『かぜゆら』は、『心淋し川』で直木賞を受けた西條奈加の時代小説で、2026年9月28日に実業之日本社から出ます。若き風鈴職人・宇多次が、行き場を失った少年と、六年ぶりに帰ってきた師匠の娘と、裏長屋でひとつの暮らしを始める話です。この記事では、あらすじと読みどころ、書誌情報を一次資料で整理します。
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※本記事は発売時点で公表された情報にもとづいています。
- 2026年9月28日・実業之日本社・224ページ・1,760円(税込)
- 『心淋し川』の直木賞作家による江戸の市井もの
- 風鈴職人・宇多次と、裏長屋で始まる三人暮らし
かぜゆらとは|直木賞作家が描く江戸の職人小説
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 西條奈加(1964年・北海道生まれ) |
| 版元 | 実業之日本社 |
| 発売日 | 2026年9月28日(書店発売日) |
| 判型・頁 | 四六判・224ページ |
| 価格 | 1,760円(税込・本体1,600円) |
| ISBN | 978-4-408-53923-2 |
| シリーズ | シリーズ表記なし(単独作) |
出典:版元ドットコム(実業之日本社登録データ)、実業之日本社「2026年9月発売の新刊情報」、国立国会図書館サーチ(2026年9月28日時点)
版元が掲げている惹句は、次の一文です。
「風鈴って、まるで人みてえだ……不揃いで、どれも音が違う」
出典:版元ドットコム(実業之日本社登録データ)(2026年9月28日時点)
西條奈加は2005年に『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受けてデビューし、2012年に『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、2015年に『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、2021年に『心淋し川』で第164回直木賞を受けています。「善人長屋」「金春屋」「お蔦さんの神楽坂日記」といったシリーズを持つ、江戸の市井を描く書き手です。
出典:版元ドットコム(実業之日本社登録の著者プロフィール)(2026年9月28日時点)
かぜゆらのあらすじ|師匠を失った職人と、長屋に集まる三人

師匠夫妻を亡くし、大道芸で食いつなぐ
主人公は若き風鈴職人・宇多次です。師匠夫妻を亡くし、大道芸で糊口を凌いでいます。
型破りな硝子師のもとで働き始める
己の未熟さに悩んだ宇多次は、型破りな硝子(びいどろ)師・国平のもとで働き始めます。
奥女中のお櫂と、傷ついた少年・小丸に出会う
そこで献身的な商家の奥女中・お櫂と、奉公先で傷ついた少年・小丸に出会います。
訳あって小丸を引き取る
宇多次は訳あって小丸を引き取ります。
六年前に出奔した師匠の娘が帰ってくる
そこに、六年前に出奔した師匠の娘・お勢が突如帰還。裏長屋での奇妙な三人暮らしが始まります。
新しい風鈴と、拭えない違和感
国平に導かれて宇多次が新しい風鈴の創作へ挑む一方、お勢の言動には拭いきれない違和感が漂い始めます。
出典:版元ドットコム(実業之日本社登録データ)の内容紹介(2026年9月28日時点)
かぜゆらの3つの読みどころ

1. 「不揃いだから音が違う」という主題の器
風鈴は、同じ型で吹いても、ひとつずつ音が違います。
版元が掲げた惹句はそこを突いています。揃っていないことが欠陥ではなく、音の違いそのものになる——職人の手仕事を主題の器に使うと、そのまま登場人物の話になります。行き場を失った少年、帰ってきた娘、師匠を亡くした職人が長屋に集まる構成と、風鈴という題材は正面から噛み合っています。
2. 血のつながらない三人が「ひとつの家」になる
西條奈加が繰り返し書いてきたのは、血縁ではない者同士がひとつの生活を回す姿です。「善人長屋」も『心淋し川』も、長屋という単位に人が集まる話でした。
本作では宇多次・小丸・お勢の三人暮らしがその単位になります。引き取ったのは他人の子で、帰ってきたのは師匠の娘です。家族と呼ぶには足りないものが多く、他人と呼ぶには近すぎる。その距離の詰め方が読みどころになります。
3. お勢の「違和感」が物語を引っぱる
時代小説でありながら、本作には引きの仕掛けがあります。
お勢の言動に漂う違和感です。帰ってきた理由を、読者はまだ知らされていません。新しい風鈴を作るという前向きな線と、お勢という不穏な線が同時に走る。職人小説の到達と、隠されたものの露見が、同じ地点で交わる構成だと版元の紹介文は示しています。
かぜゆらの読了時間と、こんな人におすすめ
224ページで、3〜4時間が目安です。西條奈加の江戸ものは会話の応酬が多く、ページの進みは速いほうです。
難易度は高くありません。江戸の職人ことば(硝子師、奥女中、裏長屋)が出てきますが、文脈で読めます。時代小説を初めて読む人の一冊目にもなります。
おすすめタイプは、『心淋し川』で西條奈加を知って次を探している人/職人の手仕事が出てくる時代小説が好きな人/血縁でない人たちが一緒に暮らす話に弱い人です。
かぜゆらと西條奈加の他作品の関係

本作は単独の作品です。版元ドットコムの登録データにシリーズ表記はなく、既刊を読んでいなくても問題ありません。
| 作品 | 位置づけ | |
|---|---|---|
| デビュー作 | 金春屋ゴメス | 第17回日本ファンタジーノベル大賞(2005年) |
| 受賞作 | 涅槃の雪 | 第18回中山義秀文学賞(2012年) |
| 受賞作 | まるまるの毬 | 第36回吉川英治文学新人賞(2015年) |
| 代表作 | 心淋し川 | 第164回直木賞(2021年)・江戸千駄木の連作 |
| 本作 | かぜゆら | 2026年9月28日・実業之日本社 |
出典:版元ドットコム(実業之日本社登録の著者プロフィール)(2026年9月28日時点)
入口としては『心淋し川』が定番です。江戸の一角に暮らす人々を連作で描いた直木賞受賞作で、本作と作風が近い位置にあります。
かぜゆらに関するよくある質問
かぜゆらはシリーズ作品ですか
単独の作品です。版元ドットコムの登録データにシリーズ名の記載はありません。前提となる既刊はないので、本作から読めます。
どんな話ですか
師匠夫妻を亡くした若き風鈴職人・宇多次が、硝子師・国平のもとで働き始め、傷ついた少年・小丸を引き取り、六年ぶりに帰ってきた師匠の娘・お勢と裏長屋で三人暮らしを始める話です。新しい風鈴の創作に挑む一方、お勢の言動には違和感が漂います。
『心淋し川』を読んでいないと分かりませんか
関係ありません。別の作品です。ただし作風は近いので、本作が合えば『心淋し川』も合います。
文庫版はいつ出ますか
2026年9月28日時点で、文庫化の告知は出ていません。実業之日本社の単行本なので、文庫になるとすれば実業之日本社文庫が有力ですが、予定は未公表です。
西條奈加はどんな作家ですか
1964年・北海道生まれ。2005年に『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受けてデビューし、2021年に『心淋し川』で第164回直木賞を受けました。「善人長屋」「金春屋」「お蔦さんの神楽坂日記」などのシリーズを持ち、江戸の市井を描く名手として知られます。
まとめ|音の違いを肯定する、江戸の職人小説
- 『かぜゆら』は2026年9月28日・実業之日本社・224ページ・1,760円(税込)
- 直木賞作家・西條奈加の江戸もの。シリーズではなく単独作
- 主人公は師匠夫妻を亡くした風鈴職人・宇多次
- 小丸とお勢との裏長屋の三人暮らしが物語の軸
- お勢の違和感が引きになり、職人小説に不穏な線が重なる
風鈴の音がひとつずつ違うことを、欠点ではなく取り柄として書く小説です。そこに惹かれるなら、読む価値があります。
長編や積んだままの本ほど、聴くと最後までたどり着けます。
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