『龍の墓』は、貫井徳郎の長編本格ミステリで、2026年11月11日に双葉文庫から出ます。946円(税込)・文庫判360ページ。2023年11月22日に出た単行本の文庫化です。
先に、検索して来た方がつまずきやすい点を書きます。舞台は現代の日本ではありません。 版元は「VRツールが日常に浸透した〈すぐ先の未来〉」と書いています。近未来を舞台にした特殊設定ミステリで、現代が舞台の警察小説として買うと前提が違います。
そして数字です。単行本は1,870円(税込)で296ページ、文庫は946円で360ページ。924円安くなって、ページは64増えます。 価格は単行本の50.6%、ほぼ半額です。
内容のほうで押さえるべきは、2件を繋ぐのが物証ではなく「ネット上の噂」だという点です。公表された殺害状況を見た第三者が、人気VRゲーム「ドラゴンズ・グレイブ」内の連続殺人の見立てだと言い出す。警察が後からその噂を追う構造になっています。
※本ページはアフィリエイトリンクを含みます。
※本記事は発売前に公表された情報にもとづいています。
- 2026年11月11日・双葉文庫・946円(税込)・文庫判360ページ
- 単行本1,870円・296ページからの文庫化(924円安い)
- 舞台は「すぐ先の未来」。作家4人が推薦した特殊設定ミステリ
龍の墓とは|「すぐ先の未来」で起きる見立て殺人

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 貫井徳郎 |
| 版元・レーベル | 双葉社/双葉文庫 |
| 発売予定日 | 2026年11月11日 |
| 判型・頁 | 文庫判・360ページ |
| 価格 | 946円(税込・本体860円) |
| ISBN | 978-4-575-52966-1 |
| Cコード | C0193(一般・文庫・日本文学、小説・物語) |
| 舞台 | VRツールが日常に浸透した「すぐ先の未来」 |
| 底本 | 双葉社の単行本(2023年11月22日・296ページ・1,870円) |
版元のあらすじ
東京都町田市郊外で発見された身許不明の焼死体。町田署の女刑事・保田真萩は、警視庁捜査一課の南条とコンビを組んで聞き込みを開始するが、事件解決に繋がる有力な手がかりを掴めずにいた。そんな中、荒川区内で女性の変死体が発見される。その殺害状況が公表されるや、ネット上である噂が囁かれはじめた。〈町田と荒川の殺人は、人気VRゲーム《ドラゴンズ・グレイブ》の中で発生する連続殺人の見立てではないのか?〉一見、何の繋がりもないように思えた二つの事件だったが、やがてその噂を看過できなくなるような事態へと発展していく――。
出典:版元ドットコム(単行本)(2026年10月9日時点)
舞台は現代ではなく「すぐ先の未来」
VRツールが日常に浸透した〈すぐ先の未来〉を舞台に描く、怒濤のノンストップ・エンターテインメント!
出典:版元ドットコム(単行本)(2026年10月9日時点)
版元は〈すぐ先の未来〉と山括弧で括って書いています。 現代ではなく近未来です。VRツールが日常に浸透しているという1点だけが現実と違う設定で、それ以外の警察組織や捜査の手順は現実どおりだと読めます。
具体的な年代は公表されていません。
捜査コンビは所轄の女刑事と本庁
| 人物 | 所属 |
|---|---|
| 保田真萩 | 町田署の女刑事 |
| 南条 | 警視庁捜査一課 |
出典:版元ドットコム(単行本)(2026年10月9日時点)
所轄の刑事と本庁の捜査一課がコンビを組むという、警察小説の定型どおりの組み合わせです。版元のあらすじが保田を主語にしているので、視点は町田署の保田真萩の側に置かれていると読めます。
殺し方が3種類明示されている
版元の惹句は、手口を3つ並べています。
業火に焼かれた骸、凶器なき刺殺体、密室殺人――
VRゲームの連続殺人を模して、犯人はなぜ殺人を繰り返すのか!?
出典:版元ドットコム(単行本)(2026年10月9日時点)
| # | 手口 | あらすじとの対応 |
|---|---|---|
| 1 | 業火に焼かれた骸 | 町田市郊外の身許不明の焼死体 |
| 2 | 凶器なき刺殺体 | (あらすじの「荒川区内の女性の変死体」と対応する可能性) |
| 3 | 密室殺人 | (あらすじに記載なし) |
あらすじは2件しか書いていませんが、惹句は3つの手口を挙げています。 → 本文では少なくとも3件の殺人が起きると読めます。どの事件がどの手口かは版元が対応を示していないため、本記事では確定させません。
「凶器なき刺殺体」と「密室殺人」は、どちらも本格ミステリの古典的な不可能状況です。見立てという型に、不可能犯罪を重ねている構成だと分かります。
龍の墓の作家推薦|4人が帯で言葉を寄せている

単行本の版元紹介には、4人の作家の推薦コメントが載っています。版元は「人気作家たちが仰天、瞠目、舌を巻いた!」と前置きしています。
| 作家 | コメント |
|---|---|
| 青崎有吾 | VRゲーム×警察小説? こんなに全体像が読めないミステリは珍しい。犯行目的が明かされた時の意外性も、また格別でした。 |
| 今村昌弘 | 仮想の世界で生きる時代も、惨劇は繰り返されるのか。虚実一体の真相が暴かれた時、「まさか」と唸る。 |
| 大山誠一郎 | 剣と魔法のVR空間と、地道な警察捜査の現実世界。それぞれで起きる連続殺人のリンクに、この手があったかと膝を打ちました。貫井徳郎氏の本格スピリット全開です。 |
| 白井智之 | 特殊設定ミステリーの面白さと、特殊設定ミステリーでは決して描けない面白さ。本作にはその両方が詰まっている。 |
出典:版元ドットコム(単行本)(2026年10月9日時点)
4人とも本格ミステリの書き手である
推薦者の選び方に、版元の売り方が出ています。
| 作家 | 当サイトのレビュー |
|---|---|
| 今村昌弘 | 0秒前の彼女(『屍人荘の殺人』の作者) |
| 白井智之 | — |
| 青崎有吾 | — |
| 大山誠一郎 | — |
4人とも、特殊設定や不可能犯罪を扱う本格ミステリの書き手です。一般読者向けの話題作としてではなく、本格ミステリの読者に向けて売られていることが、この並びから分かります。
コメントから読み取れる作品の形
推薦文には、あらすじに書かれていない情報が入っています。
| コメント中の記述 | 読み取れること |
|---|---|
| 大山誠一郎「剣と魔法のVR空間」 | 「ドラゴンズ・グレイブ」はファンタジー系のゲーム |
| 大山誠一郎「それぞれで起きる連続殺人のリンク」 | VR空間の側でも連続殺人が描かれる |
| 青崎有吾「犯行目的が明かされた時の意外性」 | 動機が終盤の仕掛けになっている |
| 白井智之「特殊設定ミステリー」 | ジャンルとしての位置づけ |
| 今村昌弘「虚実一体の真相」 | 現実と仮想の両方が真相に関わる |
版元のあらすじだけでは「VRゲーム内の連続殺人」が描写されるのか分かりませんが、大山誠一郎のコメントが「それぞれで起きる連続殺人」と書いているので、ゲーム内の事件も作中で描かれると読めます。
ただしこれは推薦文からの読み取りで、版元の説明ではありません。 構成の詳細は本で確認することになります。本記事では結末・真相・犯行目的には触れません。
龍の墓の単行本と文庫の違い|924円安く、64ページ厚い

| 単行本 2023年 | 文庫 2026年(本作) | |
|---|---|---|
| 発売日 | 2023年11月22日 | 2026年11月11日 |
| ページ | 296ページ | 360ページ |
| 価格(税込) | 1,870円 | 946円 |
| 本体価格 | 1,700円 | 860円 |
| ISBN | 978-4-575-24695-7 | 978-4-575-52966-1 |
出典:版元ドットコム(文庫)、同(単行本)(2026年10月9日時点)
価格差は924円。ほぼ半額になる
1,870円 → 946円で、924円安くなります。 単行本の50.6%で、ほぼ半額です。文庫化の値下がり幅としては標準的な水準です。
64ページ増えるのは判型が変わるから
296ページ → 360ページで64ページ増えます。 これは四六判から文庫判へ小さくなり、1ページに入る字数が減るためです。加筆・改稿の告知は2026年10月9日時点でありません。
なお、版元ドットコムの単行本ページには「上記内容は本書刊行時のものです」と注記があります。 4人の推薦コメントは単行本の販促として載ったもので、文庫の帯に同じものが載るかは公表されていません。
文庫化までは約2年11か月
| 出来事 | 日付 |
|---|---|
| 単行本 発売 | 2023年11月22日 |
| 文庫 発売 | 2026年11月11日 |
単行本から約2年11か月。文庫化は単行本の2〜3年後が目安なので、標準的なペースです。
どちらを買うか
| 単行本が向く人 | 文庫が向く人 | |
|---|---|---|
| 価格 | — | 924円安い(ほぼ半額) |
| 文字の大きさ | 四六判で読みやすい | — |
| 持ち運び | — | 文庫判360ページ |
| 入手性 | 2023年刊で在庫は店舗次第 | 新刊として並ぶ |
→ これから読むなら文庫で足ります。 内容の違いは公表されていません。
龍の墓の3つの読みどころ

1. 「誰が見立てに気づくか」が古典と入れ替わっている
見立て殺人は本格ミステリの古典的な型です。童謡や詩になぞらえて死体を並べ、その順序から次の犠牲者や犯人を読ませる作りで、横溝正史の『獄門島』が俳句の見立てで知られています。
本作は、見立てに気づく役を探偵から外しています。
| 古典的な見立て殺人 | 龍の墓 | |
|---|---|---|
| 見立ての元 | 童謡・詩・絵画 | VRゲーム《ドラゴンズ・グレイブ》内の連続殺人 |
| 誰が気づくか | 探偵 | ネット上の第三者 |
| 共有のされ方 | 作中の関係者のあいだ | 噂として広まる |
| 警察の立場 | 見立てを手がかりに使う | 噂を看過できなくなる |
きっかけは「殺害状況が公表された」ことです。公表情報を見た匿名の人々が答えを言い、警察が後から追う。 情報の出し方そのものが事件に影響するという、現代的な論点がここにあります。
2. 「特殊設定ミステリ」としての立ち位置
白井智之は本作を「特殊設定ミステリー」と呼び、こう書いています。
特殊設定ミステリーの面白さと、特殊設定ミステリーでは決して描けない面白さ。本作にはその両方が詰まっている。
出典:版元ドットコム(単行本)(2026年10月9日時点)
特殊設定ミステリは、現実と異なるルールを1つ置いてその中で論理を組む形式です。本作で置かれているのは「VRツールが日常に浸透した〈すぐ先の未来〉」という1点だけで、警察捜査のほうは現実どおり。大山誠一郎のコメントも「剣と魔法のVR空間と、地道な警察捜査の現実世界」と、2つを並べて書いています。
「特殊設定では決して描けない面白さ」という言い方は、現実側の捜査パートに重さがあることを示しています。
3. 貫井徳郎の「事件の外にいる人」を書く系譜
貫井徳郎は、事件の責任が一人に収まらない構造を書いてきた作家です。『乱反射』は第63回日本推理作家協会賞を受け、小さな過失が連鎖して一人の子どもが死ぬという構成で知られます。
| 作品 | 事件の外にいる人の関わり方 |
|---|---|
| 乱反射(第63回日本推理作家協会賞) | 小さな過失を重ねた人たちが、一人の死に繋がる |
| 慟哭(デビュー作) | 連続幼女誘拐事件を追う刑事と、別の筋が交差する |
| 龍の墓(本作) | 噂を広めた人たちが、捜査を動かす |
噂を流した人たちは犯人ではありませんが、捜査を動かしてしまう。 この点で本作は『乱反射』と同じ系譜にあると読めます。版元も「貫井徳郎の新境地!」と書いており、VRという新しい道具立てでありながら、作家の関心は続いていると見られます。
ただしこれは既刊との比較による読み方で、版元が示した主題ではありません。
龍の墓に関するよくある質問
龍の墓の文庫版はいつ出ますか
2026年11月11日です。 双葉文庫から946円(税込・本体860円)・文庫判360ページで出ます。
単行本と文庫で中身は違いますか
2026年10月9日時点で、加筆や改稿の告知はありません。 ページ数は296→360へ増えますが、これは判型が四六判から文庫判へ小さくなったためです。
単行本と文庫はどちらを買うべきですか
これから読むなら文庫です。 単行本1,870円に対して文庫は946円で、924円安い(単行本の50.6%)。内容の違いは公表されていません。
舞台は現代ですか
いいえ。 版元は「VRツールが日常に浸透した〈すぐ先の未来〉」と書いています。近未来が舞台です。具体的な年代は公表されていません。
「ドラゴンズ・グレイブ」は実在するゲームですか
作中の架空のVRゲームです。 版元は「人気VRゲーム《ドラゴンズ・グレイブ》」と作中の固有名詞として書き、推薦者の大山誠一郎は「剣と魔法のVR空間」と表現しています。実在のゲームがモデルかどうかは版元が示していないため、本記事では断定しません。
VRゲームに詳しくないと読めませんか
読めます。 版元の説明は「VRツールが日常に浸透した」という前提の提示にとどまり、専門知識を要する書き方はされていません。大山誠一郎は本作を「剣と魔法のVR空間と、地道な警察捜査の現実世界」と要約しており、現実側の捜査パートが半分を占める構成です。
殺人は何件起きますか
版元のあらすじには2件(町田市郊外の焼死体、荒川区内の女性の変死体)が出てきます。 ただし惹句は「業火に焼かれた骸、凶器なき刺殺体、密室殺人――」と3つの手口を挙げているので、少なくとも3件の殺人が起きると読めます。どの事件がどの手口かは公表されていません。
シリーズものですか。前に読んでおく本はありますか
版元の書誌にシリーズ表記はありません。 主人公は町田署の保田真萩と警視庁捜査一課の南条ですが、この2人を主人公とする他の作品は版元が示していません。 本作から読めます。
360ページは読むのにどれくらいかかりますか
文庫判360ページなので、通しで5〜6時間が目安です。版元は「怒濤のノンストップ・エンターテインメント」と書いています。
貫井徳郎は初めてです。どれから読めばいいですか
本作から読めます。 単独の長編で前提知識は要りません。受賞作から入りたい場合は『乱反射』(第63回日本推理作家協会賞)、デビュー作から入りたい場合は『慟哭』が入口です。全体像は貫井徳郎の新刊・新作ガイドにまとめています。
見立て殺人が出てくるミステリを他に読みたいです
横溝正史『獄門島』が俳句の見立てで知られる古典です。本格ミステリを横断して探すならミステリー小説おすすめ30選が入口になります。
まとめ|924円安くなる文庫化。舞台は「すぐ先の未来」
- 『龍の墓』は2026年11月11日・双葉文庫・946円(税込)・文庫判360ページ
- ★舞台は現代ではない。 版元は「VRツールが日常に浸透した〈すぐ先の未来〉」と書く近未来の特殊設定ミステリ(具体的な年代は未公表)
- ★底本は2023年11月22日の単行本(296ページ・1,870円)。文庫化で924円安くなり、単行本の50.6%とほぼ半額になる
- ★296→360ページで64ページ増えるが、判型が小さくなったためで、加筆の告知はない
- 捜査は町田署の女刑事・保田真萩と警視庁捜査一課の南条のコンビ
- ★2件を繋ぐのは物証ではなくネット上の噂。 殺害状況が公表されると、VRゲーム《ドラゴンズ・グレイブ》内の連続殺人の見立てではないかという噂が広まり、警察が看過できなくなる
- ★惹句は「業火に焼かれた骸、凶器なき刺殺体、密室殺人」と3つの手口を挙げる。 あらすじは2件だけなので、少なくとも3件の殺人が起きる
- ★単行本の帯には作家4人が推薦を寄せている:青崎有吾・今村昌弘・大山誠一郎・白井智之。4人とも本格ミステリの書き手
- 大山誠一郎のコメントから、VR空間の側でも連続殺人が描かれること、《ドラゴンズ・グレイブ》が「剣と魔法」のゲームであることが分かる
- 白井智之は本作を「特殊設定ミステリー」と呼ぶ
- 「ドラゴンズ・グレイブ」は作中の架空のゲーム。シリーズ表記も前提の既刊もない
- 推薦コメントは単行本刊行時のもので、文庫の帯に載るかは未公表
殺害状況を公表した時点で、答えは外に出てしまっていた。 警察が掴めなかった繋がりを、見ていただけの人たちが言い当てる。その噂を、捜査は無視できません。



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