千早茜の『しろがねの葉』を読むべき理由を、第168回直木賞受賞という評価・戦国末期の石見銀山を舞台にした異色の時代小説という設定・女坑夫ウメの一生を通して描かれる生と官能の3観点で完全解説。
銀を掘る闇の坑道で、愛する人を何度失っても生き続ける女の一代記を、ネタバレを最小限に紹介します。
最終更新日: 2026年7月22日
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しろがねの葉とは|第168回直木賞に輝いた千早茜の石見銀山小説
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 千早茜 |
| ジャンル | 時代・歴史小説 |
| 単行本発売 | 2022年9月(新潮社) |
| 文庫化 | 新潮文庫(2025年6月25日) |
| 文庫ISBN | 978-4-10-120384-3 |
| ページ数 | 416ページ(新潮文庫版) |
| 受賞 | 第168回直木賞(2022年下半期) |
| 同時受賞 | 小川哲『地図と拳』 |
| 舞台 | 戦国末期〜江戸初期の石見銀山 |
| 主人公 | 女坑夫のウメ |
『しろがねの葉』は、千早茜が第168回直木賞(2022年下半期)を受賞した時代小説です。
同じ回では小川哲『地図と拳』も同時受賞しました。
戦国末期から江戸初期の石見銀山を舞台に、間歩(坑道)で銀を掘って生きる女坑夫ウメの一生を描いた、千早茜にとって初の本格時代小説です。
しろがねの葉のあらすじ|銀山の闇を生きる女の一代記

物語の舞台は、戦国末期、世界有数の産出量を誇った石見銀山。
親と離れ、山師に育てられた少女ウメ
親とはぐれた幼い少女ウメは、伝説的な山師(やまし)に才を見いだされ、銀山の集落で育てられます。
やがて彼女は、女人が坑内に入ることを忌む慣習のなかで、坑道へ潜って銀を掘る「女坑夫」として生きていくことになります。
三人の男と、看取り続ける生
光の届かない間歩で身を削る鉱山の労働は過酷で、そこに生きる者の命は短い。
ウメは生涯で関わる三人の男を、いずれも自らが看取ることになります。
「愛する人を何度失っても、わたしは生きる」——闇と死の隣り合わせで、それでも生き抜こうとする一人の女の姿が、数十年の時をかけて描かれていきます。
しろがねの葉の3つの読みどころ

1. 第168回直木賞を受賞した時代小説
本作は第168回直木賞(2022年下半期)を受賞しました。
恋愛・幻想の色合いの強い作品で知られた千早茜が、初の本格時代小説で最高峰の文学賞に到達したという点でも大きな転機となった一冊です。
同時受賞は小川哲『地図と拳』で、時代・歴史ものが並んで受賞した回として話題になりました。
2. 石見銀山という前例の少ない舞台
世界遺産としても知られる石見銀山を、鉱山労働の内側から描く——この舞台選び自体が本作の大きな魅力です。
間歩(坑道)に潜り、灯りを頼りに銀を掘る者たちの息づかいが、綿密な取材と描写によって立ち上がってきます。
歴史の教科書には残りにくい、名もなき働き手の生が主役に据えられています。
3. 生と死、労働と官能が地続きになる筆致
死と隣り合わせの過酷な労働と、そこで芽生える人と人の情愛。
千早茜が持ち味としてきた官能的な描写が、鉱山という生死の現場と分かちがたく結びつくのが本作の核心です。
「なぜ人は生きるのか」という問いが、ウメの一生を通じて静かに、しかし強く読者に差し出されます。
しろがねの葉のテーマ|「失いながら生きる」ということ

| 観点 | ウメが背負うもの | 物語が問うこと |
|---|---|---|
| 労働 | 女坑夫として銀を掘る | 名もなき者の生の尊さ |
| 死 | 三人の男を看取る | 失っても続く生 |
| 性・情愛 | 短命な者たちの結びつき | 生きることと愛すること |
| 時間 | 数十年の一代記 | 一人の女の生の全体 |
本作の主題は、「愛する人を何度失っても、生き続ける」という一点に貫かれています。
銀山の闇=死の気配のなかで、それでも身体を張って生を全うするウメの姿が、悲惨さではなく強さとして描かれます。
千早茜が官能と生死を地続きに描いてきた作風の到達点といえる一作です。
しろがねの葉と千早茜の他作品の関係
千早茜は恋愛・幻想・食などをテーマに、身体感覚に訴える濃密な文章で知られる作家です。
本作『しろがねの葉』は、そうした千早茜の資質が「時代小説」という新しい器で結実した作品です。
現代を舞台にした作品で知られてきた作家が、戦国末期の鉱山という遠い過去へ筆を伸ばし、直木賞という評価に到達した転機として位置づけられます。
千早茜の作風をまとめて追いたい方は、著者ページから他作品もあわせてチェックしてみてください。
しろがねの葉の読了時間と難易度
- 読了時間目安: 約6〜8時間(新潮文庫版・416ページ)
- 難易度: ★★★☆☆(時代背景の予備知識は不要)
- おすすめタイプ: 千早茜ファン/骨太な時代小説が好きな人/一人の女の一代記を読みたい人
石見銀山や戦国末期の予備知識がなくても十分に読めます。
千早茜の濃密な文章と、時代・歴史小説としての読み応えを、じっくり味わいたい方に向いた一冊です。
しろがねの葉に関するよくある質問
Q. 時代小説が苦手でも読める?
A. 十分に読めます。
本作は一人の女性の一代記として読める物語で、合戦や政治の知識がなくても入り込めます。
むしろ普段は現代ものを読む方にこそ手に取ってほしい時代小説です。
Q. シリーズもの?
A. 本作は独立した長編です。
続編や前作を読む必要はなく、1冊で完結します。
Q. 文庫版は出ている?
A. 新潮文庫版が2025年6月25日に発売されています。
単行本(2022年9月・新潮社)と電子書籍版もあり、手に取りやすい形で読めます。
Q. 直木賞は単独受賞?
A. 第168回直木賞は、本作と小川哲『地図と拳』の同時受賞でした。
時代・歴史を扱う二作が並んで受賞した回として注目されました。
まとめ|しろがねの葉は第168回直木賞に輝いた石見銀山の一代記
『しろがねの葉』は、千早茜が第168回直木賞(2022年下半期)を受賞した、石見銀山を舞台にする時代・歴史小説。
女坑夫ウメが、闇の間歩で銀を掘りながら、愛する三人の男を看取り、それでも生き抜く——生と死、労働と官能を地続きに描いた濃密な一代記です。
千早茜ファン・骨太な時代小説が好きな方・一人の女の生をじっくり読みたい読者におすすめできる1冊。
新潮文庫版で手に取って、千早茜が新境地に踏み込んだ到達点を味わってみてください。
- 新潮文庫版がおすすめ・電子書籍版あり
- 第168回直木賞を受賞した時代小説
- 千早茜の他作品もまとめてチェック可
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しろがねの葉・関連作品の読書ガイド
出典・参考情報
- 新潮社『しろがねの葉』公式情報(最終確認: 2026年7月22日)
- 第168回直木賞 受賞情報
- openBD 書誌データ(ISBN 9784101203843 / 9784103341949)
- Wikipedia「しろがねの葉」「千早茜」項目(最終確認: 2026年7月22日)




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