馳星周の『少年と犬』を読むべき理由を、第163回直木賞受賞という評価・一匹の犬が人から人へと渡り歩く連作短編という構成・東日本大震災後の日本を背景にした人間ドラマの3観点で完全解説。
多聞と名づけられた犬が、なぜ南を目指し続けるのか——その謎に胸を打たれる感動作を、ネタバレを最小限に紹介します。
最終更新日: 2026年7月25日
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- 第163回直木賞を受賞した感動の連作短編集
- 一匹の犬「多聞」が人から人へ渡り歩く6つの物語
- 文春文庫・電子書籍・中古版すべてチェック可能
少年と犬とは|第163回直木賞に輝いた馳星周の連作短編集
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 馳星周 |
| ジャンル | 人間ドラマ/連作短編集 |
| 単行本発売 | 2020年5月(文藝春秋) |
| 文庫化 | 文春文庫 |
| 文庫発売 | 2023年4月5日 |
| 文庫ISBN | 978-4-16-792021-0 |
| ページ数 | 384ページ(文春文庫版) |
| 受賞 | 第163回直木賞(2020年) |
| 舞台 | 2011年秋の仙台から、南へ |
| 主人公 | 犬「多聞」と、彼が出会う人々 |
| 収録 | 男と犬/泥棒と犬/夫婦と犬/娼婦と犬/老人と犬/少年と犬 |
『少年と犬』は、馳星周が第163回直木賞を受賞した連作短編集です。
東日本大震災の後、飼い主を失った一匹の犬「多聞」が、様々な人々のもとを渡り歩きながら南を目指していく姿を描きます。
6編の物語がひとつの旅としてつながり、最終話で大きな感動へと収斂する構成が、多くの読者の胸を打ちました。
少年と犬のあらすじ|南を目指す一匹の犬と、出会う人々

物語は、2011年秋の仙台から始まります。
男と犬——震災後の仙台で
東日本大震災の後、職を失った中垣和正は、認知症の母と姉を抱えて苦しい暮らしを送っていました。
そんなある日、和正はやせ細った一匹の野良犬と出会い、「多聞」と名づけます。
けれど多聞は、なぜかいつも南のほうを向き、何かを探すように遠くを見つめていました。
人から人へと渡り歩く犬
多聞はやがて和正のもとを離れ、泥棒・夫婦・娼婦・老人——さまざまな事情を抱えた人々のもとを渡り歩いていきます。
傷つき、迷い、悩む人びとに寄り添いながら、多聞は少しずつ南へと近づいていく——。
その旅の果てに何が待っているのかは、ぜひ本編で確かめてほしい「犬を愛するすべての人に捧げる」物語です。
少年と犬の3つの読みどころ

1. 第163回直木賞を受賞した確かな評価
本作は、第163回直木賞を受賞しました。
馳星周にとっては7度目のノミネートでの受賞であり、長いキャリアの末にたどり着いた大きな節目の一冊です。
ハードボイルドで知られる作家が、犬と人の絆を通じて到達した新境地として高く評価されています。
2. 一匹の犬が人から人へ渡り歩く連作構成
本作の最大の魅力は、「多聞」という一匹の犬を軸に、6つの独立した物語がつながっていく構成にあります。
各話の主人公はそれぞれ別の人間ですが、彼らのもとを訪れる多聞の存在が、全体を一本の旅として結びつけます。
バラバラな人生が、犬を介して静かに響き合う——連作短編ならではの読後感が味わえます。
3. 震災後の日本を背景にした人間ドラマ
物語の起点は、東日本大震災の傷跡が残る2011年秋の東北です。
災害によって日常を奪われた人々が、多聞との出会いを通じて再び前を向いていく姿が、静かな筆致で描かれます。
喪失と再生というテーマが、犬の旅と分かちがたく結びついた、深い余韻を残す作品です。
少年と犬の構成|6編の連作でたどる多聞の旅

| 収録話 | 主な登場人物 | 舞台の方向 |
|---|---|---|
| 男と犬 | 中垣和正 | 仙台(出発点) |
| 泥棒と犬 | ミゲル | 南下の途上 |
| 夫婦と犬 | 中山夫婦 | 南下の途上 |
| 娼婦と犬 | 美羽 | 南下の途上 |
| 老人と犬 | 片野弥一 | 南下の途上 |
| 少年と犬 | 内村家 | 旅の果て |
本作は、多聞が北から南へと移動していく道筋に沿って、6編が並べられています。
それぞれの話で多聞に出会う人が変わりながら、犬が向かう「南」の意味が少しずつ明かされていく構成です。
馳星周が、連作というかたちで一匹の犬の壮大な旅を描き切った一作といえます。
少年と犬と馳星周の他作品の関係
馳星周はハードボイルド・ノワールから動物を描く物語まで、幅広い作風で知られる作家です。
| 関連作品 | 概要 | 関係性 |
|---|---|---|
| 不夜城 | 新宿を舞台にしたノワールの代表作 | 馳星周の原点 |
| ソウルメイト | 犬と人を描いた作品 | 動物小説の系譜 |
| 少年と犬 | 第163回直木賞受賞 | 犬と人の集大成 |
ハードボイルド作家として出発した馳星周が、犬と人の絆というテーマに深く踏み込んだのが本作です。
『不夜城』などの緊迫感あるノワールとはまた違う、あたたかくも切ない馳星周の一面を味わえる一冊です。
少年と犬の読了時間と難易度
- 読了時間目安: 約6〜8時間(文春文庫版・384ページ)
- 難易度: ★★☆☆☆(連作短編で読みやすい)
- おすすめタイプ: 犬や動物が好きな人/感動作を読みたい人/馳星周の新境地を知りたい人
1話ごとが独立した短編なので、少しずつ読み進めやすいのが本作の特長です。
犬と人の絆に心を動かされたい方、静かな感動を求める読者に、じっくり手に取ってほしい馳星周の代表作です。
少年と犬に関するよくある質問
Q. 犬好きでなくても楽しめる?
A. 十分に楽しめます。
本作は犬を軸にしながらも、多聞が出会う一人ひとりの人間ドラマが丁寧に描かれています。
喪失や再生を描いた人間の物語として、幅広い読者に響く一冊です。
Q. 連作短編とのことだけど、どこから読むべき?
A. 収録順どおり、最初から読むのがおすすめです。
多聞が北から南へ移動していく順に物語が並んでいるため、順番に読むことで犬の旅の全体像がつかめます。
Q. 映像化はされている?
A. 映画化されています。
2025年3月20日に映画版が公開されました。原作は6編の連作を通じて多聞の旅をじっくり味わえるのが魅力です。
Q. 悲しい話?
A. 切なさと感動が同居する物語です。
喪失を描く場面もありますが、犬と人が寄り添うあたたかさが全編を貫いています。読後に静かな余韻が残る作品です。
まとめ|少年と犬は第163回直木賞に輝いた馳星周の感動の連作短編集
『少年と犬』は、馳星周が第163回直木賞を受賞した連作短編集。
東日本大震災の後、飼い主を失った犬「多聞」が、様々な人々のもとを渡り歩きながら南を目指す——6つの物語がひとつの旅としてつながる、深い余韻を残す傑作です。
犬や動物が好きな方・静かな感動を求める読者・馳星周の新境地を知りたい方におすすめできる1冊。
文春文庫版で手に取って、馳星周がたどり着いた犬と人の物語を味わってみてください。
- 文春文庫版がおすすめ・電子書籍版あり
- 第163回直木賞を受賞した感動の連作短編集
- 馳星周の他作品もまとめてチェック可
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少年と犬・関連作品の読書ガイド
出典・参考情報
- 文藝春秋『少年と犬』文春文庫 公式情報
- 第163回直木賞 受賞情報
- Wikipedia「少年と犬」「馳星周」項目(最終確認: 2026年7月25日)




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