『星の王子さま(ほしのおうじさま)』は、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリがサハラ砂漠に不時着した飛行士と、小さな星からやってきた王子さまとの対話を描いた寓話です。子ども向けの絵本として親しまれていますが、大人になってから読み返すと、数字や効率ばかりを気にする「大人たち」への視線や、キツネが教えてくれる言葉の意味が、まったく違う重みを持って迫ってきます。この記事では、あらすじ・読みどころ・岩波少年文庫版のISBN・アニメ映画版の情報・どの訳で読むかまで、有名な結末には触れずに紹介します。
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- サハラ砂漠に不時着した飛行士と王子さまの対話を描いた寓話の名作
- 子どもの頃と大人になってからで読後感が変わる一冊
- 岩波少年文庫の定訳から2005年以降の新訳まで版を選んでチェック可能
星の王子さまとは|大人になったからこそ意味が変わる寓話
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ |
| 原題 | Le Petit Prince |
| ジャンル | 児童文学/寓話 |
| 原著刊行 | 1943年(アメリカで英語版・フランス語版が先行刊行) |
| 日本語訳 | 内藤濯訳、1953年に岩波書店から刊行 |
| 文庫 | 岩波少年文庫(内藤濯訳) |
| 文庫ISBN | 978-4-00-114001-9 |
| テーマ | 大切なものは目に見えないこと/子どもの心と大人になること |
| 映像化 | 2015年『リトルプリンス 星の王子さまと私』(フランス、マーク・オズボーン監督、日本公開2015年11月21日) |
| 関連作 | 純文学のおすすめ作品ガイド |
『星の王子さま』は、パイロットでもあった作家アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリが書いた中編の寓話です。
原題は「Le Petit Prince(小さな王子さま)」で、1943年にアメリカで英語版・フランス語版が先に刊行されました。著者の母国フランスでは第二次世界大戦下のドイツ占領のため刊行が遅れ、フランス本国での刊行は戦後の1946年になっています。
日本では内藤濯(ないとう・しげし)の訳で1953年に岩波書店から刊行され、「星の王子さま」という邦題もこの訳から定着しました。
サハラ砂漠に不時着した飛行士の視点で語られる物語でありながら、読む年齢によって印象がまったく変わることで知られる一冊です。
星の王子さまのあらすじ|サハラ砂漠で出会った王子さまとの対話

物語は、「僕」と呼ばれる飛行士がサハラ砂漠に不時着し、飛行機の修理をしているところに、小さな星からやってきたという王子さまが現れるところから始まります。
不時着した飛行士と、小さな星から来た王子さま
王子さまは、「ヒツジの絵を描いて」と唐突に頼み、飛行士を驚かせます。
やがて王子さまは、自分がとても小さな星に住んでいて、そこに一輪のバラを残してきたことを少しずつ語り始めます。
バラとの関係にすれ違いを感じた王子さまは、自分の星を離れて旅に出たのだといいます。
旅の途中で出会った「大人たち」とキツネ
旅の道中、王子さまはそれぞれ一人だけで住むいくつもの小さな星をめぐり、王様・うぬぼれ屋・呑み助・実業家・点灯夫・地理学者といった大人たちに出会います。
誰もが数字や地位、体裁にとらわれていて、王子さまの目には奇妙に映る存在として描かれます。
そして地球に降り立った王子さまは、一匹のキツネと出会い、「なつく」とはどういうことかを教わります。
王子さまは、目に見えるものだけがすべてではないと、この対話を通じて少しずつ気づいていきます。物語の結末は、実際に読んで確かめてほしいところです。
星の王子さまの3つの読みどころ

1. 絵本の体裁を借りた「大人への批評」
本作の大きな読みどころは、児童文学の体裁を取りながら、数字や効率、地位ばかりを気にする大人たちを静かに戯画化している点です。
王様・実業家・地理学者といった星の住人たちは、それぞれ違う形で「大切なものを見失った大人」の姿を映し出します。
子どもの頃には気づかなかった皮肉に、大人になって読み返すと気づかされる読者が多い作品です。
2. キツネが教える「なつく」というテーマ
キツネとの対話は、本作のなかでも特に印象に残る場面です。
「なつく」ことでかけがえのない関係が生まれる一方、そこには責任も伴うという考え方が、静かな言葉で語られます。
目に見える華やかさよりも、時間をかけて築いた関係の重みを描く、本作の核心にあたる読みどころです。
3. 著者自身が描いた挿絵と文章の一体感
サン=テグジュペリ自身が描いた水彩画の挿絵が、文章と一体になって物語を運んでいくのも見逃せない魅力です。
ゾウを飲み込んだウワバミの絵や、王子さまとバラ、キツネの姿は、文章だけでは伝わりにくい寓話的な世界観を補ってくれます。
どの版で読むかによって挿絵の再現度が異なる点は、後述する「どの訳で読むか」でも触れます。
星の王子さまはどの訳で読むか|訳者による違いと選び方

日本での『星の王子さま』の著作権保護期間は2005年1月22日に満了し、それまで岩波書店が持っていた独占的な翻訳権が失われました。これを機に、論創社・宝島社・中央公論新社をはじめ複数の出版社から新訳が相次いで刊行されています。
| 観点 | 内藤濯訳(岩波少年文庫) | 2005年以降の新訳 |
|---|---|---|
| 読みやすさ | 昭和期の言い回しに古さを感じる読者もいる | 現代的な言葉遣いを志向するものが多い |
| 定訳としての親しみ | 「星の王子さま」の邦題を生んだ最初の日本語訳 | 訳者ごとに言葉選びの個性が出やすい |
| 挿絵の再現 | 岩波少年文庫版はオリジナルの挿絵を収録 | 出版社により挿絵の扱いや判型が異なる |
| 位置づけ | 1953年から読み継がれてきた定番 | 訳者の解釈が反映された比較的新しい訳 |
どの訳が「正解」というものではなく、読みやすさを優先するか、長く読まれてきた定訳の言葉を味わいたいかで選び方が変わります。
はじめて読む場合は書店や図書館で冒頭の数ページを見比べ、自分の読みやすいと感じる訳文を選ぶのがおすすめです。
星の王子さまと関連作品と読む順番
『星の王子さま』は続編を持たない独立した一冊で、シリーズとして読む順番を気にする必要はありません。「大切なものは何か」「大人になるとはどういうことか」というテーマに惹かれた人には、次の作品もあわせておすすめです。
| 関連作品 | 概要 | 関係性 |
|---|---|---|
| 純文学のおすすめ作品ガイド | 名作文学を幅広く紹介するジャンルガイド | 海外の寓話から日本文学へ読書の幅を広げる入り口 |
| こころ | 「先生」と「私」の対話を通じて人の心の内側を描く長編 | 大人になることの痛みを描く点で通じる一冊 |
| 坊っちゃん | まっすぐな性格の青年が世間の理屈とぶつかる物語 | 損得より正しさを選ぶ生き方という点が重なる |
| 人間失格 | 「人間」であることの意味を問う告白体の長編 | 大人の社会に馴染めない違和感を描く系譜 |
『星の王子さま』を入り口に、大人になることを見つめ直す日本文学へ読書を広げてみるのも一つの楽しみ方です。
星の王子さまの読了時間と難易度
- 読了時間目安: 約1〜2時間(文庫版・短めの中編)
- 難易度: ★☆☆☆☆(文章自体は平易だが、比喩や寓意を読み解くほど発見が増える)
- おすすめタイプ: 子どもの頃に読んだ本をもう一度読み返したい人/海外の名作文学に触れてみたい人/「大切なもの」について考えたい人
文章の量は多くなく、一気に読み切れる長さです。
一方で、登場人物の言葉に込められた意味を考えながら読むと、読了までの時間は人によって大きく変わります。
子どもの頃に読んだ人ほど、大人になってから読み返すと違う一冊に感じられるかもしれません。
星の王子さまに関するよくある質問
Q. 星の王子さまはどんな話ですか?
A. サハラ砂漠に不時着した飛行士が、小さな星からやってきた王子さまと出会い、王子さまが旅の途中で見てきた星々の話や、バラ・キツネとの対話を通して「大切なもの」について考えさせられる物語です。詳しいあらすじは本記事の該当セクションもあわせてご覧ください。
Q. 星の王子さまは子ども向けの本ですか?
A. 児童文学として書かれていますが、数字や効率にとらわれた大人たちへの視線や、キツネとの対話が持つ意味の重さは、大人になってから読むほど強く感じられると評されています。子ども向けの体裁を取りながら、読む年齢によって印象が変わる作品です。
Q. 星の王子さまはどの翻訳で読むのがいいですか?
A. 決まった正解はなく、最初の日本語訳として長く読まれてきた内藤濯訳と、2005年の著作権保護期間満了後に各社から刊行された新訳とで、言葉遣いの手触りや挿絵の扱いが異なります。読みやすさを重視するか、定訳としての親しみを重視するかで選ぶとよいでしょう。
Q. 星の王子さまは映画化されていますか?
A. 2015年にフランスで制作されたアニメーション映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』が、日本では同年11月21日に公開されました。マーク・オズボーン監督による作品で、原作を下敷きにしながら独自の物語を加えた翻案です。原作そのものを忠実になぞった映像化ではない点には注意してください。
まとめ|星の王子さまは読む年齢で意味が変わる寓話
『星の王子さま』は、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリがサハラ砂漠に不時着した飛行士と王子さまの対話を通じて、「大切なものは何か」を静かに問いかける寓話です。
子ども向けの絵本として読まれてきた一方で、大人になってから読み返すと、大人たちへの視線やキツネの言葉がまったく違う重みを持って響きます。
子どもの頃に読んだ本をもう一度手に取りたい人・海外の名作文学に触れてみたい人におすすめの一冊。
気に入ったら、『こころ』や『人間失格』など、大人になることを見つめ直す日本文学にも読書を広げてみてください。
- 岩波少年文庫の内藤濯訳がロングセラーの定番
- 2005年以降の新訳も各社から刊行中
- 『こころ』『人間失格』もまとめてチェック可
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星の王子さま・関連作品の読書ガイド
出典・参考情報
- 岩波書店『星の王子さま』(内藤濯訳・岩波少年文庫)製品情報
- openBD 書誌情報(ISBN 9784001140019)
- Wikipedia「星の王子さま」項目(最終確認: 2026年8月2日)
- Wikipedia「The Little Prince」項目(最終確認: 2026年8月2日)
- シネマトゥデイ『リトルプリンス 星の王子さまと私』作品情報(2015年11月21日公開)




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