映画『国宝』の原作は、吉田修一の同名小説『国宝』です。
最初に、いちばん間違えやすい点から。 『国宝』にはいま買える版が3種類あり、同じ中身で価格が3.1倍ちがいます。
書店で「国宝」を探すと、1,500円の単行本、800円の朝日文庫、2,500円の愛蔵版が並びます。 どれも吉田修一の『国宝』で、上下2冊組です。
押さえておきたいことが3つあります。
ひとつ目。文庫は単行本より「ページが多くて価格が安い」。 国立国会図書館サーチの書誌で比べると、単行本の上巻は351ページ、文庫の上巻は407ページで、文庫のほうが56ページ多いです。それなのに定価は1,500円から800円へ下がります。
ふたつ目。副題は文庫化のときに付いた。 単行本の書名は『国宝 上』『国宝 下』ですが、文庫と愛蔵版は『青春篇』『花道篇』です。
みっつ目。原作は映画より前から賞を取っている。 2019年に第69回芸術選奨文部科学大臣賞と第14回中央公論文芸賞を受けています。映画のヒットで注目された作品ですが、評価は映画化の6年前に付いていました。
※本ページはアフィリエイトリンクを含みます。
※書誌(発売日・定価・Cコード・ISBN)は版元ドットコム、ページ数は国立国会図書館サーチで2026年10月31日時点に確認した数字です。
- 朝日文庫版は上下巻・各800円+税でいちばん安い
- 上巻『青春篇』407ページ/下巻『花道篇』431ページ
- 単行本・愛蔵版・Kindle版も同じページで比較できます
国宝の原作とは|朝日新聞に1年5か月連載された長編

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | 国宝 |
| 著者 | 吉田修一 |
| 版元 | 朝日新聞出版 |
| 初出 | 朝日新聞 2017年1月1日〜2018年5月29日連載 |
| 構成 | 上巻『青春篇』/下巻『花道篇』 |
| 主人公 | 喜久雄 |
| 受賞 | 第69回芸術選奨文部科学大臣賞(2019年)/第14回中央公論文芸賞(2019年) |
出典:国宝 (小説)|Wikipedia(2026年10月31日時点)、書誌は版元ドットコム(朝日新聞出版)
任侠の一門に生まれた喜久雄が、15歳で抗争によって父を失い、歌舞伎役者の家に引き取られて女方として生きていく——その50年を追う一代記です。歌舞伎役者の花井半二郎のもとで女方として歩みます。
上巻『青春篇』と下巻『花道篇』という副題のとおり、前半が修業時代、後半が芸の頂点までを扱う構成になっています。
★連載は1年5か月、新聞小説として書かれた
2017年1月1日から2018年5月29日まで、朝日新聞紙上に連載されました。元日スタートで1年5か月です。
新聞連載だったことは読むうえで実際に効きます。 1回分が短く区切られて書かれているため、838ページの長編でも、1日1章ずつのような読み方ができます。
国宝の原作はどの版を買うべきか|3種類の違いを表で比べる

ここが本記事の本題です。 同じ『国宝』で3つの版があり、発売日・定価・Cコード・ページ数がすべて違います。
| 版 | 巻 | 書店発売日 | 定価(税別) | Cコード | ページ | ISBN |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 単行本 | 上 | 2018年9月7日 | 1,500円 | C0093 | 351 | 978-4-02-251565-0 |
| 単行本 | 下 | 2018年9月7日 | 1,500円 | C0093 | 353 | 978-4-02-251566-7 |
| 朝日文庫 | 上 青春篇 | 2021年9月7日 | 800円 | C0193 | 407 | 978-4-02-265008-5 |
| 朝日文庫 | 下 花道篇 | 2021年9月7日 | 800円 | C0193 | 431 | 978-4-02-265009-2 |
| 愛蔵版 | 上 青春篇 | 2025年9月5日 | 2,500円 | C0093 | — | 978-4-02-252087-6 |
| 愛蔵版 | 下 花道篇 | 2025年9月5日 | 2,500円 | C0093 | — | 978-4-02-252088-3 |
出典:各ISBNの版元ドットコム(2026年10月31日時点)。ページ数は国立国会図書館サーチの書誌。愛蔵版のページ数は版元ドットコムに記載がないため空欄にしています。
★文庫はページが134増えて、価格は半分になる
上下巻をそろえたときの合計で比べます。
| 単行本 | 朝日文庫 | 愛蔵版 | |
|---|---|---|---|
| 上下合計ページ | 704 | 838 | — |
| 上下合計の定価 | 3,000円 | 1,600円 | 5,000円 |
| 1ページあたり | 約4.3円 | 約2.0円 | — |
文庫は単行本より134ページ多いのに、合計で1,400円安いです。1ページあたりに直すと約4.3円から約2.0円になり、2.2分の1になります。
なぜページが増えるのか。文庫のほうが紙が小さいためです。 単行本は四六判、文庫はA6判で、1ページに入る文字数が少なくなるぶん総ページが増えます。 判型ごとの寸法は文庫と単行本の違いで詳しく扱っています。
★文庫化は「ちょうど3年後の同月同日」だった
単行本が2018年9月7日、朝日文庫が2021年9月7日です。
年だけ3つ進んで、月日は同じ9月7日。ちょうど3年後の同月同日に文庫化されています。
★愛蔵版だけCコードが単行本と同じ
表のCコードの列を見ると、愛蔵版は C0093 で、朝日文庫の C0193 とは違います。
Cコードの2桁目は販売形態で、0が単行本、1が文庫です。つまり愛蔵版は、価格も分類も「単行本の側」の本です。文庫の棚ではなく単行本の棚に置かれます。
愛蔵版は上巻が金箔、下巻が銀箔の箔押しで作られています。映画のヒットを受けて2025年9月5日に出た版で、時期としては原作が累計120万部を突破した頃にあたります。
出典:『愛蔵版 国宝』が9月5日発売!原作小説は累計120万部突破|本の話(hon-hikidashi)(2026年10月31日時点)
結論:初めて読むなら朝日文庫
3版の中身は同じ小説です。 だから選び方はこうなります。
- 初めて読む・とにかく安く読みたい → 朝日文庫(上下で1,600円+税)
- 手元に残す・贈る → 愛蔵版(上下で5,000円+税・箔押し)
- 単行本は、文庫より高くページも少ないため、新品で選ぶ理由は薄い
国宝の原作と映画の関係|175分と838ページ

映画『国宝』は2025年6月6日公開、李相日監督、吉沢亮主演、上映時間175分です。
| 原作(朝日文庫) | 映画 | |
|---|---|---|
| 分量 | 838ページ(上下合計) | 175分 |
| 公開・刊行 | 単行本2018年/文庫2021年 | 2025年6月6日 |
175分で838ページを描くので、単純に割ると1分あたり約4.8ページ進む計算になります。3時間に収めるために原作から省かれた部分がある、という前提で観るのが妥当です。
ただし、映画と原作の相違点を一覧にした公式の資料は、2026年10月31日時点で公表されていません。 本記事では「どこがどう違う」という具体的な断定はしません。 原作の50年を追う構成と上映時間を見比べるかぎり、時間軸の圧縮が入っていると考えるのが自然という範囲にとどめます。
★李相日監督は吉田修一の原作を3度映画化している
『国宝』は、李相日監督が吉田修一の小説を映画にした3作目です。
| 公開 | 作品 | 原作者 |
|---|---|---|
| 2010年 | 悪人 | 吉田修一 |
| 2016年 | 怒り | 吉田修一 |
| 2025年 | 国宝 | 吉田修一 |
出典:国宝 (映画)|Wikipedia(2026年10月31日時点)
1作目の悪人は2008年本屋大賞 第4位の長編(朝日文庫・473ページ)で、こちらも当サイトにレビューがあります。同じ監督・同じ原作者の組み合わせが、15年かけて3作目で邦画実写の歴代1位に届いたという流れです。
国宝の原作が売れた経緯|115万部から200万部超へ

映画のヒットが原作の売れ方を変えた経過は、数字で追えます。
| 時点 | 累計発行部数 |
|---|---|
| 映画公開後の重版時 | 115万部突破 |
| 2025年9月(愛蔵版発売時) | 120万部突破 |
| 2025年11月28日時点 | 200万部超 |
出典:オリコン年間文庫ランキング2025 発表のプレスリリース(朝日新聞出版・2025年11月28日)、『愛蔵版 国宝』9月5日発売・累計120万部突破(いずれも2026年10月31日時点)
★オリコン年間文庫ランキングで1位・2位を独占した
朝日新聞出版の発表によると、『国宝』はオリコン年間文庫ランキング2025で、
- 『国宝 上 青春篇』が期間内売上74.1万部で1位
- 『国宝 下 花道篇』が64.9万部で2位
同一シリーズが1位・2位を独占するのは史上初とされています。
上下巻の差は9.2万部です。上巻を買った人の大半が下巻まで進んだことが数字に出ています。
★映画は邦画実写の歴代興行収入1位になった
映画『国宝』は、2025年11月24日までの公開172日間で観客動員1,231万人・興行収入173.7億円を突破し、邦画実写作品の歴代興行収入1位になりました。
それまで1位だったのは2003年公開の『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』の173.5億円で、記録の更新は22年ぶりです。
その後、興行収入は200億円を超え、歴代10位に入っています。
出典:「国宝」が邦画実写で歴代興収1位。22年ぶり「踊る大捜査線2」超え|AV Watch、映画「国宝」興行収入200億円超え 東宝配給、歴代10位に|日本経済新聞(いずれも2026年10月31日時点)
国宝の原作に関するよくある質問
国宝の原作は誰の小説ですか
吉田修一の『国宝』です。朝日新聞に2017年1月1日から2018年5月29日まで連載され、2018年9月7日に朝日新聞出版から上下巻で刊行されました。
国宝の原作は何ページありますか
朝日文庫版で上巻407ページ・下巻431ページ、合計838ページです(国立国会図書館サーチの書誌)。単行本は上351ページ・下353ページで合計704ページです。
国宝の原作はどの版を買えばいいですか
初めて読むなら朝日文庫です。上下で1,600円+税と最も安く、ページ数は単行本より134ページ多いです。手元に残したい場合は2025年9月5日発売の愛蔵版(上下で5,000円+税)があります。
国宝の原作は上下巻のどちらから読みますか
上巻『青春篇』からです。単行本には副題がなく『国宝 上』『国宝 下』なので、単行本を買う場合は「上」「下」の表記で確認してください。
国宝の原作は賞を取っていますか
2019年に第69回芸術選奨文部科学大臣賞と第14回中央公論文芸賞を受けています。映画公開の6年前です。
国宝の原作は映画と結末が違いますか
2026年10月31日時点で、映画と原作の相違点を示した公式資料は公表されていません。 本記事では相違点の断定を避けています。 原作は主人公の50年を838ページで描き、映画の上映時間は175分なので、時間軸の圧縮があるという前提で読み比べるのが妥当です。
愛蔵版と文庫は中身が違いますか
小説の本文は同じ作品です。違うのは判型・造本・価格で、愛蔵版は上巻が金箔、下巻が銀箔の箔押し、Cコードは単行本と同じC0093です。
国宝の原作はいま何部売れていますか
2025年11月28日時点の版元発表で累計200万部超です。オリコン年間文庫ランキング2025では上巻が74.1万部で1位、下巻が64.9万部で2位でした。
まとめ|国宝の原作は3版あり、初読は朝日文庫
- 映画『国宝』の原作は吉田修一の同名小説。朝日新聞に2017年1月1日〜2018年5月29日連載
- いま買える版は3種類(単行本2018年9月7日・朝日文庫2021年9月7日・愛蔵版2025年9月5日)
- 文庫は単行本よりページが134多く、上下合計で1,400円安い。1ページあたり約4.3円→約2.0円
- 文庫化はちょうど3年後の同月同日(2018年9月7日→2021年9月7日)
- 副題『青春篇』『花道篇』は文庫化で付いた。単行本は『国宝 上』『国宝 下』
- 原作は2019年に芸術選奨文部科学大臣賞・中央公論文芸賞を受賞済み
- 映画は172日間で興収173.7億円・動員1,231万人で邦画実写歴代1位、その後200億円超
- 原作はオリコン年間文庫ランキング2025で1位・2位を独占(史上初)
初めて読むなら朝日文庫の上巻『青春篇』からで十分です。
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