『丹心(まごころ)』は、仁科斂が書いた純文学で、中国・寧波の廃墟マンション「爛尾楼」を美術館に変えるプロジェクトに携わる建築助手のレンが、住民の立ち退きと複雑な人間関係に奔走する作品です。2026年7月15日に新潮社から刊行され、第175回芥川賞の候補になりました。著者は第56回新潮新人賞の受賞者です。この記事では、あらすじ・読みどころ・併録作まで紹介します。
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- 第175回芥川賞候補作・著者は第56回新潮新人賞受賞
- 中国・寧波の廃墟マンションを美術館に変える物語
- 奄美を舞台にした「さびしさは一個の廃墟」を併録
丹心とは|中国の廃墟マンションを書いた芥川賞候補作
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 仁科斂 |
| 刊行 | 新潮社・2026年7月15日・192ページ・定価2,200円(ISBN 978-4-10-357141-4) |
| 初出 | 『新潮』2026年4月号 |
| 受賞・候補 | 第56回新潮新人賞受賞/第175回芥川賞候補 |
| 併録 | さびしさは一個の廃墟(奄美のリゾート開発計画が題材) |
出典:新潮社『丹心/まごころ』、国立国会図書館サーチ(2026年9月13日時点)
表題作は芥川賞の候補であって受賞ではありません。第175回を受けたのは小砂川チト『ゾンビ回収婦』です。著者は第56回新潮新人賞の受賞でデビューした書き手で、本作が単行本としての最初期の1冊にあたります。
丹心のあらすじ|「爛尾楼」を美術館に変える

廃墟マンション「爛尾楼」
舞台は中国・寧波です。
そこにあるのが、建設が途中で止まった廃墟マンション——「爛尾楼」です。
美術館に変えるプロジェクト
この建物を美術館に変えるプロジェクトが動き出します。
主人公のレンは、そこに携わる建築助手です。
立ち退きと、複雑な人間関係
プロジェクトが進むほど、レンは住民の立ち退きと、複雑な人間関係のあいだを奔走することになります。
欲望と「まごころ」の衝突
出版社はこの作品を、矛盾に満ちた中国大陸における欲望と「まごころ」の衝突を描いたものと説明しています。
題名に添えられた「まごころ」という読みは、そのまま作品の主題を指しています。
丹心の3つの読みどころ

1. 「爛尾楼」という実在の社会現象を土台にしていること
建設が途中で放棄されたまま残るマンションは、中国で「爛尾楼」と呼ばれます。本作はこの言葉を物語の舞台装置としてそのまま使います。経済のひずみが物理的な建物として立っている、という設定が最初から与えられます。
2. 主人公が決定権を持たない立場にいること
レンは建築助手です。プロジェクトを止める権限も、住民を立ち退かせる権限も持ちません。判断する側ではなく、板挟みになる側から書かれているため、対立の両方が等距離で見えてきます。
3. 併録作が同じ主題を別の土地で書いていること
同時収録の「さびしさは一個の廃墟」は、奄美のリゾート開発計画が題材です。中国の廃墟と日本の離島という離れた舞台で、開発と住民という同じ構図が反復されます。2作を並べて読むことで主題が立体になります。
丹心の版と入手方法

| 版 | 出版社 | 刊行 | 収録 |
|---|---|---|---|
| 単行本 | 新潮社 | 2026年7月15日・192ページ・2,200円 | 丹心/さびしさは一個の廃墟 |
2026年9月時点で文庫版は出ていません。192ページのうち表題作と併録作の2編が入る構成です。
丹心と第175回芥川賞の候補作
| 著者 | 作品 | 初出 |
|---|---|---|
| 小砂川チト | ゾンビ回収婦(受賞) | 群像 2026年5月号 |
| 鈴木涼美 | 悪い血 | 文學界 2026年6月号 |
| 仁科斂 | 丹心 | 新潮 2026年4月号 |
| 村司侑 | ソリティアおじさんがいた頃 | 文學界 2026年5月号 |
| 八木詠美 | アンチ・グッドモーニング | 文藝 2026年春季号 |
候補5作のうち、新潮に発表されたのは本作だけです。
丹心の読了時間と難易度
192ページに2編で、一般的な読書速度で3〜4時間が目安です。
中国の都市開発に関する予備知識があると入りやすくなります。「爛尾楼」という語は作中で理解できますが、中国の不動産をめぐる状況を知っているほど背景が立ちます。ただし物語の理解には不要で、レンの立場さえ押さえれば追えます。
丹心に関するよくある質問
丹心は芥川賞を受賞しましたか
受賞していません。第175回芥川賞の候補作です。受賞作は小砂川チト『ゾンビ回収婦』でした。
仁科斂はどんな作家ですか
第56回新潮新人賞を受賞した作家です。本作の表題作は『新潮』2026年4月号に発表されました。
何編収録されていますか
表題作「丹心」と、奄美のリゾート開発計画を題材にした「さびしさは一個の廃墟」の2編です。
中国について詳しくないと読めませんか
読めます。「爛尾楼」などの語は作中で理解できる形で示されます。
第175回芥川賞の受賞作はどれですか
小砂川チト『ゾンビ回収婦』です。同じ回の直木賞は朝倉かすみ『けんぐゎい』が受賞しました。
まとめ|途中で止まった建物が、欲望とまごころの舞台になる
- 『丹心』は、中国・寧波の廃墟マンション「爛尾楼」を美術館に変えるプロジェクトで、建築助手のレンが立ち退きに奔走する作品
- 第175回芥川賞候補作。著者は第56回新潮新人賞受賞
- レンは決定権を持たない助手。板挟みの側から書かれている
- 奄美のリゾート開発を描く「さびしさは一個の廃墟」を併録
開発される土地が中国でも奄美でも、そこに住んでいた人の話になるのは同じだと分かる1冊です。
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