林真理子(はやし・まりこ、1954年4月1日生まれ)は、エッセイと恋愛小説の両方で40年以上書き続けてきた作家です。山梨県山梨市出身、日本大学藝術学部文芸学科卒。コピーライターから出発しました。
デビューは小説ではなくエッセイで、1982年11月の『ルンルンを買っておうちに帰ろう』(主婦の友社)がベストセラーになりました。小説では第94回直木賞・柴田錬三郎賞・吉川英治文学賞・島清恋愛文学賞を受賞し、2020年には第68回菊池寛賞を受けています。
「小説家」と「エッセイスト」のどちらから入るかで、印象がまったく変わる作家です。本ページでは両方を整理します。
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- Kindle・文庫・中古もまとめてチェック可能
- 主要作は文春文庫・講談社文庫・集英社文庫で入手できます
林真理子のおすすめ|まず結論(初心者はこの3冊から)
- はじめての1冊は『最終便に間に合えば』 … 第94回直木賞受賞作。文春文庫で232ページの短編集です。
- 評価の高い長編なら『みんなの秘密』 … 第32回吉川英治文学賞受賞作。2025年4月に講談社文庫で再文庫化されました。
- エッセイから入るなら『ルンルンを買っておうちに帰ろう』 … 1982年のデビュー作。この人の文章の原型がここにあります。
林真理子のおすすめ 人気ランキングTOP10

順位は、①受賞歴、②入門しやすさ、③現在も文庫で入手しやすいかから、ヨムマップ編集部が整理しました。
| 順位 | タイトル | 文庫 | 系統 | 受賞 | 入門度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 最終便に間に合えば | 文春文庫 | 短編集 | 第94回直木賞 | ★★★ |
| 2 | みんなの秘密 | 講談社文庫 | 長編 | 第32回吉川英治文学賞 | ★★★ |
| 3 | 白蓮れんれん | 集英社文庫 | 評伝小説 | 第8回柴田錬三郎賞 | ★★ |
| 4 | 不機嫌な果実 | 文春文庫 | 恋愛長編 | 2度ドラマ化 | ★★★ |
| 5 | ルンルンを買っておうちに帰ろう | 角川文庫 | エッセイ | デビュー作 | ★★★ |
| 6 | アスクレピオスの愛人 | 新潮文庫 | 恋愛長編 | 第20回島清恋愛文学賞 | ★★ |
| 7 | 本を読む女 | 集英社文庫 | 長編 | 第6回坪田譲治文学賞 候補 | ★★★ |
| 8 | 葡萄が目にしみる | 角川文庫 | 青春長編 | 第92回直木賞 候補 | ★★★ |
| 9 | 夜ふけのなわとび | 文春文庫 | エッセイ | ギネス世界記録の連載 | ★★★ |
| 10 | 西郷どん! | 角川書店(上下) | 歴史長編 | 第7回歴史時代作家クラブ賞(特別功労賞) | ★★ |
1位. 最終便に間に合えば(文春文庫・短編集)
1986年に第94回直木賞を受賞した短編集です。受賞対象は「最終便に間に合えば」と「京都まで」の2編。受賞時は31歳9ヵ月でした。
文春文庫の現行版は2012年7月刊で232ページ。直木賞受賞作としては短く、最初の1冊に向きます。
2位. みんなの秘密(講談社文庫・長編)
1998年に第32回吉川英治文学賞を受賞した長編です。1997年12月に講談社から刊行され、2001年に講談社文庫、そして2025年4月に講談社文庫であらためて出ました(291ページ)。
いま新刊書店で最も手に入りやすい受賞作がこれです。
3位. 白蓮れんれん(集英社文庫・評伝小説)
1995年に第8回柴田錬三郎賞を受賞した長編です。大正期の歌人・柳原白蓮と宮崎龍介の恋愛を、実際の書簡をもとに描いています。1994年10月に中央公論社から刊行。
同じ年の第34回女流文学賞の候補にもなりました。中公文庫(431ページ)と集英社文庫(430ページ)の2つの版があります。
4位. 不機嫌な果実(文春文庫・恋愛長編)
1996年10月刊の恋愛長編で、林真理子の代表作としてもっとも多く挙げられる1冊です。結婚した女性の不倫を正面から書いた作品で、2015年にTBS、2016年にテレビ朝日で2度ドラマ化されています。
文春文庫版は2001年1月刊の342ページです。
5位. ルンルンを買っておうちに帰ろう(角川文庫・エッセイ)
1982年11月、主婦の友社から出たデビュー作です。小説ではなくエッセイ集で、これがベストセラーになったことから作家活動が始まりました。
角川文庫版は1985年11月刊の238ページ。小説を1冊も書かないうちに有名になったという、この作家の出発点です。
6位. アスクレピオスの愛人(新潮文庫・恋愛長編)
2013年に第20回島清恋愛文学賞を受賞した長編です。『週刊新潮』に2011年7月から2012年4月まで連載され、2012年9月に単行本化。新潮文庫版は2015年2月刊の485ページで、この一覧のなかでは最も長い1冊です。
7位. 本を読む女(集英社文庫・長編)
1990年5月刊の長編で、作者の母をモデルに、本を読むことが好きだった女性の生涯を描いています。第6回坪田譲治文学賞の候補になりました。集英社文庫版は2015年6月刊の292ページ。
「読書する女性」を主題にした小説なので、読書そのものが好きな人には入りやすい1冊です。
8位. 葡萄が目にしみる(角川文庫・青春長編)
1984年11月刊で、第92回直木賞の候補になった青春小説です。山梨の高校を舞台にしています。角川文庫版は1986年3月刊の234ページ。
1996年には講談社英語文庫から英訳版『The Green, Green Grapes of Home』(ソニア・L・ジョンソン訳)も出ています。
9位. 夜ふけのなわとび(文春文庫・エッセイ)
『週刊文春』の長期連載エッセイをまとめた1冊です(文春文庫版は2008年2月刊・268ページ)。この連載がギネス世界記録の対象になっています(詳しくは後述)。
10位. 西郷どん!(角川書店・上下)
2018年のNHK大河ドラマ「西郷どん」の原作です。2018年に第7回歴史時代作家クラブ賞の特別功労賞を受けました。KADOKAWAから上下2巻で出ています。
小中学生向けには角川つばさ文庫版『西郷どん! 西郷隆盛の物語』(吉橋通夫 文・勇沢椰木 絵/222ページ)もあります。
直木賞は4回落ちてから受賞し、のちに選ぶ側を24年務めた

林真理子の直木賞は、5回目の候補でようやくの受賞でした。
| 回 | 時期 | 候補作 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 第91回 | 1984年上期 | 「星影のステラ」 | 候補 |
| 第92回 | 1984年下期 | 『葡萄が目にしみる』 | 候補 |
| 第93回 | 1985年上期 | 「胡桃の家」 | 候補 |
| 第94回 | 1985年下期 | 「最終便に間に合えば」「京都まで」 | 受賞 |
初回の第91回では、選考委員から厳しい評が並んでいます。山口瞳は「感性と素質という点で抜群に秀れている」としながら「残念ながら、非常によく出来た少女小説というほかはない」と評し、最後に「林真理子さん、顔を洗って出直していらっしゃい」と書きました。源氏鶏太は「私には何んとも理解出来なかった」としています。
一方で渡辺淳一は「選考会では、『どうしてこんなくだらないものを書くのか』という酷評もあったが、このあたりは、いままで書かれなかったところであり、単なる少女趣味とはまったく違う」と擁護し、五木寛之は「『中産階級の時代』の林芙美子、という見方もできるだろう」と書いています(選評出典:『オール讀物』1984年10月号)。
この第91回の受賞者は、連城三紀彦(『恋文』)と難波利三でした。
そして林真理子は、第123回から直木賞の選考委員を務めます。「文学賞の世界」の集計では通算24年・48回。「顔を洗って出直せ」と書かれた候補者が、のちに選ぶ側を24年続けていることになります。
2020年5月には日本文藝家協会の理事長に女性として初めて選出され、2022年7月には日本大学の理事長にも就任しました。
エッセイは同一雑誌の連載回数でギネス世界記録
林真理子の仕事量を端的に示すのがエッセイです。
2020年10月14日、『週刊文春』での連載エッセイが「同一雑誌におけるエッセイの最多掲載回数」としてギネス世界記録に認定されました。回数は同年7月2日時点で1,655回。対象になったのは「今宵ひとりよがり」「今夜も思い出し笑い」「マリコの絵日記」「夜ふけのなわとび」の通算です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 記録名 | 同一雑誌におけるエッセイの最多掲載回数 |
| 掲載誌 | 週刊文春 |
| 回数 | 1,655回(2020年7月2日時点) |
| 認定日 | 2020年10月14日 |
週刊誌に毎週書いて30年以上。小説の受賞歴と並べると、この作家の活動量が見えてきます。
小説から入るか、エッセイから入るか

林真理子は小説とエッセイで読み味がかなり違います。先に向き不向きを決めたほうが早いです。
| 入口 | おすすめ | 向いている人 |
|---|---|---|
| 直木賞から | 最終便に間に合えば | 受賞作から押さえたい。232ページで短い |
| 評価の高い長編から | みんなの秘密 | 吉川英治文学賞作を新刊で買いたい |
| 恋愛小説から | 不機嫌な果実/アスクレピオスの愛人 | 大人の恋愛を正面から読みたい |
| 実在の人物から | 白蓮れんれん/西郷どん! | 時代小説・評伝が好き |
| エッセイから | ルンルンを買っておうちに帰ろう/夜ふけのなわとび | 読みやすい短い文章から入りたい |
| 読書そのものが好き | 本を読む女 | 本を読む人を描いた小説を読みたい |
林真理子の受賞歴
| 年 | 賞 | 対象 |
|---|---|---|
| 1981年 | TCC賞新人賞(東京コピーライターズクラブ) | 西友ストア向け広告コピー |
| 1984年 | 第91回直木賞 候補 | 「星影のステラ」 |
| 1984年 | 第92回直木賞 候補 | 『葡萄が目にしみる』 |
| 1984年度 | 第6回吉川英治文学新人賞 候補 | 『星に願いを』 |
| 1985年 | 第93回直木賞 候補 | 「胡桃の家」 |
| 1986年 | 第94回直木賞 | 「最終便に間に合えば」「京都まで」 |
| 1988年 | 第50回文藝春秋読者賞 | 「いいかげんにしてよアグネス」 |
| 1990年 | 第6回坪田譲治文学賞 候補 | 『本を読む女』 |
| 1991年 | 第30回女流文学賞 候補 | 『ミカドの淑女』 |
| 1992年 | 第7回きものグレース京都大賞 | — |
| 1995年 | 第8回柴田錬三郎賞 | 『白蓮れんれん』 |
| 1996年 | 第35回女流文学賞 候補 | 『女文士』 |
| 1998年 | 第32回吉川英治文学賞 | 『みんなの秘密』 |
| 2011年 | レジオンドヌール勲章(シュヴァリエ) | — |
| 2013年 | 第20回島清恋愛文学賞 | 『アスクレピオスの愛人』 |
| 2018年 | 第7回歴史時代作家クラブ賞(特別功労賞) | 『西郷どん!』 |
| 2018年 | 紫綬褒章 | — |
| 2020年 | 第68回菊池寛賞 | — |
| 2022年 | 第4回野間出版文化賞 | — |
女流文学賞には3回候補(第30回・第34回・第35回)になりましたが、受賞はありません。歴史時代作家クラブ賞は特別功労賞での受賞です。
よくある質問
Q. 林真理子は何から読むのがおすすめ?
A. 『最終便に間に合えば』(文春文庫)です。第94回直木賞の受賞作で、232ページなので読み切りやすいです。長編が読みたいなら『みんなの秘密』、エッセイなら『ルンルンを買っておうちに帰ろう』からどうぞ。
Q. 直木賞を受賞した作品はどれですか?
A. 「最終便に間に合えば」と「京都まで」の2編です。1986年に第94回直木賞を受賞しました。この2編は文春文庫『最終便に間に合えば』に収録されています。
Q. デビュー作は小説ですか?
A. いいえ、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』(1982年11月・主婦の友社)です。小説ではなくエッセイでデビューし、それがベストセラーになりました。
Q. いちばん売れた作品はどれですか?
A. 公表された実売部数の比較はできませんが、デビュー作『ルンルンを買っておうちに帰ろう』と『不機嫌な果実』が代表作として最も多く挙げられます。『不機嫌な果実』は2015年と2016年に2度ドラマ化されました。
Q. 大河ドラマの原作はどれですか?
A. 『西郷どん!』です。2018年のNHK大河ドラマ「西郷どん」の原作で、2018年に第7回歴史時代作家クラブ賞の特別功労賞を受けました。
まとめ|まずは『最終便に間に合えば』から
林真理子は、エッセイでデビューしてベストセラーを出し、直木賞に4回落ちてから受賞し、のちにその選考委員を24年務めた作家です。迷ったら直木賞の『最終便に間に合えば』から。長編なら『みんなの秘密』、エッセイなら『ルンルンを買っておうちに帰ろう』をどうぞ。
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出典・参考情報
- 「文学賞の世界/直木賞のすべて」林真理子の受賞・候補歴(TCC賞/直木賞/吉川英治文学新人賞・文学賞/文藝春秋読者賞/坪田譲治文学賞/女流文学賞/柴田錬三郎賞/島清恋愛文学賞/歴史時代作家クラブ賞/菊池寛賞/野間出版文化賞)、直木賞選考委員歴、および第91回直木賞の選評(出典:『オール讀物』1984年10月号)
- ギネス世界記録の認定内容は朝日新聞2020年10月14日付の報道による
- openBD/国立国会図書館サーチ(各版のISBN・ページ数・刊行年月)













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