『乱反射』は、貫井徳郎が書いたミステリーで、強風で倒れた街路樹がベビーカーを直撃して幼い子どもが犠牲になり、その父親である新聞記者が「なぜ倒れたのか」を追う長編です。2009年2月に朝日新聞出版から516ページで刊行され、第63回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞、第141回直木賞候補にもなりました。この記事では、あらすじ・読みどころ・読む前に知っておきたいことまで紹介します。
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- 第63回日本推理作家協会賞受賞・第141回直木賞候補
- 2009年刊行・516ページ。罪に問えない連鎖を書いた長編
- 朝日文庫版が2011年11月に出ている
乱反射とは|罪に問えない連鎖を書いた受賞作
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 貫井徳郎 |
| 初刊 | 朝日新聞出版・2009年2月20日・516ページ(ISBN 978-4-02-250541-5) |
| 文庫 | 朝日文庫・2011年11月・599ページ |
| 受賞 | 第63回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)/第141回直木賞候補 |
| 映像化 | 2018年9月22日 テレビ朝日系 主演・妻夫木聡/井上真央(2019年に劇場公開版あり) |
出典:国立国会図書館サーチ、Wikipedia『乱反射 (小説)』『貫井徳郎』(2026年9月6日時点)
殺人事件を追う小説ではありません。起きるのは事故です。それでも推理小説の賞を受けたのは、「なぜ起きたか」を突き止める過程そのものが謎解きになっているからです。
乱反射のあらすじ|街路樹が倒れて、子どもが死ぬ

事故そのものは一瞬で終わる
強風の日、街路樹が倒れてベビーカーを直撃します。
乗っていた幼い子どもが犠牲になります。物語はここから始まります。
誰も、罪には問われない
父親である新聞記者が原因をたどっていくと、その手前に無数の行為が並んでいることが分かります。
- 街路樹の診断を怠った担当者
- 伐採に反対した住民
- 夜間救急を安易に使った患者
- 患者をたらい回しにした病院
- 犬のフンを片付けなかった人
- 面子にこだわった市役所職員
そのどれも、単体では犯罪になりません。注意義務違反にすら届かない程度の、日常的な手抜きや自己都合です。
積み重なった結果としての死
しかし、それらが同じ日、同じ場所で重なったときに、子どもが1人死にました。
父親が追うのは犯人ではなく、「誰も悪くないのに人が死ぬ仕組み」そのものです。
乱反射の3つの読みどころ

1. 加害者が読者と地続きであること
登場する「小さな怠慢」は、どれも自分がやりかねないものばかりです。告発される側に自分を見つけてしまうため、読んでいて逃げ場がありません。
2. 群像劇の断片が最後に接続する構成
序盤は、無関係に見える人々の日常が並行して描かれます。それがどうつながるか分からないまま読み進めることになり、接続した瞬間の効果が大きくなります。題名の「乱反射」はこの構造を指しています。
3. 法で裁けないものをどう扱うか
刑事責任を問える相手がいないという結論は、序盤で見えてきます。そのうえで父親が何を求めるのかが終盤の焦点です。復讐でも赦しでもない着地の仕方が、本作の評価を支えています。
乱反射の版と入手方法

| 版 | 出版社 | 刊行 |
|---|---|---|
| 単行本 | 朝日新聞出版 | 2009年2月20日・516ページ |
| 文庫 | 朝日文庫 | 2011年11月・599ページ |
| 大活字本 | 埼玉福祉会 | 2017年6月・全3冊 |
新刊書店で手に入りやすいのは朝日文庫版です。
乱反射の読了時間と難易度
単行本516ページ、文庫599ページと、貫井作品のなかでも厚い部類です。一般的な読書速度で8〜11時間が目安になります。
文章そのものは平易で、専門知識も不要です。ただし登場人物が多く、序盤は誰の話か分からないまま進みます。人物メモを取りながら読むと後半が楽になります。また、幼児の死を扱うため、そこに耐性がない場合は無理をしないでください。
乱反射に関するよくある質問
乱反射はどんな賞を受賞しましたか
第63回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞し、第141回直木賞の候補にもなっています。
殺人事件が起きるミステリーですか
殺人ではなく事故です。犯人を捜す話ではなく、なぜ事故が起きたのかを追う構成になっています。
登場人物が多くて混乱しませんか
序盤は意図的にばらばらの断片として書かれています。後半でつながるので、分からないまま読み進めて問題ありません。
映像化されていますか
2018年9月22日にテレビ朝日系でドラマが放送されました。主演は妻夫木聡・井上真央です。2019年には劇場公開版も公開されています。
貫井徳郎の他の作品はどれを読むべきですか
デビュー作の『慟哭』がよく挙げられます。作品一覧は貫井徳郎の新刊・新作ガイドにまとめています。
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まとめ|誰も罪に問えないまま、子どもが1人死ぬ
- 『乱反射』は、倒れた街路樹で子どもを失った父親が、罪に問えない怠慢の連鎖をたどる長編
- 第63回日本推理作家協会賞受賞・第141回直木賞候補
- 加害者が全員「自分もやりかねない」側にいるため、読者に逃げ場がない
- 516ページ(文庫599ページ)と厚く、序盤は断片が並ぶ構成
読み終えたあとに、自分の日常の手抜きを1つずつ思い出すことになる作品です。
長編や積んだままの本ほど、聴くと最後までたどり着けます。
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