『名もなき星の哀歌』は、結城真一郎が書いたミステリーで、人の記憶を売買する「店」で働く二人が、路上ライブで歌う謎の女性シンガーと出会うところから、一家焼死事件の生き残りと「スワンプマン」の謎へ踏み込んでいく長編です。第5回新潮ミステリー大賞を受賞したデビュー作で、2019年1月に新潮社から刊行されました。この記事では、あらすじ・読みどころ・のちの作風との違いまで紹介します。
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- 第5回新潮ミステリー大賞受賞のデビュー作
- 記憶を売買する「店」を舞台にした特殊設定ミステリ
- 新潮文庫版は544ページ(2021年9月29日)
名もなき星の哀歌とは|記憶を売買する設定で書かれたデビュー作
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 結城真一郎 |
| 初刊 | 新潮社・2019年1月(ISBN 978-4-10-352231-7) |
| 文庫 | 新潮文庫・2021年9月29日・544ページ・定価935円(ISBN 978-4-10-103261-0) |
| 受賞 | 第5回新潮ミステリー大賞(2018年) |
| 位置づけ | デビュー作 |
出典:新潮社『名もなき星の哀歌』、Wikipedia『結城真一郎』、国立国会図書館サーチ(2026年9月12日時点)
のちの『#真相をお話しします』とは手触りがかなり違います。短編でSNS時代の犯罪を切り取った後年の作風に対し、本作は544ページを使う特殊設定の長編です。同じ作家の入口として読むと、振れ幅に驚きます。
名もなき星の哀歌のあらすじ|記憶を売る店と、路上で歌う女

記憶を売買する「店」
主人公は銀行員と、漫画家志望の青年の二人です。
彼らが働くのは、人の記憶を売買する「店」でした。
誰かの記憶を買い取り、別の誰かへ渡す。そういう仕事です。
路上ライブの女性シンガー
二人はある日、路上で歌う謎の女性シンガーと出会います。
彼女の過去には、明かされていない秘密がありました。
一家焼死事件の生き残り
たどり着くのは、一家焼死事件の生き残りという事実です。
そして、もう一つの言葉が浮かび上がります。
「スワンプマン」とは誰か。
記憶が売り買いできる世界で、その問いは「この人物は本当にその人なのか」という問いに直結します。物語は美しくも残酷な真実へ向かいます。
名もなき星の哀歌の3つの読みどころ

1. 特殊設定が謎解きと不可分であること
記憶の売買という設定は、雰囲気づくりのために置かれていません。記憶を入れ替えられる世界では、証言も自白も担保にならない——その一点がミステリーとしての土台になっています。
2. 「スワンプマン」という思考実験の使い方
スワンプマンは、ある人物と物理的に同一の存在が現れたとき、それは本人かを問う思考実験として知られます。本作はこれを比喩に留めず、事件の真相そのものに食い込ませています。設定を説明して終わらない点が、新人賞の選考で評価された部分です。
3. 544ページを使い切る構成
文庫で544ページと、デビュー作としては厚い部類です。序盤から中盤にかけて謎が増え続け、回収は後半に集中します。読み始めてすぐに答えの見当がつくタイプではありません。
名もなき星の哀歌の版と入手方法

| 版 | 出版社 | 刊行 |
|---|---|---|
| 単行本 | 新潮社 | 2019年1月 |
| 文庫 | 新潮文庫 | 2021年9月29日・544ページ・935円 |
新刊書店で手に入りやすいのは新潮文庫版です。
名もなき星の哀歌の読了時間と難易度
文庫544ページで、一般的な読書速度で8〜10時間が目安です。
設定の理解に序盤の負荷が集中します。記憶の売買がどこまで可能で何が制限されるのか、というルールを飲み込むまでが山場です。逆にそこを越えると、後半は回収が続くため速度が上がります。哲学的な予備知識は不要で、スワンプマンの説明も作中で与えられます。
名もなき星の哀歌に関するよくある質問
名もなき星の哀歌はどんな賞を受賞しましたか
第5回新潮ミステリー大賞を受賞しています。結城真一郎のデビュー作です。
『#真相をお話しします』と似ていますか
作風はかなり異なります。『#真相をお話しします』は現代的な短編集、本作は特殊設定の長編です。
スワンプマンを知らなくても読めますか
読めます。作中で説明されるため、事前の知識は不要です。
SFですか、ミステリーですか
記憶の売買という特殊設定を使いますが、構造はミステリーです。謎の提示と回収で進みます。
結城真一郎の他の作品はどれを読むべきですか
日本推理作家協会賞短編部門を受けた「#拡散希望」を収める『#真相をお話しします』がよく挙げられます。作品一覧は結城真一郎の新刊・新作ガイドにまとめています。
まとめ|記憶が売り買いできる世界で、その人は本人か
- 『名もなき星の哀歌』は、記憶を売買する店で働く二人が、焼死事件の生き残りとスワンプマンの謎に行き着く長編
- 第5回新潮ミステリー大賞受賞のデビュー作
- 特殊設定が雰囲気ではなく謎解きの土台になっている
- 現行版は新潮文庫(2021年9月・544ページ)
後年の短編で知った読者ほど、同じ書き手とは思えない厚みに驚く作品です。
長編や積んだままの本ほど、聴くと最後までたどり着けます。
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