『町は今日も』は、『水を縫う』で河合隼雄物語賞を受けた寺地はるなの連作で、2026年10月1日にKADOKAWAから出ます。全5話。小学5年生の娘を育てる千緒が、子ども会の役員を引き受けたことから、自分の住む町の輪郭を知っていく話です。初出は『小説 野性時代』の連載で、2025年8月号が最終回でした。この記事では、あらすじと読みどころを整理します。
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※本記事は発売前に公表された情報にもとづいています。
町は今日もとは|『小説 野性時代』連載の全5話
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 寺地はるな(1977年・佐賀県生まれ/大阪府在住) |
| 版元 | KADOKAWA(角川書店単行本) |
| 発売日 | 2026年10月1日 |
| 判型 | 四六判(ページ数は2026年9月29日時点で未公表) |
| 価格 | 1,925円(税込・本体1,750円) |
| ISBN | 978-4-04-115615-5 |
| Cコード | C0093(一般・単行本・日本文学、小説・物語) |
| 初出 | 『小説 野性時代』連載(2025年8月号・第260号が最終回) |
| 構成 | 第一話〜第五話 |
出典:版元ドットコム(KADOKAWA登録データ)、KADOKAWA「『小説 野性時代』2025年8月号配信!」(2026年9月29日時点)
版元が本の頭に置いている一文が、そのまま作品の立ち位置です。
「町で暮らす、すべての人が分かり合うのはむずかしい。それでも――」
出典:BOOK☆WALKER(角川書店単行本 商品ページ)(2026年9月29日時点)
雑誌連載としての出発
書き下ろしではありません。『小説 野性時代』に連載された作品で、2025年8月号(第260号・2025年7月25日発売)が最終回でした。同号では馳星周『海霧』も最終回を迎えています。
出典:KADOKAWA公式トピックス(2026年9月29日時点)
連載最終回に添えられた紹介文は、こうです。
「彼らと心の底からわかりあうことなど、できない気がする。それでも――。「今日」を優しく照らし出す、ある町の物語、最終回。」
出典:KADOKAWA公式トピックス(2026年9月29日時点)
「わかりあえない」を打ち消さずに、そのまま置いたまま話を閉じているのが見て取ります。
町は今日ものあらすじ|役員を引き受けたところから町が見え始める

小学5年生の娘を育てる千緒
主人公の千緒は、小学5年生の娘・奏を育てています。
孤軍奮闘する子ども会会長・剣崎さん
千緒の前に現れるのが、自治会を変えようと孤軍奮闘する子ども会会長・剣崎さんです。千緒はその力になるため、子ども会の役員を引き受けます。
引き受けた先に並んでいた三つの問題
役員になった千緒が直面するのは、次の三つです。
| 問題 | 内容 |
|---|---|
| 自治会の構造 | 男性中心の自治会の在り方 |
| 住民間の差別 | 外国人住民への差別 |
| 家庭の内側 | 保護者夫婦間のモラハラ問題 |
怒り、落ち込み、迷いながら
千緒は目の前の出来事に怒り、落ち込み、迷いながら、子ども会の活動を通して「町」と「自分」を見つめ直していきます。
出典:版元ドットコム(KADOKAWA登録データ)の内容紹介(2026年9月29日時点)
町は今日もの3つの読みどころ

1. 「わかりあえる」を着地点にしていない
この作品の姿勢は、版元の惹句と連載最終回の紹介文の両方が「むずかしい」「できない気がする」から始めて、「それでも――」で止めていることに出ています。
分かり合えた、で終わる話ではありません。分かり合えないまま、同じ町で明日も暮らすという前提に立っています。タイトルの「今日も」は、特別な一日ではなく、続いていく日のほうを指しています。
2. 町の問題を、抽象論ではなく役員の実務として書く
自治会の男性中心構造も、外国人住民への差別も、夫婦間のモラハラも、社会問題として論じられるのではなく、子ども会の役員という立場で目の前に来ます。
これは寺地はるなが繰り返し取ってきた方法です。『水を縫う』では「男の子が刺繍を好きであること」が家族の生活動線の上に置かれ、『川のほとりに立つ者は』では分断と対話が恋人同士の日常に置かれました。扱う問題が大きいほど、持ち場を小さく取るという構えです。
3. 主人公が「変える側」ではなく「引き受けた側」である
動き出すのは剣崎さんのほうで、千緒はその力になるために役員を引き受けた人です。
つまり本作は、改革者の物語ではなく、隣で手を挙げた人の物語として始まります。怒り、落ち込み、迷うという三語が版元紹介文にそのまま入っているとおり、ためらいを削らずに書くのが本作の持ち味になりそうです。
町は今日もの読みどころと、寺地はるなのどこに位置するか

全5話の連作で、四六判です。2026年9月29日時点でページ数は公表されていませんが、連作5話という区切りがあるので、1話ずつ置いて読める形です。
寺地はるなの既刊のなかでは、家族の内側を描いた『水を縫う』より外側、『川のほとりに立つ者は』の「分断と対話」を地域コミュニティへ広げた位置にあります。
| 作品 | 舞台 | 受賞・評価 |
|---|---|---|
| 水を縫う | 家族(全六章) | 河合隼雄物語賞 |
| 川のほとりに立つ者は | 恋人・友人の関係 | 2023年本屋大賞9位 |
| 町は今日も | 町・自治会・子ども会 | 2026年10月1日刊 |
出典:版元ドットコム(KADOKAWA登録の著者プロフィール)(2026年9月29日時点)
刊行にあわせて、芳林堂書店ではお宛名入りサイン本キャンペーンが実施されています。
出典:芳林堂書店(2026年9月29日時点)
町は今日もに関するよくある質問
町は今日もはシリーズものですか
いいえ。単独の作品で、第一話から第五話までの連作です。前提となる既刊はありません。
雑誌連載と単行本で内容は違いますか
2026年9月29日時点で、加筆修正の有無は公表されていません。初出は『小説 野性時代』で、2025年8月号(第260号)が最終回でした。
どんな話ですか
小学5年生の娘・奏を育てる千緒が、自治会を変えようとする子ども会会長・剣崎さんの力になるため、子ども会の役員を引き受ける話です。男性中心の自治会、外国人住民への差別、保護者夫婦間のモラハラに向き合いながら、千緒は「町」と「自分」を見つめ直していきます。
寺地はるなを初めて読みます。どれから読むべきですか
『水を縫う』が入口に向きます。河合隼雄物語賞を受けた代表作で、家族を六章で描く構成が読みやすいためです。本作を先に読んでも問題ありません。
寺地はるなはどんな作家ですか
1977年・佐賀県生まれ、大阪府在住。2014年『ビオレタ』でポプラ社小説新人賞を受賞し、2015年にデビュー。2021年『水を縫う』で河合隼雄物語賞、2023年『川のほとりに立つ者は』で本屋大賞9位に入賞しています。ほかに『架空の犬と嘘をつく猫』『夜が暗いとはかぎらない』『白ゆき紅ばら』『わたしたちに翼はいらない』『こまどりたちが歌うなら』『いつか月夜』などがあります。
まとめ|分かり合えないまま、同じ町で明日も暮らす
- 『町は今日も』は2026年10月1日・KADOKAWA・1,925円(税込)
- 『小説 野性時代』連載で、2025年8月号(第260号)が最終回
- 第一話〜第五話の連作
- 千緒が子ども会の役員を引き受け、男性中心の自治会・外国人住民への差別・夫婦間のモラハラに向き合う
- 版元の惹句は「町で暮らす、すべての人が分かり合うのはむずかしい。それでも――」
分かり合えた、で終わらせないのが本作の構えです。「それでも」の先に何を置くかを見に行く本として手に取るのが正解です。




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