『アンチ・グッドモーニング』は、八木詠美が書いた純文学で、仕事のチャット通知に追い立てられて自分を失った「わたし」が、安眠のために奔走するうち不思議な世界へ迷い込んでいく長篇です。2026年6月29日に河出書房新社から刊行され、第175回芥川賞の候補になりました。著者は、世界26か国・地域で刊行されたデビュー作『空芯手帳』で知られます。この記事では、あらすじ・読みどころ・著者の位置づけまで紹介します。
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- 第175回芥川賞候補作
- デビュー作『空芯手帳』は世界26か国・地域で刊行
- 2026年6月29日刊行・184ページの長篇
アンチ・グッドモーニングとは|ポジティブ至上主義に反逆する不眠文学
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 八木詠美(1988年・長野県生まれ) |
| 刊行 | 河出書房新社・2026年6月29日・184ページ・本体1,700円(ISBN 978-4-309-03275-7) |
| 初出 | 『文藝』2026年春季号 |
| 候補 | 第175回芥川賞候補(受賞ではありません) |
| 著者の主な受賞 | 第36回太宰治賞『空芯手帳』/第12回河合隼雄物語賞『休館日の彼女たち』(2024年) |
出典:河出書房新社(版元ドットコム掲載の出版社登録データ)、国立国会図書館サーチ(2026年9月13日時点)
候補であって受賞ではありません。第175回を受けたのは小砂川チト『ゾンビ回収婦』です。
著者のデビュー作『空芯手帳』は第36回太宰治賞の受賞作で、世界26か国・地域で刊行されています。日本の新人賞から出た作品が海外で広く読まれている、数少ない例のひとつです。
アンチ・グッドモーニングのあらすじ|眠りは突然奪われた

チャット通知に追い立てられる「わたし」
眠りは突然奪われました。
「わたし」は、仕事のチャット通知に追い立てられ、自分を失っていきます。
眠らせてくれない三者
「わたし」を取り囲むのは、次の三者です。
- ウェルビーイングを強要する会社
- 丁寧な暮らしを推奨する夫
- 怪しげなeラーニング講師
どれも「よかれ」として差し出されるものばかりです。
安眠のために奔走した先
安眠のために奔走するうち、「わたし」はいつしか不思議な世界に迷い込んでいきます。
ポジティブ至上主義の現代社会に反逆する、“不眠”アドベンチャー長篇として書かれています。
アンチ・グッドモーニングの3つの読みどころ

1. 敵が「善意」の形をしていること
会社のウェルビーイング施策も、夫の丁寧な暮らしも、表向きはすべて主人公のためのものです。悪役が出てこないまま追い詰められていく構図が、本作の息苦しさの正体になっています。
2. 不眠を題材にしながら冒険譚であること
不眠は本来、動けなくなる状態です。本作はそれを奔走の理由に変え、迷い込んだ不思議な世界を進むアドベンチャーとして書きます。題材と形式がねじれている点が、単なる社会批判の小説と分かれるところです。
3. 題名が挨拶を拒否していること
「グッドモーニング」は、朝を肯定する挨拶です。それに「アンチ」を付けた題名が、ポジティブであることを求められ続ける状態への拒否をそのまま表しています。
アンチ・グッドモーニングの版と入手方法

| 版 | 出版社 | 刊行 |
|---|---|---|
| 単行本 | 河出書房新社 | 2026年6月29日・184ページ・本体1,700円 |
2026年9月時点で文庫版は出ていません。単行本のみです。
アンチ・グッドモーニングと第175回芥川賞の候補作
| 著者 | 作品 | 初出 |
|---|---|---|
| 小砂川チト | ゾンビ回収婦(受賞) | 群像 2026年5月号 |
| 鈴木涼美 | 悪い血 | 文學界 2026年6月号 |
| 仁科斂 | 丹心 | 新潮 2026年4月号 |
| 村司侑 | ソリティアおじさんがいた頃 | 文學界 2026年5月号 |
| 八木詠美 | アンチ・グッドモーニング | 文藝 2026年春季号 |
候補5作のうち、『文藝』発表は本作だけです。また184ページと、5作のなかで最も長い作品でもあります。
アンチ・グッドモーニングの読了時間と難易度
184ページで、一般的な読書速度で3〜4時間が目安です。
現実の職場描写から始まり、途中で不思議な世界へ移行します。その切り替わりに説明は与えられないため、境目を探しながら読むと止まります。リモートワークやチャットツールでの働き方に馴染みがあるほど序盤が刺さり、そうでない場合は導入にやや時間がかかります。
アンチ・グッドモーニングに関するよくある質問
アンチ・グッドモーニングは芥川賞を受賞しましたか
受賞していません。第175回芥川賞の候補作です。受賞作は小砂川チト『ゾンビ回収婦』でした。
八木詠美はどんな作家ですか
1988年・長野県生まれ。『空芯手帳』で第36回太宰治賞を受賞してデビューし、同作は世界26か国・地域で刊行されています。2024年には『休館日の彼女たち』で第12回河合隼雄物語賞を受賞しました。
『空芯手帳』を先に読む必要はありますか
必要ありません。物語のつながりはなく、本作だけで完結します。
ファンタジーですか
現実の職場から始まり、途中で不思議な世界へ移行します。出版社は「“不眠”アドベンチャー長篇」と説明しています。
第175回芥川賞の受賞作はどれですか
小砂川チト『ゾンビ回収婦』です。同じ回の直木賞は朝倉かすみ『けんぐゎい』が受賞しました。
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まとめ|よかれと差し出されるものに、眠りを奪われる
- 『アンチ・グッドモーニング』は、チャット通知に追い立てられた「わたし」が、安眠を求めて不思議な世界へ迷い込む長篇
- 第175回芥川賞候補作
- 会社も夫も講師も、善意の形をして主人公を眠らせない
- 184ページ・2026年6月29日刊行。文庫版は2026年9月時点で未刊
おはようという挨拶が、これほど押しつけがましく感じられる小説もそうありません。
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