたい作品
- 7位 燃えつきた地図(新潮文庫) … 失踪した男を追う興信所員が、自分を見失っていく長編。
- 8位 笑う月 … 夢をめぐるエッセイと短編を集めた1冊。小説より入りやすいので、安部公房の頭の中を覗く入口になります。
- 9位 友達 … 1967年に第3回谷崎潤一郎賞を受賞した戯曲。見知らぬ9人家族が部屋に住み着く話です。
- 10位 緑色のストッキング … 1975年2月に第26回読売文学賞を受賞した戯曲。
※8〜10位は版が複数あるため、書影カードは掲載していません。購入時は最新の版をご確認ください。
小説家であり、劇作家でもあった
安部公房の受賞歴を見ると、小説と戯曲の両方で賞を受けていることが分かります。
| 分野 | 賞 | 作品 |
|---|---|---|
| 小説 | 第25回芥川賞(1951年) | 壁 |
| 小説 | 第14回読売文学賞(1963年) | 砂の女 |
| 戯曲 | 第5回岸田演劇賞(1958年) | 幽霊はここにいる |
| 戯曲 | 第3回谷崎潤一郎賞(1967年) | 友達 |
| 演劇 | 第22回芸術選奨文部科学大臣賞(1972年) | 未必の故意/ガイドブック |
| 戯曲 | 第26回読売文学賞(1975年) | 緑色のストッキング |
1970年代は演劇の活動が中心で、自らの劇団「安部公房スタジオ」を率いていました。小説だけを読んでいると見落としやすい側面です。
安部公房のおすすめをタイプ別に
| こんな人に | おすすめ |
|---|---|
| まず代表作から | 砂の女 |
| 芥川賞受賞作から | 壁 |
| 短い作品で試したい | 人間そっくり/笑う月 |
| SFが好き | 第四間氷期 |
| 実験的な作品に挑みたい | 箱男 |
| 映画から入りたい | 砂の女/箱男 |
よくある質問
Q. 安部公房は何から読むのがおすすめ?
A. 『砂の女』(新潮文庫)です。砂の穴に閉じ込められた男を描いた長編で、安部作品のなかで最も筋がはっきりしていて読みやすい1冊です。
Q. 難解だと聞きましたが読めますか?
A. 作品によってかなり違います。『砂の女』『人間そっくり』は筋が追いやすく読めます。一方『箱男』は特に実験的なので、最初の1冊には向きません。
Q. 芥川賞を受賞した作品はどれですか?
A. 「壁」です。1951年7月に第25回芥川賞を受賞しました。
Q. 映画化された作品は?
A. 『砂の女』(1964年・勅使河原宏監督)がカンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞しています。『箱男』も2024年に映画化されました。最新の配信状況は各公式サイトをご確認ください。
Q. 戯曲も書いていたのですか?
A. 書いていました。岸田演劇賞・谷崎潤一郎賞(『友達』)・読売文学賞(『緑色のストッキング』)と、戯曲でも複数の賞を受けています。1970年代は自らの劇団を率いて演劇活動が中心でした。
まとめ|まずは『砂の女』から
安部公房は、日常が不条理に変わっていく作風で世界的に読まれてきた作家です。入口に迷ったら『砂の女』。短い作品で試すなら『人間そっくり』、芥川賞受賞作なら『壁』へ進んでください。
『箱男』は3冊目以降にするのが安全です。
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出典・参考情報
- 新潮社 公式製品情報『砂の女』『壁』『箱男』『他人の顔』『燃えつきた地図』『第四間氷期』『人間そっくり』
- 「文学賞の世界」安部公房の受賞・候補記録(戦後文学賞・芥川賞・岸田演劇賞・読売文学賞・谷崎潤一郎賞・芸術選奨ほか)
- openBD(書誌・ISBNの確認)









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