今村夏子の『星の子』を読むべき理由を、第39回野間文芸新人賞受賞という評価・新興宗教を信じる家族という重いテーマを少女の視点で描く構成・芦田愛菜主演で映画化された話題性の3観点で完全解説。
「信じること」と「家族」を、静かで柔らかな筆致で描く忘れがたい物語を、ネタバレを最小限に紹介します。
最終更新日: 2026年7月25日
※本ページはアフィリエイトリンクを含みます。
星の子とは|野間文芸新人賞に輝いた今村夏子の宗教×家族の物語
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 今村夏子 |
| ジャンル | 現代小説/文芸 |
| 単行本発売 | 2017年6月(朝日新聞出版) |
| 文庫化 | 朝日文庫(2019年12月) |
| 文庫ISBN | 978-4-02-264940-9 |
| 受賞 | 第39回野間文芸新人賞 |
| 候補 | 第157回芥川賞候補・本屋大賞2018候補 |
| 語り手 | 中学3年生の少女・林ちひろ |
| 映画化 | 2020年公開(大森立嗣監督・芦田愛菜主演) |
| 関連作 | むらさきのスカートの女 |
『星の子』は、今村夏子が第39回野間文芸新人賞を受賞した長編小説です。
新興宗教を信じる両親のもとで育つ少女・林ちひろの視点から、「信じること」と「家族」を静かに描いた一作で、第157回芥川賞候補・本屋大賞2018候補にも選ばれました。
善悪を性急に裁かず、柔らかな語り口で家族の日常を積み重ねる筆致が、多くの読者と選考委員を惹きつけた話題作です。
星の子のあらすじ|信仰とともに育った少女の視点

物語の語り手は、中学3年生の少女・林ちひろ。
病弱な娘を救おうとする両親
ちひろは生まれてすぐの頃から体が弱く、両親はその娘を救いたい一心で、ある新興宗教への信仰を深めていきます。
やがてその信仰は家族の暮らしの中心となり、日常のかたちを少しずつ変えていく——。
ちひろ自身は、生まれたときから信仰のある家で育ったため、それが「当たり前の風景」として身についているのが本作の大きな特徴です。
思春期に芽生える小さな違和感
物語は、ちひろが思春期を迎え、家の外の世界と自分の家族との「ずれ」に気づき始める過程を丁寧に描きます。
両親を否定も肯定もしきれないまま、揺れながら世界を見つめる少女の目線が、読者にさまざまな問いを投げかけます。
特定の団体を告発する物語ではなく、「信じる」とはどういうことかを、少女の日常を通して静かに考えさせる構成になっています。
星の子の3つの読みどころ

1. 第39回野間文芸新人賞+芥川賞・本屋大賞候補の評価
本作は第39回野間文芸新人賞を受賞し、さらに第157回芥川賞候補・本屋大賞2018候補にも選ばれました。
エンタメ性の高い派手さではなく、静かな筆致と深い問いかけが評価された作品です。
今村夏子の名を広く知らしめた、キャリアの節目となる一冊といえます。
2. 善悪を裁かない「少女の視点」という構造
本作の最大の特徴は、信仰のただ中で育った少女・ちひろ自身が語り手であるという点です。
大人が外から善悪を判定するのではなく、当事者の子どもの目線で世界が描かれるため、読者は簡単に結論を出せません。
「普通」とは何か、「信じる」とは何か——読み手それぞれの内側に問いが残る構造になっています。
3. 柔らかな筆致が生む、静かな余韻
重いテーマを扱いながら、今村夏子の文章はあくまで柔らかく、穏やかです。
声高な糾弾も過剰な感傷もなく、日常の細部を淡々と積み重ねることで、かえって深い余韻が生まれます。
読み終えたあとに、静かに心に残り続ける——そんな読書体験ができる作品です。
星の子の構造|「信じる家族」と「気づき始める娘」

| 項目 | 両親(信じる側) | ちひろ(語り手) |
|---|---|---|
| 信仰との距離 | 深く信じている | 生まれたときから身近にある |
| 物語での役割 | 家族の日常を支える | 世界を見つめ直す |
| 抱えるもの | 娘を救いたい思い | 外の世界とのずれ |
| 読者への機能 | 「信じる」を体現する | 「問い」を投げかける |
本作の構造は、「信仰を深める両親」と「その中で育ちながら違和感に気づき始めるちひろ」という関係で成り立っています。
娘を思う親の愛情と、その信仰が生む家族のずれが、少女の静かな視線を通して立ち上がってきます。
今村夏子が善悪の断定を避け、読者に判断を委ねる書き方が、この物語を忘れがたいものにしています。
星の子と今村夏子の他作品の関係
今村夏子は日常の中の違和感や、社会からわずかにずれた人間を静かに描くことで知られる作家です。
| 関連作品 | 概要 | 関係性 |
|---|---|---|
| むらさきのスカートの女 | 芥川賞受賞作 | 他者への視線と距離を描く |
| こちらあみ子 | デビュー作 | 世界とずれる少女を描く |
| あひる | 川端康成文学賞候補 | 日常の小さな不穏を描く |
今村夏子の「静かな違和感」に惹かれたなら、『星の子』→『むらさきのスカートの女』と読み進めると、人と世界のずれを描く作家としての今村夏子をより深く味わえます。
芥川賞を受賞したむらさきのスカートの女とはまた異なる、家族と信仰を描いた本作の静けさを堪能できる一冊です。
星の子の読了時間と難易度
- 読了時間目安: 約3〜4時間(朝日文庫版・長編)
- 難易度: ★★☆☆☆(平易な文章で読みやすい)
- おすすめタイプ: 今村夏子ファン/静かな余韻の残る小説が好きな人/家族や「信じること」について考えたい人
文章そのものは平易で読みやすく、ページをめくる手は止まりません。
一方でテーマは深く、読後にじっくり考えさせられるのが本作の魅力です。
今村夏子の代表作を静かに味わいたい方に最適な一冊です。
星の子に関するよくある質問
Q. 重いテーマだが読みやすい?
A. 文章は平易でとても読みやすいです。
新興宗教と家族という重いテーマを扱いますが、語り口が柔らかく、少女の日常を通して描かれるため、構えずに読み進められます。
読みやすさとテーマの深さが両立した作品です。
Q. 特定の宗教団体をモデルにした話?
A. 特定の実在団体を告発する物語ではありません。
本作はあくまで「信じること」と「家族」を少女の視点から描いた小説であり、善悪を性急に裁かない中立的な筆致が特徴です。
Q. 映像化はされている?
A. 映画化されています。
2020年に大森立嗣監督・芦田愛菜主演で映画が公開されました。原作は少女ちひろの内面の揺れを、文章でじっくり味わえるのが魅力です。
Q. どの作品から読むと今村夏子を楽しめる?
A. 『星の子』からでも十分に楽しめます。
芥川賞受賞作の『むらさきのスカートの女』とあわせて読むと、日常の違和感を描く作家としての今村夏子を段階的に味わえます。
まとめ|星の子は野間文芸新人賞に輝いた今村夏子の宗教×家族の物語
『星の子』は、今村夏子が第39回野間文芸新人賞を受賞し、芥川賞候補・本屋大賞2018候補にもなった話題作。
新興宗教を信じる両親のもとで育つ少女・林ちひろの視点から、「信じること」と「家族」を静かに描いた忘れがたい物語です。
今村夏子ファン・静かな余韻の残る小説が好きな方・家族や信仰について考えたい読者におすすめできる1冊。
朝日文庫版で手に取って、『むらさきのスカートの女』とあわせて、今村夏子の描く世界を味わってみてください。
- 朝日文庫版がおすすめ・電子書籍版あり
- 野間文芸新人賞受賞・芦田愛菜主演で映画化
- 『むらさきのスカートの女』もまとめてチェック可
ヨムマップは小説情報を実体験ベースで継続更新しています
星の子・関連作品の読書ガイド
出典・参考情報
- 朝日新聞出版『星の子』公式情報
- 第39回野間文芸新人賞 受賞情報
- 映画『星の子』(2020年・大森立嗣監督・芦田愛菜主演)作品情報
- Wikipedia「星の子」「今村夏子」項目(最終確認: 2026年7月25日)




コメント