山内マリコ(やまうち・マリコ、1980年11月20日生まれ)は、地方都市で暮らす女性と、女性同士の関係を書き続けている小説家です。富山県富山市出身、大阪芸術大学芸術学部映像学科卒。
2008年に第7回R-18文学賞の読者賞を受け、2012年に受賞作を含む短編集『ここは退屈迎えに来て』(幻冬舎)でデビューしました。デビュー作ながら各ジャンルの著名人から支持を集め、作品のうち3作が映画化されています。
ただ文庫が5つの出版社に分かれているので、「書店で探しても棚に揃っていない」作家でもあります。本ページではそこまで整理します。
※本ページはアフィリエイトリンクを含みます。
- 映画化された『あのこは貴族』をワンクリック
- Kindle・文庫・中古もまとめてチェック可能
- 文庫は幻冬舎・集英社・河出・文春・講談社の5社に分かれています
山内マリコのおすすめ|まず結論(初心者はこの3冊から)
- はじめての1冊は『あのこは貴族』 … 2021年に映画化された長編。東京の上流階級と地方出身の女性を並べて描きます。集英社文庫310ページ。
- デビュー作から読むなら『ここは退屈迎えに来て』 … 2018年映画化。地方都市の閉塞感を8つの短編で書いた連作です。幻冬舎文庫259ページ。
- 短いもので試すなら『選んだ孤独はよい孤独』 … 河出文庫193ページ。この一覧でもっとも薄い1冊です。
山内マリコのおすすめ 人気ランキングTOP10

順位は、①映像化・代表作としての知名度、②入門しやすさ、③現在も文庫で入手しやすいかから、ヨムマップ編集部が整理しました。
| 順位 | タイトル | 文庫・判型 | 系統 | 映像化・備考 | 入門度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | あのこは貴族 | 集英社文庫 | 長編 | 2021年 映画化(門脇麦・水原希子) | ★★★ |
| 2 | ここは退屈迎えに来て | 幻冬舎文庫 | 連作短編集 | 2018年 映画化(橋本愛)/デビュー作 | ★★★ |
| 3 | アズミ・ハルコは行方不明 | 幻冬舎文庫 | 長編 | 2016年 映画化(蒼井優) | ★★★ |
| 4 | 選んだ孤独はよい孤独 | 河出文庫 | 短編集 | 193ページで最も薄い | ★★★ |
| 5 | あたしたちよくやってる | 幻冬舎文庫 | 短編+エッセイ | 281ページ | ★★★ |
| 6 | メガネと放蕩娘 | 文春文庫 | 長編 | 商店街の再生がテーマ | ★★ |
| 7 | かわいい結婚 | 講談社文庫 | 中編2作 | 223ページ | ★★★ |
| 8 | すべてのことはメッセージ 小説ユーミン | マガジンハウス | 評伝小説 | 松任谷由実をモデルに | ★★ |
| 9 | マリリン・トールド・ミー | 河出書房新社 | 長編 | 2024年5月刊・237ページ | ★★ |
| 10 | 陽子さんはお元気ですか? | オレンジページ | 連載小説 | 2026年6月26日刊・最新刊 | ★★ |
1位. あのこは貴族(集英社文庫・単巻)
東京の上流階級で育った女性と、地方から上京した女性を並べて描いた長編です。『小説すばる』2015年10月号から2016年7月号に連載され、2016年11月に集英社から刊行されました。
2021年に岨手由貴子監督で映画化され(主演・門脇麦/水原希子)、作者の代表作として最も多く挙げられる1冊になりました。集英社文庫版は2019年5月刊の310ページです。
2位. ここは退屈迎えに来て(幻冬舎文庫・連作短編集)
2012年8月刊のデビュー作です。R-18文学賞の読者賞を受けた短編を含む連作短編集で、受賞から刊行までに4年かかっています。地方都市の閉塞感を主題にしています。
2018年10月19日に廣木隆一監督で映画化されました(主演・橋本愛)。幻冬舎文庫版は2014年4月刊の259ページ。
3位. アズミ・ハルコは行方不明(幻冬舎文庫・長編)
2013年12月刊の長編で、単行本の副題は「A LONELY GIRL HAS GONE」。2016年に松居大悟監督で映画化されました(主演・蒼井優)。3作の映画化のうち最初の1本です。
幻冬舎文庫版は2015年10月刊の241ページです。
4位. 選んだ孤独はよい孤独(河出文庫・短編集)
『文藝』2015年夏号から連載された短編集です。この一覧でもっとも薄く、河出文庫版は193ページ(単行本は173ページ)。
男性を主人公にした短編が並ぶ点で、ほかの作品と毛色が違います。試し読みにはここが一番軽いです。
5位. あたしたちよくやってる(幻冬舎文庫・短編+エッセイ)
雑誌などに発表した短編小説とエッセイをまとめた1冊です。単行本の副題は「Short stories and essays」。2019年3月刊、幻冬舎文庫版は2021年8月刊の281ページ。
小説とエッセイが同じ本に入っているので、この作者の両面を一度に確かめられます。
6位. メガネと放蕩娘(文春文庫・長編)
地方都市の商店街の再生を主題にした長編です。『CREA』が初出で、2017年11月に文藝春秋から刊行(単行本の副題は「Hometown revival blues.」)。
初期作では地元への閉塞感が主題でしたが、この作品では故郷に向き合い直す側に回っています。文春文庫版は2020年6月刊の286ページ。
7位. かわいい結婚(講談社文庫・中編2作)
2015年4月刊(単行本の副題は「A lovely marriage」)。結婚にまつわる2つの中編を収めています。講談社文庫版は2017年6月刊の223ページ。
8位. すべてのことはメッセージ 小説ユーミン(マガジンハウス・評伝小説)
松任谷由実をモデルにした評伝小説です。2022年10月刊。実在のミュージシャンを題材にした、作者としては異色の1冊です。
9位. マリリン・トールド・ミー(河出書房新社・長編)
2024年5月刊の長編(237ページ)。マリリン・モンローを軸にした作品です。文庫化はまだされていません。
10位. 陽子さんはお元気ですか?(オレンジページ・連載小説)
2026年6月26日に発売された最新刊です。『オレンジページ』で2023年10月から連載されていた作品で、四六判188ページ、定価1,650円(税込)。
「わたし、どうして、こんなにせっせと働いているのかしら?」という一文から始まります。版元の分類コードは「日本文学、評論、随筆、その他」で、小説として扱われていない点が少し変わっています。
映画化された3作から入る

山内マリコの作品のうち、3作が映画になっています。どれも単巻で読み切れるので、映画化作から入るのが近道です。
| 公開 | 作品 | 監督 | 主演 |
|---|---|---|---|
| 2016年 | アズミ・ハルコは行方不明 | 松居大悟 | 蒼井優 |
| 2018年10月19日 | ここは退屈迎えに来て | 廣木隆一 | 橋本愛 |
| 2021年 | あのこは貴族 | 岨手由貴子 | 門脇麦/水原希子 |
デビューから4年で最初の映画化(2016年)に至っています。順に読むなら、刊行順でもある『ここは退屈迎えに来て』→『アズミ・ハルコは行方不明』→『あのこは貴族』です。
映像から入った人は、映画と小説で結末や構成が違う場合がある点をご承知ください。原作そのものを確かめたいなら文庫をどうぞ。
デビューはR-18文学賞の読者賞|受賞作は「滑り止め」だった
山内マリコのデビューは、新潮社の「女による女のためのR-18文学賞」第7回(2008年)です。
| 賞 | 受賞者 | 作品 |
|---|---|---|
| 大賞 | 蛭田亜紗子 | 「自縄自縛の二乗」 |
| 読者賞 | 山内マリコ | 「16歳はセックスの齢」 |
山内マリコが受けたのは大賞ではなく読者賞です。このときの選考委員は唯川恵・山本文緒・角田光代の3名でした。
新潮社公式サイトに残る受賞者対談で、本人が応募の経緯を語っています。前年も応募して一次選考で落ちていたこと、そして——
実は、今回受賞した作品は、2作のうちの本命ではなくて滑り止めだと思って出していたものだったんです。最終選考に残るとは期待していなかったのですごく意外でびっくりしました。
出典:第7回R-18文学賞 受賞者対談 蛭田亜紗子×山内マリコ(新潮社)
京都でライターをしていた仕事を辞め、上京から約1年半でこの受賞に至りました。受賞作を含む短編集『ここは退屈迎えに来て』が出るのは、4年後の2012年です。
なお第7回の選考委員のうち、唯川恵と角田光代はヨムマップでも個別に取り上げています。翌年の第8回でR-18文学賞の大賞を受けたのは窪美澄(「ミクマリ」)でした。
文庫は5つの出版社に分かれている

山内マリコは単行本を出す版元が作品ごとに違うため、文庫も分散しています。書店の棚で揃わないのはこのためです。
| 文庫 | レーベル記号 | 収録作 |
|---|---|---|
| 幻冬舎文庫 | や-30 | ここは退屈迎えに来て(1)/アズミ・ハルコは行方不明(2)/さみしくなったら名前を呼んで(3)/あたしたちよくやってる(4) |
| 集英社文庫 | や52 | あのこは貴族 |
| 河出文庫 | や43 | 選んだ孤独はよい孤独 |
| 文春文庫 | や62 | メガネと放蕩娘 |
| 講談社文庫 | や77 | かわいい結婚 |
初期4作は幻冬舎文庫に「や-30」として連番でまとまっています。 代表作『あのこは貴族』だけは集英社文庫なので、一緒に探しても見つかりません。
単行本のみ(文庫未刊)の作品もあります。『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン』『マリリン・トールド・ミー』『一心同体だった』『陽子さんはお元気ですか?』は、2026年10月時点で文庫化されていません。
よくある質問
Q. 山内マリコは何から読むのがおすすめ?
A. 『あのこは貴族』(集英社文庫)です。2021年に映画化された代表作で、310ページの単巻です。デビュー作から読むなら『ここは退屈迎えに来て』、短いもので試すなら『選んだ孤独はよい孤独』(河出文庫193ページ)からどうぞ。
Q. 映画化された作品はどれですか?
A. 『アズミ・ハルコは行方不明』(2016年・蒼井優)『ここは退屈迎えに来て』(2018年・橋本愛)『あのこは貴族』(2021年・門脇麦/水原希子)の3作です。
Q. デビュー作はどれですか?
A. 『ここは退屈迎えに来て』(2012年8月・幻冬舎)です。2008年の第7回R-18文学賞・読者賞の受賞作を含む連作短編集で、受賞から刊行までに4年かかっています。
Q. 最新刊はどれですか?
A. 『陽子さんはお元気ですか?』(オレンジページ)で、2026年6月26日に発売されました。四六判188ページ、定価1,650円(税込)です。
Q. エッセイも書いていますか?
A. はい。『買い物とわたし』『The Young Women’s Handbook』『きもの再入門』などのエッセイ集があり、『結婚とわたし』(ちくま文庫・2024年2月)は『皿洗いするの、どっち?』を加筆改題したものです。小説とエッセイが同じ本に入っているのは『あたしたちよくやってる』です。
まとめ|まずは『あのこは貴族』から
山内マリコは、地方都市と女性同士の関係を書き続け、3作が映画になった作家です。迷ったら『あのこは貴族』から。デビュー作から追うなら『ここは退屈迎えに来て』、短いもので試すなら『選んだ孤独はよい孤独』をどうぞ。
買うときは、文庫が5社に分かれていることを頭に入れておくと探しやすくなります。
こんな記事も読まれています
出典・参考情報
- 新潮社「女による女のためのR-18文学賞」受賞作品一覧(第7回の大賞・読者賞・選考委員)および受賞者対談(第7回 蛭田亜紗子×山内マリコ)
- 版元ドットコム(『陽子さんはお元気ですか?』の書店発売日・判型・ページ数・定価・Cコード)
- openBD/国立国会図書館サーチ(各版のISBN・ページ数・刊行年月・文庫レーベル記号)













コメント