『悪魔の手毬唄(あくまのてまりうた)』は、横溝正史の金田一耕助シリーズの中でも、見立て殺人の代表作として名前を挙げられることの多い長編です。岡山県と兵庫県の県境にある寒村・鬼首村(おにこべむら)で、村に古くから伝わる手毬唄の歌詞のとおりに、若い娘たちが次々と殺されていきます。2026年にはNHK BSプレミアム4Kで、吉岡秀隆さんが金田一耕助を演じる前後編ドラマも放送されました。この記事では、あらすじ・読みどころ・映像化まで、トリックと犯人には一切触れずに紹介します。
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- 見立て殺人の代表作として名高い長編
- 2026年にNHK BSプレミアム4Kで前後編ドラマ化
- 角川文庫で入手しやすく電子書籍版もあり
悪魔の手毬唄とは|見立て殺人の代表作と呼ばれる一冊
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 横溝正史 |
| ジャンル | 本格探偵小説/見立て殺人 |
| 初出 | 『宝石』1957年8月号〜1959年1月号 連載 |
| 文庫 | 角川文庫 |
| 文庫ISBN | 978-4-04-130402-0 |
| 舞台 | 岡山県と兵庫県の県境にある寒村・鬼首村 |
| 見立て | 村に伝わるとされる手毬唄の歌詞(唄自体は作中の創作) |
| 映像化 | 1961年映画・1977年映画(市川崑/石坂浩二)・2026年 NHK BSプレミアム4K 前後編(吉岡秀隆) ほか |
| 関連作 | 金田一耕助シリーズを読む順番・横溝正史のおすすめ |
『悪魔の手毬唄』は、1957年8月号から1959年1月号にかけて『宝石』に連載された長編です。
『獄門島』の俳句と並んで、横溝正史の「見立て」の代表例として語られます。
特徴的なのは、見立ての元になる手毬唄が実在の伝承ではなく、作中のために作られた創作であることです。
土地に伝わっているかのように提示された唄が、事件を導く——その構えが、本作の不気味さを支えています。
悪魔の手毬唄のあらすじ|静養に訪れた村で唄が動き出す

物語は、金田一耕助が静養のために鬼首村を訪れるところから始まります。
温泉宿「亀の湯」での滞在
金田一が紹介されて滞在するのは、村の温泉宿「亀の湯」です。
事件を追ってきたわけではなく、あくまで骨休めのための逗留でした。
しかし村に滞在するうちに、23年前に起きた未解決の事件の話が耳に入ってきます。
村に残る手毬唄
鬼首村には、古くから唄い継がれてきたとされる手毬唄がありました。
娘たちが手毬をつきながら口ずさむ、なんということもない唄です。
ところが、村で若い娘が殺されはじめると、その死のかたちが唄の歌詞をなぞっていることに気づかされます。
過去と現在がつながる
23年前の事件と、いま起きている連続殺人。
その二つがどこで結び目を作るのかが、物語の中心にあります。
答えがどこへ落ちるのかは、ぜひご自身で確かめてください。
悪魔の手毬唄の3つの読みどころ

1. 「唄のとおりに人が死ぬ」という不気味さ
見立て殺人の恐ろしさは、次に何が起きるかを唄が先に告げてしまうことにあります。
読者は歌詞を知っているのに、それを止められないまま次の死を待つことになります。
『獄門島』の俳句見立てと並んで、この趣向を徹底した作品として読まれ続けています。
2. 23年という時間の重みが効いている
本作は、現在の事件だけでは完結しません。
23年前に起きた出来事が、村の人間関係の底に沈んだまま残っている——その時間の厚みが、事件に説得力を与えています。
過去を掘り起こしていく後半の展開は、横溝作品の中でもとりわけ読み応えがあります。
3. 村という共同体の描写
鬼首村は、県境にある小さな村です。
血縁と因縁が幾重にも絡み合い、外から来た者には見えない関係が張り巡らされています。
『八つ墓村』と同じく、土地そのものが事件の前提になっているのが横溝作品らしいところです。
悪魔の手毬唄の見立て|獄門島との違い

| 項目 | 悪魔の手毬唄 | 獄門島 |
|---|---|---|
| 見立ての素材 | 村に伝わるとされる手毬唄 | 俳句の句 |
| 素材の出所 | 作中のために作られた創作の唄 | 俳諧という既存の形式 |
| 舞台 | 岡山と兵庫の県境の寒村 | 瀬戸内海の孤島 |
| 時間軸 | 23年前の事件と現在が絡む | 終戦直後の数週間に集中 |
| 発表年 | 1957-59年 | 1947-48年 |
同じ「見立て殺人」でも、二作は狙いが違います。
『獄門島』が短い時間に密度を凝縮したのに対し、本作は23年という時間の幅を使って謎を組み立てています。
見立てものを続けて読むなら、この二作を並べて読むのがおすすめです。
シリーズ全体の並びは金田一耕助シリーズを読む順番にまとめています。
悪魔の手毬唄の映像化と関連作品
『悪魔の手毬唄』も、繰り返し映像化されてきた作品です。
1961年には渡辺邦男監督・高倉健さん主演で映画化され、1977年には市川崑監督・石坂浩二さん主演の映画版が公開されました。
テレビドラマでは1977年と1990年に古谷一行さん、1993年に片岡鶴太郎さん、2009年に稲垣吾郎さん、2019年に加藤シゲアキさんが金田一耕助を演じています。
そして2026年、NHK版金田一耕助シリーズの第5弾として、吉岡秀隆さん主演の前後編ドラマがNHK BSプレミアム4Kで放送されました。
演出は吉田照幸さん、脚本は小林靖子さんで、宮沢りえさんらが出演しています。
| 関連作品 | 概要 | 関係性 |
|---|---|---|
| 金田一耕助シリーズを読む順番 | 主要長編の発表順と読む順番 | シリーズの全体像がつかめる |
| 獄門島 | 俳句の句になぞらえた殺人 | 見立て殺人のもう一方の代表作 |
| 八つ墓村 | 落武者伝説の残る村の惨劇 | 同じく村の伝承が骨格になる |
| 犬神家の一族 | 遺言状をめぐる旧家の惨劇 | 知名度でもっとも高い一作 |
| 本陣殺人事件 | 金田一耕助の初登場作 | シリーズの出発点 |
悪魔の手毬唄の読了時間と難易度
- 読了時間目安: 約5〜6時間(角川文庫)
- 難易度: ★★★☆☆(過去と現在の二層構造を追う必要があるが、筋は明快)
- おすすめタイプ: 見立て殺人が好きな人/過去の事件が現在につながる構成を読みたい人/NHK版ドラマを観て原作が気になった人
手毬唄の歌詞は、出てきた時点で軽くメモしておくと後半で効いてきます。
23年前の出来事と現在の登場人物の対応関係を整理しながら読むと、後半の展開がすっと入ります。
歌詞と死のかたちを照らし合わせながら読めるのが、この作品ならではの楽しみ方です。
悪魔の手毬唄に関するよくある質問
Q. 悪魔の手毬唄はどんな話ですか?
A. 静養のため鬼首村を訪れた金田一耕助が、村に伝わるとされる手毬唄の歌詞のとおりに若い娘が次々と殺される事件に巻き込まれる物語です。
23年前に起きた未解決の事件と、現在の連続殺人がどうつながるのかが物語の中心にあります。
Q. 作中の手毬唄は実在する唄ですか?
A. 実在の伝承ではなく、作品のために作られた創作の唄です。
村に古くから伝わっているかのように提示されている点が、この作品の趣向の要になっています。
Q. 獄門島とどちらを先に読むべきですか?
A. どちらからでも読めます。
『獄門島』は終戦直後の短い時間に謎を凝縮した作品、本作は23年という時間の幅を使った作品で、同じ見立て殺人でも読み味が異なります。
発表順にこだわるなら『獄門島』が先です。
Q. 悪魔の手毬唄は映像化されていますか?
A. 繰り返し映像化されています。
1961年の映画(渡辺邦男監督・高倉健主演)、1977年の映画(市川崑監督・石坂浩二主演)のほか、テレビドラマは1977年・1990年(古谷一行)、1993年(片岡鶴太郎)、2009年(稲垣吾郎)、2019年(加藤シゲアキ)などがあります。
2026年にはNHK BSプレミアム4Kで、吉岡秀隆さん主演の前後編ドラマが放送されました。
まとめ|悪魔の手毬唄は時間の厚みで読ませる見立て殺人
『悪魔の手毬唄』は、横溝正史が1957年から『宝石』に連載した長編で、村に伝わるとされる手毬唄の歌詞をなぞって進む連続殺人を描いた見立て殺人の代表作です。
唄が次の死を先に告げる不気味さと、23年という時間が事件に与える重み——この二つが組み合わさることで、単なる趣向を超えた作品になっています。
2026年にはNHK版の前後編ドラマも放送され、原作へ戻る読者が増えています。
読み終えたら、もう一方の見立ての代表作『獄門島』や、同じく村の伝承を骨格にした『八つ墓村』へ進むのがおすすめです。
- 角川文庫で入手しやすく電子書籍版もあり
- 2026年のNHK版ドラマを観る前の予習にも
- 見立て殺人を味わうなら獄門島と並べて読みたい
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悪魔の手毬唄・関連作品の読書ガイド
出典・参考情報
- openBD 書誌情報(ISBN 9784041304020「悪魔の手毬唄」KADOKAWA)
- Wikipedia「悪魔の手毬唄」項目(『宝石』1957年8月号〜1959年1月号連載/舞台は岡山県と兵庫県の県境の寒村・鬼首村、金田一耕助は亀の湯に滞在、23年前の未解決事件/手毬唄は実在しない創作/映像化: 1961年映画 渡辺邦男・高倉健、1977年映画 市川崑・石坂浩二、テレビドラマ 1977年・1990年 古谷一行、1993年 片岡鶴太郎、2009年 稲垣吾郎、2019年 加藤シゲアキ、2026年 NHK BS4K 吉田照幸演出・吉岡秀隆/最終確認: 2026年8月6日)
- ステラnet「NHK版金田一耕助シリーズ第5弾! 吉岡秀隆演じる名探偵が謎に挑む『悪魔の手毬唄』」(脚本: 小林靖子、演出: 吉田照幸、出演: 吉岡秀隆・宮沢りえほか)




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