『鵼の碑(ぬえのいしぶみ)』は、京極夏彦の百鬼夜行シリーズ(京極堂シリーズ)第10作にあたる長編ミステリーです。前作『邪魅の雫』(2006年)から17年——待ち続けた読者のもとに、2023年9月、ついに書き下ろしの新作が届きました。舞台は昭和29年の日光。五人の語り手がそれぞれの事情を抱えて土地に集まり、頭は猿、胴は狸、尾は蛇という「鵼」のように、正体の掴めない事件が姿を現します。この記事では、あらすじ・読みどころ・講談社文庫版のISBN・シリーズを読む順番まで、真相には一切触れずに紹介します。
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- 17年ぶりに刊行された百鬼夜行シリーズ第10作
- 昭和29年の日光を舞台に五つの視点が交錯する
- 単行本・講談社ノベルス・講談社文庫・電子書籍版あり
鵼の碑とは|百鬼夜行シリーズ第10作
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 京極夏彦 |
| ジャンル | ミステリー/妖怪・伝奇 |
| 単行本 | 2023年9月14日(講談社) |
| ノベルス | 2023年9月(講談社ノベルス) |
| 文庫 | 2024年9月13日(講談社文庫) |
| 文庫ISBN | 978-4-06-536243-3(講談社文庫) |
| シリーズ | 百鬼夜行シリーズ第10作(前作『邪魅の雫』から17年ぶり) |
| 時代設定 | 昭和29年(1954年)/舞台は日光 |
| 関連作 | 百鬼夜行シリーズを読む順番・京極夏彦の新刊ガイド |
『鵼の碑』は、2023年9月14日に講談社から刊行された百鬼夜行シリーズ第10作です。
前作『邪魅の雫』が2006年ですから、実に17年ぶりの書き下ろし長編という、シリーズ史でも特別な一冊になりました。
刊行時にはSNSで驚きと喜びの声が広がり、書店の専用ブックカバー、鉄道の車内広告、新聞の全面広告と、話題は本の外にも広がりました。
832ページという厚みそのものが話のタネになったことも、この作品を象徴しています。
現在は2024年9月刊行の講談社文庫版があり、初めて手に取る人にも入りやすくなっています。
鵼の碑のあらすじ|昭和29年、日光に集まる五人

物語の舞台は、昭和29年の日光。
かつてこの地では、三人が殺され、その遺体が消えたという未解決事件が起きていました。
二十年前の事件を追って
刑事の木場修太郎は、長門五十次から二十年前の未解決事件について聞き、調査のため日光へ向かいます。
被害者の子どもたちは、当時この土地に預けられていました。
過去の出来事が、いま生きている人々の生活に、静かに影を落としている——その手触りから物語は始まります。
五つの視点が交錯する
本作は、五つの章がそれぞれ異なる語り手によって進みます。
久住加壽夫、御厨冨美、木場修太郎、築山公宣、緑川佳乃——目的も立場も違う五人が、それぞれの事情で日光の同じ土地に足を踏み入れます。
さらに、関口巽・中禅寺秋彦・益田龍一・榎木津礼二郎といったシリーズのレギュラー陣も姿を見せます。
別々の物語に見えたものが、どのように一つの相貌を結ぶのかは、ぜひご自身で確かめてください。
鵼の碑の3つの読みどころ

1. 「鵼」というタイトルが構造そのものを表している
鵼(ぬえ)とは、頭・胴・尾がそれぞれ別の獣であるとされる、正体の定まらない妖です。
五つの視点がそれぞれ別の生き物のように見え、しかし一体である——この構造こそが、本作がタイトルに込めたものです。
『絡新婦の理』が蜘蛛の巣なら、本作は継ぎ接ぎの怪物。京極夏彦が妖の名を構成に重ねる手つきは、シリーズを通じて健在です。
2. 17年の空白を感じさせない語りの密度
17年という間隔があっても、文体も密度もまったく緩んでいません。
薀蓄と会話、そして憑き物落としへ向かう長い助走——シリーズを読んできた人ほど、「戻ってきた」という感覚を強く持つはずです。
厚さに怯む必要はなく、いつもの京極堂の速度で読み進められます。
3. 日光という土地が持つ重層性
日光は、信仰と歴史と観光が幾層にも積み重なった土地です。
その土地の来歴そのものが事件の背景に食い込んでいく構成は、『鉄鼠の檻』で禅寺を扱ったときの手法とも通じます。
土地を語ることが人を語ることになる——シリーズの根幹にある姿勢が、本作でも貫かれています。
鵼の碑の五つの視点と読み進め方

| 項目 | 前半 | 後半 |
|---|---|---|
| 語られ方 | 語り手ごとに独立した章が並ぶ | 別々だった線が接触しはじめる |
| 読者の状態 | 関係が見えず断片を抱える | 構図が組み上がっていく |
| 登場する顔ぶれ | 新たな語り手が中心 | シリーズのレギュラー陣が前へ出る |
| 読み方のコツ | 焦らず各章を独立して味わう | 前半で置かれた細部を思い出す |
『鵼の碑』は、五つの視点が順に置かれ、後半にかけて交錯していく構成です。
前半は「この話はどこへ向かうのか」が分からないまま進むため、読者には多少の忍耐が求められます。
ただし前半に置かれた細部が後半で意味を持つため、読み飛ばさずに進めるほど、終盤の手応えが増していきます。
鵼の碑と京極夏彦の関連作品と読む順番
『鵼の碑』は百鬼夜行シリーズの第10作です。
シリーズは『姑獲鳥の夏』(1994年)から始まり、本作までが刊行済みです。
| 関連作品 | 概要 | 関係性 |
|---|---|---|
| 百鬼夜行シリーズを読む順番完全ガイド | シリーズ全体の刊行順と読む順番 | まず全体像をつかめる |
| 姑獲鳥の夏 | シリーズ第1作・京極夏彦のデビュー作 | ここから読むのが基本 |
| 魍魎の匣 | シリーズ第2作・日本推理作家協会賞受賞作 | シリーズ初期の代表作 |
| 鉄鼠の檻 | シリーズ第4作・禅寺を舞台にした長編 | 土地と信仰を扱う点で通じる |
| 絡新婦の理 | シリーズ第5作・複数の事件が絡み合う長編 | 構成の妙で並び称される |
本作から読み始めるのはおすすめしません。
レギュラー陣の関係や過去作の出来事が前提になっているため、『姑獲鳥の夏』から刊行順に進むのが確実です。
シリーズ全体の順番は百鬼夜行シリーズを読む順番完全ガイドにまとめています。
鵼の碑の読了時間と難易度
- 読了時間目安: 約15〜20時間(単行本832ページ/講談社文庫版)
- 難易度: ★★★★☆(分量が多く、前半は視点が独立して進む)
- おすすめタイプ: シリーズを追ってきた読者/大長編をじっくり読みたい人/土地の来歴ごと物語を味わいたい人
厚さは相当ですが、章ごとに語り手が変わるので区切りをつけて読み進められます。
通勤時間に少しずつ読むなら文庫版、腰を据えて読むなら単行本という選び方になるでしょう。
17年待った読者にとっては、この分量こそがご褒美という声も少なくありません。
鵼の碑に関するよくある質問
Q. 鵼の碑はどんな話ですか?
A. 昭和29年の日光を舞台に、二十年前の未解決事件を追う刑事をはじめ、五人の語り手がそれぞれの事情で同じ土地に集まり、事件の全体像が少しずつ姿を現していく長編ミステリーです。
百鬼夜行シリーズ第10作にあたります。
Q. 鵼の碑は何年ぶりの新作ですか?
A. 前作『邪魅の雫』(2006年)から17年ぶりの書き下ろし長編です。
2023年9月14日に講談社から刊行され、刊行時には大きな話題となりました。
Q. 鵼の碑から読み始めても大丈夫ですか?
A. おすすめしません。
シリーズのレギュラー陣の関係や過去作の出来事が前提になっているため、『姑獲鳥の夏』から刊行順に読むほうが確実に楽しめます。
Q. 鵼の碑に文庫版はありますか?
A. あります。
2024年9月13日に講談社文庫版が刊行されました(ISBN 978-4-06-536243-3)。単行本と講談社ノベルス版、電子書籍版も流通しています。
まとめ|鵼の碑は17年の空白を越えて届いたシリーズ第10作
『鵼の碑』は、京極夏彦が2023年9月に発表した百鬼夜行シリーズ第10作であり、前作から17年ぶりに書き下ろされた長編です。
昭和29年の日光、二十年前の未解決事件、五つの視点——ばらばらに見えるものが一体の妖として立ち上がる構成は、シリーズの読者が待ち望んでいたものそのものでした。
厚みも密度もシリーズ随一ですが、その分だけ読み終えたときの充足も大きい一冊です。
まだシリーズに触れていない方は、百鬼夜行シリーズを読む順番を確認して『姑獲鳥の夏』から始めてみてください。
- 2024年9月刊行の講談社文庫版が入りやすい
- 17年ぶりに書き下ろされたシリーズ第10作
- 単行本・ノベルス・電子書籍版もまとめてチェック可
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鵼の碑・関連作品の読書ガイド
出典・参考情報
- openBD 書誌情報(ISBN 9784065362433/講談社文庫・2024年9月/ISBN 9784065330722 単行本・2023年9月)
- 国立国会図書館サーチ 書誌情報(講談社 2023年9月/講談社ノベルス 2023年9月・ISBN 978-4-06-515045-0)
- Wikipedia「鵼の碑」「京極夏彦」項目(百鬼夜行シリーズ第10作/前作『邪魅の雫』から17年ぶり/832ページ/最終確認: 2026年8月3日)




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