『オルロージュ』は、『地図と拳』で直木賞を受けた小川哲の長編で、2026年9月30日に講談社から出ます。512ページ。光合成をするコンクリートを武器に起業した二人が、企業価値が膨らむにつれて足元を崩していく話です。小川哲にとって初めての新聞連載小説で、米国の血液検査ベンチャーが起こした詐欺事件が下敷きになっています。この記事では、あらすじと読みどころ、連載の経緯を整理します。
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※本記事は発売前に公表された情報にもとづいています。
- 2026年9月30日・講談社・512ページ・2,585円(税込)
- 小川哲にとって初の新聞連載小説
- 米国の血液検査ベンチャーの詐欺事件が下敷き
オルロージュとは|直木賞作家の初めての新聞連載

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 小川哲(1986年・千葉県生まれ) |
| 版元 | 講談社 |
| 発売日 | 2026年9月30日 |
| 判型・頁 | 四六変型判・512ページ |
| 価格 | 2,585円(税込・本体2,350円) |
| ISBN | 978-4-06-544076-6 |
| 初出 | 新聞連載(2023年12月8日付〜) |
| 挿絵 | 岡野賢介(新聞連載時) |
出典:版元ドットコム(講談社登録データ)、千葉日報「人間の虚栄心描く ベンチャー題材に群像劇」、渋谷教育学園幕張中学校・高等学校「小川哲氏の新聞連載小説『オルロージュ』が始まります」(2026年9月28日時点)
「オルロージュ」はフランス語で「時計」を意味します。作中の二人が起こす会社の名前です。
新聞連載としての出発
本作は書き下ろしではありません。2023年12月8日付から新聞に連載された小説で、千葉日報などに掲載されました。小川哲にとっては初めての新聞連載です。挿絵は岡野賢介が担当しました。
出典:千葉日報、渋谷教育学園幕張中学校・高等学校(2026年9月28日時点)
連載開始時、著者は題材についてこう語っています。
「人間が何かを成し遂げたい、成功したいという気持ちやそれを応援する人、敵対する人を描きたい」
出典:千葉日報(2026年9月28日時点)
あわせて「小説も一つの虚構なので、現実世界の虚構に興味がある」とも述べています。虚構を書く人間が、現実に起きた虚構を書く——本作の立ち位置はここにあります。
オルロージュのあらすじ|光合成をするコンクリートで起業する

「世界一の金持ちになりたい」と言う彼女
桐田奈南は、世界一の金持ちを夢見るキャピタリストの卵です。
再会と、作戦会議
奈南に「作戦会議をしよう」と呼び出されたのが、ひとり研究を重ねる倉敷秀斗でした。二人は再会し、止まっていた時計の針が動き始めます。
光合成をするコンクリート
秀斗の研究をいかし、光合成をするコンクリートを開発するために、二人はフランス語で「時計」を意味する「オルロージュ」を起業します。
仲間が集まり、事業が回り始める
プレゼンの巧い経営者、広報に精通したキャリアを仲間に入れ、出資を集め、事業は軌道に乗り始めます。
そして初期社員が消えていく
しかし、企業価値が膨れ上がるにつれて、なぜか桐田奈南以外の初期社員が姿を消していきます。
出典:版元ドットコム(講談社登録データ)の内容紹介(2026年9月28日時点)
オルロージュの3つの読みどころ

1. 下敷きは「世紀の詐欺事件」
千葉日報は連載開始時、本作の題材を「米国の血液検査ベンチャー『セラノス』が虚偽技術で投資家をだました事件」と報じています。
出典:千葉日報(2026年9月28日時点)
存在しない技術に、巨額の金と一流の人材が集まったという現実の構図が、本作では光合成をするコンクリートに置き換わっています。技術が本物かどうかを読者が判断できない状態のまま、企業価値だけが膨らんでいく——この居心地の悪さが小説の駆動力です。
2. 「初期社員が消える」という一行の重さ
版元の紹介文は、「桐田奈南以外の初期社員が姿を消していく」という一文で終わっています。
ここには二つの読みがあります。消えるのは口を封じられたからなのか、それとも自分から降りたからなのか。そしてなぜ奈南だけが残るのか。512ページの長編が、この一行に収束する構造になっています。
3. 作家7名が推薦を寄せている
文庫帯ではなく、発売前の単行本に並んだ推薦コメントの顔ぶれが異例です。版元ドットコムに登録された紹介文には、林真理子・佐藤究・白川尚史・日野瑛太郎・宮島未奈・逢坂冬馬・凪良ゆうの言葉が並んでいます。
| 推薦者 | コメント(抜粋) |
|---|---|
| 林真理子 | ディープテック、VC…難解で最新のものが最高のエンタメになった |
| 佐藤究 | 起業という“革命”とその“裏側”。あまりに、強烈に小川哲的 |
| 逢坂冬馬 | 圧倒的面白さに脳を灼かれる500ページ |
| 凪良ゆう | 言語化の魔法使いが紡ぐ物語(ウソ)は熱くて、少し悲しい |
出典:版元ドットコム(講談社登録データ)(2026年9月28日時点)
版元自身は本作を「小川哲版『グレート・ギャツビー』」と呼んでいます。成り上がりと、その裏にある空洞という主題の指定です。
オルロージュの読了時間と、小川哲のどこに位置するか
512ページで、8〜10時間が目安です。元が新聞連載なので、一回分の区切りは細かいと見込まれます(単行本でどう構成されたかは発売後に確かめてください)。分量は多いものの、少しずつ進める読み方に向く形です。
小川哲の既刊のなかでは、歴史を扱った『地図と拳』よりも、現代の一点を掘る『君のクイズ』に近い立ち位置です。ただし分量は『地図と拳』側にあります。
| 作品 | 題材 | 受賞 |
|---|---|---|
| ゲームの王国 | カンボジア現代史×SF | 日本SF大賞・山本周五郎賞 |
| 地図と拳 | 満洲の都市 | 第168回直木賞・山田風太郎賞 |
| 君のクイズ | クイズ番組の0文字押し | 日本推理作家協会賞 |
| オルロージュ | 起業とベンチャー詐欺 | 2026年9月30日刊 |
出典:版元ドットコム(講談社登録の著者プロフィール)(2026年9月28日時点)
オルロージュに関するよくある質問
オルロージュは実話ですか
小説です。ただし千葉日報は連載開始時、米国の血液検査ベンチャーが虚偽技術で投資家をだました事件を題材にしていると報じています。実在の事件を下敷きにしたフィクションという位置づけです。
どんな話ですか
「世界一の金持ちになりたい」キャピタリストの卵・桐田奈南と、研究者の倉敷秀斗が再会し、光合成をするコンクリートを武器に「オルロージュ」を起業する話です。仲間が集まり事業は軌道に乗りますが、企業価値が膨らむにつれて奈南以外の初期社員が姿を消していきます。
新聞連載と単行本で内容は違いますか
2026年9月28日時点で、加筆修正の有無は公表されていません。単行本は512ページで、新聞連載は2023年12月8日付から始まりました。
小川哲を初めて読みます。どれから読むべきですか
『君のクイズ』が最も短く、入口に向きます。本作を先に読んでも問題ありません。シリーズではないので、前提となる既刊はありません。
小川哲はどんな作家ですか
1986年・千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学。2015年『ユートロニカのこちら側』で第3回ハヤカワSFコンテスト大賞を受けてデビュー。2018年『ゲームの王国』で日本SF大賞と山本周五郎賞、2023年『地図と拳』で第168回直木賞、同年『君のクイズ』で日本推理作家協会賞を受けています。
まとめ|存在しない技術に、金と人が集まっていく
- 『オルロージュ』は2026年9月30日・講談社・512ページ・2,585円(税込)
- 小川哲にとって初めての新聞連載小説(2023年12月8日付〜、挿絵は岡野賢介)
- 題材は米国の血液検査ベンチャーが起こした詐欺事件
- 主人公はキャピタリストの卵・桐田奈南と研究者・倉敷秀斗
- 企業価値が膨らむほど、初期社員が消えていく
版元は「小川哲版『グレート・ギャツビー』」と呼びます。成功の物語として読み始めて、空洞の物語として読み終える構えで手に取るのが正解です。
長編や積んだままの本ほど、聴くと最後までたどり着けます。
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