『SOSの猿』は、伊坂幸太郎が2009年に発表した実験的な長編小説です。引きこもりの青年を救おうとする「悪魔祓い」の遠藤と、300億円の株誤発注事件を調べる男。まったく別に見える二つの物語が、「西遊記(孫悟空)」のモチーフを軸に少しずつ絡み合っていきます。漫画家・五十嵐大介との共作企画から生まれたという成り立ちも、本作を特別な一冊にしています。この記事では、あらすじ・読みどころ・共作の経緯・中公文庫版のISBN・伊坂作品での位置づけまで、ネタバレを最小限にして紹介します。
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- 伊坂幸太郎の実験的な西遊記モチーフ長編
- 悪魔祓いと株誤発注、二つの物語が交わる一冊
- 中公文庫・電子書籍・中古版すべてチェック可能
SOSの猿とは|伊坂幸太郎の実験的長編
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 伊坂幸太郎 |
| ジャンル | エンターテインメント長編/ミステリー・寓話 |
| 初刊 | 2009年11月(中央公論新社) |
| 文庫版 | 中公文庫(2012年11月) |
| 文庫ISBN | 978-4-12-205717-3(中公文庫) |
| モチーフ | 西遊記(孫悟空)・悪魔祓い(エクソシスト) |
| 成り立ち | 漫画家・五十嵐大介との共作企画から誕生 |
| 関連作 | 重力ピエロ・フィッシュストーリー・ゴールデンスランバー |
『SOSの猿』は、伊坂幸太郎が2009年11月に中央公論新社から刊行した実験的な長編小説です。
引きこもりの青年を救おうとする「悪魔祓い」の遠藤の物語と、300億円の株誤発注事件を追う男の物語という、性質のまったく異なる二つの筋が交互に語られます。
その二つを結ぶのが「西遊記(孫悟空)」のモチーフで、寓話とミステリーが混ざり合う独特の読み心地を生み出します。
本作は漫画家・五十嵐大介との共作企画から生まれたとされ、伊坂作品のなかでも成り立ちの点で特に異色の一冊です。
SOSの猿のあらすじ|二つの物語が絡み合う

物語は、性格の異なる二つの語りが交互に進んでいきます。ここではネタバレを避けて、それぞれの入り口だけを紹介します。
「悪魔祓い」の遠藤の物語
家電量販店で働く遠藤は、イタリアで修行した「悪魔祓い」というもう一つの顔を持つ青年です。
知人から、部屋に引きこもったままの息子を救ってほしいと頼まれ、その家を訪ねます。
引きこもる青年の部屋で遠藤が目にするのが、一冊の「西遊記」——ここから、遠藤の側の物語が静かに動き出します。
300億円の株誤発注を追う男の物語
もう一方の主役は、証券会社で起きた「300億円の損失を出した株の誤発注事件」を調べるよう命じられた男です。
なぜそんな巨大なミスが起きたのか。原因を追ううちに、彼の前には説明のつかない「異形の猿」が姿を現します。
二つの物語は最初まったく無関係に見えますが、西遊記=孫悟空という共通のモチーフを手がかりに、少しずつ交わっていきます。
SOSの猿の3つの読みどころ

1. 悪魔祓いと株誤発注、異質な二つの物語の交差
本作最大の仕掛けは、「悪魔祓い」という寓話的な話と「株誤発注事件」という現実的な話が並走し、やがて交わる構成そのものです。
まったく別のジャンルに見える二つの物語がどこで結びつくのかという期待が、ページをめくる原動力になります。
2. 「西遊記(孫悟空)」を織り込んだ寓話性
本作は古典「西遊記」のモチーフを物語の随所に織り込んでいます。
引きこもる青年の部屋の「西遊記」、そして調査員の前に現れる「猿」——孫悟空という存在を通して、現実と寓話が地続きになっていく独特の世界観が味わえます。
3. 伊坂幸太郎らしい会話と伏線の妙
一見バラバラな要素を配置しながら、軽妙な会話とちりばめられた伏線でそれらをつないでいくのは、伊坂幸太郎作品の持ち味そのものです。
「これは何の話なのか」と戸惑いながら読み進めるうちに、少しずつ像が結ばれていく読み味は、伊坂ファンなら見逃せません。
SOSの猿の構造|二つの物語の対比

| 項目 | 「私の話」=遠藤の物語 | 「猿の話」=調査員の物語 |
|---|---|---|
| 主役 | 悪魔祓いをする青年・遠藤 | 株誤発注事件を追う男 |
| 舞台 | 引きこもりの青年の家 | 証券会社と事件の周辺 |
| 起きること | 引きこもりの青年の救済を試みる | 300億円の誤発注の原因を調べる |
| 現れるもの | 部屋にある「西遊記」 | 説明のつかない「異形の猿」 |
| 色合い | 寓話的・幻想的 | 現実的・ミステリー的 |
本作の構造は、「悪魔祓いの寓話(私の話)」と「株誤発注のミステリー(猿の話)」という二つの物語の対で成り立っています。
性質のまったく異なる二本の筋が交互に語られ、「西遊記=孫悟空」という共通のモチーフを介して結びついていくのが、この小説の設計の核です。
伊坂幸太郎が構成の実験に踏み込んだ一作といえます。
SOSの猿の伊坂幸太郎作品での位置づけ・関連作
『SOSの猿』は、漫画家・五十嵐大介との共作企画から生まれたという点で、伊坂幸太郎作品のなかでも特に異色の成り立ちを持ちます。
小学館の編集者の提案をきっかけに、五十嵐大介が「エクソシスト(悪魔祓い)」と「西遊記」を掛け合わせる着想を出し、伊坂が小説『SOSの猿』を、五十嵐が漫画『SARU』をそれぞれ執筆しました。
両作は独立して読める作品ながら、対をなす物語として発表されています。ここでは事実として確認できる範囲にとどめ、細部の解釈には踏み込みません。
| 関連作品 | 概要 | 関係性 |
|---|---|---|
| 伊坂幸太郎の全作品ガイド | 著者の作品全体を俯瞰 | 作風・読む順番の総覧 |
| 重力ピエロ | 家族の秘密を描く長編 | 伏線と家族を描く代表作 |
| フィッシュストーリー | 時を超えて連なる短編集 | 別々の物語がつながる作風が近い |
| ゴールデンスランバー | 巨大な陰謀に巻き込まれる男 | 逃走劇と群像を描く長編 |
別々の物語がやがてつながる作風を楽しみたいなら『フィッシュストーリー』、伏線の妙を味わいたいなら『重力ピエロ』や『ゴールデンスランバー』もあわせておすすめです。
SOSの猿の読了時間と難易度
- 読了時間目安: 約6〜8時間(中公文庫版・長編)
- 難易度: ★★★★☆(二つの物語と寓話性を追う集中力が要る)
- おすすめタイプ: 伊坂幸太郎の実験的な作品を読みたい人/寓話とミステリーが混ざる物語が好きな人/西遊記モチーフに惹かれる人
二つの物語が交互に進み、しかも一方は寓話的なため、序盤は「何の話か」がつかみにくい構成です。
その分、二つの筋が結びついていく後半の読み応えは大きく、伊坂幸太郎の他作品を読み慣れた人ほど楽しめる一冊です。
SOSの猿に関するよくある質問
Q. SOSの猿はどんな話?
A. 「悪魔祓い」の遠藤が引きこもりの青年を救おうとする物語と、300億円の株誤発注事件を追う男の物語が交互に進む長編です。
二つの物語は「西遊記(孫悟空)」のモチーフを介して少しずつ絡み合っていきます。
Q. 西遊記とどう関係しているの?
A. 本作は古典「西遊記」の孫悟空をモチーフに織り込んでいます。
引きこもる青年の部屋にある「西遊記」や、調査員の前に現れる「猿」など、孫悟空という存在が二つの物語をつなぐ鍵として機能します。
Q. 五十嵐大介の漫画『SARU』とはどういう関係?
A. 本作は漫画家・五十嵐大介との共作企画から生まれたとされます。
五十嵐が漫画『SARU』を、伊坂が小説『SOSの猿』を執筆し、両作は独立して読めるながら対をなす物語として発表されました。どちらか一方だけでも楽しめます。
Q. 伊坂幸太郎の他作品と比べてどう?
A. 共作企画から生まれ、寓話とミステリーを組み合わせた点で、伊坂作品のなかでも実験的な一冊です。
別々の物語がつながる作風は『フィッシュストーリー』、伏線の妙は『重力ピエロ』にも通じます。詳しくは伊坂幸太郎の全作品ガイドを参照してください。
まとめ|SOSの猿は西遊記モチーフで二つの物語を交わらせる実験的長編
『SOSの猿』は、伊坂幸太郎が2009年に発表した、悪魔祓いと株誤発注という二つの物語を「西遊記(孫悟空)」のモチーフで交わらせる実験的な長編です。
漫画家・五十嵐大介との共作企画から生まれたという成り立ちも、本作を伊坂作品のなかで特別な一冊にしています。
伊坂幸太郎の実験的な作品を読みたい人・寓話とミステリーが混ざる物語が好きな方・西遊記モチーフに惹かれる読者におすすめできる一冊。
『フィッシュストーリー』や『重力ピエロ』、『ゴールデンスランバー』とあわせて、伊坂幸太郎の物語世界を味わってみてください。
- 中公文庫版がおすすめ・電子書籍版あり
- 悪魔祓いと株誤発注が交わる西遊記モチーフ長編
- 『重力ピエロ』『フィッシュストーリー』もまとめてチェック可
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SOSの猿・関連作品の読書ガイド
出典・参考情報
- 中央公論新社『SOSの猿』特設ページ・製品情報(中公文庫・ISBN 978-4-12-205717-3)
- 中央公論新社 対談「伊坂幸太郎×五十嵐大介」(共作企画の経緯)
- openBD 書誌情報(ISBN 9784122057173)
- Wikipedia「SOSの猿」項目(最終確認: 2026年7月9日)




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