『虚言少年 激闘編』は、百鬼夜行シリーズで知られる京極夏彦の長編で、2026年10月26日に集英社から出ます。2,750円(税込)・四六判592ページ。2011年7月に出た『虚言少年』の続編で、15年ぶりです。
前作で小学生だった3人組が、本作では中学生になっています。集英社は本作を「あの虚言少年が帰ってきたぞ!」「青春不在の青春小説、待望の続編」と紹介しています。この記事では、前作との違いと全7章の構成を一次情報で整理します。
※本ページはアフィリエイトリンクを含みます。
※本記事は発売前に公表された情報にもとづいています。
- 2026年10月26日・集英社・2,750円(税込)・四六判592ページ
- 2011年『虚言少年』の15年ぶりの続編。3人は中学生に
- 主題は「許せる嘘と、許せない嘘。その境目」
虚言少年 激闘編とは|前作から15年、小学生が中学生になる

| 項目 | 本作(激闘編) | 前作『虚言少年』 |
|---|---|---|
| 版元 | 集英社 | 集英社 |
| 形態 | 四六判(単行本) | 単行本(2011年7月)/集英社文庫(2014年9月19日) |
| 発売日 | 2026年10月26日 | 単行本 2011年7月/文庫 2014年9月19日 |
| ページ | 592ページ | 文庫版 530ページ |
| 価格 | 2,750円(税込・本体2,500円) | 文庫版 1,375円(税込) |
| ISBN | 978-4-08-770060-2 | 文庫版 978-4-08-745224-2 |
| Cコード | C0093(一般・単行本・日本文学) | — |
| 作中の学年 | 中学生 | 小学生 |
| 解説 | — | 松尾貴史(文庫版) |
出典:集英社公式『虚言少年 激闘編』、集英社公式『文庫版 虚言少年』、版元ドットコム(2026年10月5日時点)
前作の文庫版が530ページ、本作が592ページです。判型が違う(文庫判と四六判)ので単純比較はできませんが、本作も相当な厚さであることは分かります。
虚言少年 激闘編のあらすじ|ウソッコ団という敵が現れる

版元の紹介
時代劇やドリフが放送されるテレビを家族全員で見ていた、昭和のあの頃。嘘吐きの内本健吾、理屈っぽい京野達彦、異性にモテたい丸顔の矢島誉は、中学生になっても変わらず、どうでもいいことに全力を注ぎ、腹を抱えて笑う日々を送っていた。スリルもサスペンスも謎解きもない。恋愛もない。青春なんて、なおさらない。あるのは、馬鹿馬鹿しい冗談と笑いだけ――のはずだった。
ところが、同じ中学の小此木武史が率いる「ウソッコ団」が健吾たちの前に立ちはだかってしまったから、おだやかでない。「罪のない嘘で世の中を面白可笑しく幸せにする」という彼らは、健吾たちを仲間に引き込もうと、あの手この手で仕掛けてくるのだった。野球、ラブレター、壁新聞、おなら幽霊、そして夏の海。……なんか変なのが混ざったが、許せる嘘と、許せない嘘。その境目をめぐって、虚言少年VSウソッコ団の、しょうもなくも切実な激闘が始まる――!
出典:集英社公式『虚言少年 激闘編』(2026年10月5日時点)
登場人物
| 人物 | 版元の説明 |
|---|---|
| 内本健吾 | 嘘吐き。前作文庫の紹介では「親父臭く嘘吐きな健吾」で語り手 |
| 京野達彦 | 理屈っぽい。前作では「変人だが弁の立つ京野」 |
| 矢島誉 | 異性にモテたい丸顔。前作では「味のある面白さが取り柄の誉」 |
| 小此木武史 | 本作の新キャラ。「ウソッコ団」を率いる |
3人の造形が前作と地続きであることが、両方の紹介文を並べると確認できます。
★対立の軸は「嘘の是非」ではなく「嘘の境目」
ここが本作の設計です。
| 立場 | |
|---|---|
| ウソッコ団 | 「罪のない嘘で世の中を面白可笑しく幸せにする」 |
| 健吾たち | 嘘吐きだが、ウソッコ団には乗らない |
嘘をつかない側と嘘をつく側が対立するのではありません。主人公がもともと嘘吐きで、そこに「嘘で世の中を幸せにする」と唱える集団がぶつかってきます。両方とも嘘をつく側です。
だから版元は「許せる嘘と、許せない嘘。その境目をめぐって」と書きます。善悪ではなく境界線の話です。
虚言少年 激闘編の3つの読みどころ

1. ★版元自身が、前作の惹句を言い換えている
前作と本作で、集英社が付けたジャンル名が変わっています。
| 作品 | 集英社の呼び方 |
|---|---|
| 『文庫版 虚言少年』(2014年) | 〈非・青春小説〉 |
| 『虚言少年 激闘編』(2026年) | 「青春不在の青春小説」 |
出典:集英社公式『文庫版 虚言少年』、同『虚言少年 激闘編』(2026年10月5日時点)
「非・青春小説」は、青春小説であることを否定しています。
「青春不在の青春小説」は、青春小説だと認めたうえで、中身に青春が無いと言っています。
15年で立場が反転しているわけではありませんが、言い方が「否定」から「矛盾を抱えたまま肯定」へ動いているのは確かです。
本文の紹介も同じ構えです。
スリルもサスペンスも謎解きもない。恋愛もない。青春なんて、なおさらない。あるのは、馬鹿馬鹿しい冗談と笑いだけ――のはずだった。
「のはずだった」で終わっています。無いと並べたものが、本作では崩れることを示す書き方です。
2. 全7章の章題が「ソノ一〜ソノ七」で、1つは既存作品のもじり
| 章 | 章題 |
|---|---|
| ソノ一 | 馬鹿を嗣ぐ者 |
| ソノ二 | 阿呆も巣立つ春 |
| ソノ三 | 鈍間大地を駆ける |
| ソノ四 | 冗談と共に去りぬ |
| ソノ五 | 遊戯する嘘と実 |
| ソノ六 | 放屁怪談始末 |
| ソノ七 | バンジヨ! |
出典:集英社公式『虚言少年 激闘編』の目次(2026年10月5日時点)
章番号が「第一章」ではなく「ソノ一」です。カタカナで数える形で、ふざけた調子が目次の時点から出ています。
ソノ四「冗談と共に去りぬ」は、『風と共に去りぬ』をもじった題です。「風」を「冗談」に入れ替えただけという分かりやすい型になっています。
ソノ六「放屁怪談始末」は、あらすじに出てくる「おなら幽霊」に対応します。「始末」という言葉遣いが時代物めいているのも、京極夏彦が百鬼夜行シリーズや『書楼弔堂』で使ってきた語彙です。
ソノ七「バンジヨ!」だけがカタカナで、しかも小書きの「ョ」ではなく大きな「ヨ」です。版元の表記をそのまま引いています。
3. 舞台は昭和。テレビが家族の真ん中にあった頃
版元の一行目はこうです。
時代劇やドリフが放送されるテレビを家族全員で見ていた、昭和のあの頃。
「ドリフ」=ザ・ドリフターズで、『8時だョ!全員集合』などの番組で知られます。時代劇とドリフが同じ画面で流れ、家族全員が一台のテレビの前に集まっていた時代——という設定が、冒頭で提示されます。
ソノ七の章題「バンジヨ!」は、この「全員集合」の響きに通じる形をしています。ただし版元は両者の関係を明示していないので、ここは断定しません。
京極夏彦は1963年生まれです。作中の少年たちと作者の世代が重なる位置にあります。
当サイトでは京極夏彦の新刊・最新刊ガイド、おすすめランキングのほか、『完本 百鬼夜行 陽』、『書楼弔堂 待宵』、『邪魅の雫』などのレビューを公開しています。
虚言少年 激闘編に関するよくある質問
前作『虚言少年』を読んでいないと分かりませんか
版元は本作を「待望の続編」と紹介しており、3人の造形も前作から地続きです。前作を読んでおくと人物関係が入りやすいのは確かです。前作は集英社文庫『文庫版 虚言少年』(2014年9月19日・530ページ・1,375円・解説 松尾貴史)で手に入ります。
前作からどれくらい空いていますか
単行本どうしで15年3か月です(2011年7月→2026年10月26日)。作中でも3人は小学生から中学生に上がっています。
百鬼夜行シリーズと関係ありますか
版元の書誌情報に、他シリーズとの関連の記載はありません。本作は昭和の中学生たちの日常を描く作品で、百鬼夜行シリーズのような妖怪や事件の筋ではありません。版元自身が「スリルもサスペンスも謎解きもない」と書いています。
ミステリーですか
版元は「スリルもサスペンスも謎解きもない」と明記しています。ジャンルとしては「青春不在の青春小説」という版元の呼び方が、いちばん実態に近いことになります。
592ページは重いですか
四六判で592ページなので、通しで10〜12時間が目安です。全7章に分かれているので、章ごとに区切って読めます。
文庫版は出ますか
2026年10月5日時点で、文庫化の告知はありません。参考までに前作は単行本2011年7月→集英社文庫2014年9月で、約3年2か月でした。
京極夏彦は初めてです。これから読めますか
読めます。本作は百鬼夜行シリーズとは別系統で、前提知識が要りません。ただし前作『虚言少年』を先に読むほうが自然です。京極夏彦の代表作から入りたい場合はおすすめランキングを参照してください。
発売日の情報が版元ドットコムと違いませんか
版元ドットコムには「発売予定日 2026年10月26日」だけが載り、初版年月日の欄はありません。集英社は初版年月日を登録しないためで、集英社公式も「2026年10月26日発売」としています。日付のブレはありません。
まとめ|嘘つきと嘘つきが、嘘の境目をめぐって戦う
- 『虚言少年 激闘編』は2026年10月26日・集英社・2,750円(税込)・四六判592ページ
- 2011年7月『虚言少年』の続編で15年3か月ぶり。前作は集英社文庫(2014年9月19日・530ページ・解説 松尾貴史)でも読める
- ★前作で小学生だった3人が、本作では中学生になっている
- 3人は嘘吐きの内本健吾(語り手)・理屈っぽい京野達彦・異性にモテたい丸顔の矢島誉
- 新キャラは小此木武史が率いる「ウソッコ団」。信条は「罪のない嘘で世の中を面白可笑しく幸せにする」
- ★対立は「嘘をつく側 vs つかない側」ではない。両方とも嘘をつく。主題は「許せる嘘と、許せない嘘。その境目」
- ★集英社は前作を〈非・青春小説〉と呼び、本作を「青春不在の青春小説」と呼ぶ。版元自身が言い換えている
- 目次はソノ一〜ソノ七。ソノ四「冗談と共に去りぬ」は『風と共に去りぬ』のもじり
- 舞台は時代劇とドリフを家族全員でテレビで見ていた昭和
- 版元が「スリルもサスペンスも謎解きもない。恋愛もない」と明記している
「青春なんて、なおさらない。あるのは、馬鹿馬鹿しい冗談と笑いだけ――のはずだった。」
版元の紹介が「のはずだった」で切れていることが、この続編の仕掛けを示しています。



コメント