『アイスエイジ』は、葉真中顕の連作小説で、2026年12月10日に小学館から出ます。1,980円(税込・本体1,800円)・四六判256ページ。
版元が本作に付けた呼び名は「ロスジェネ大河連作」です。収録は4編で、主人公の年齢は50歳・45歳と、いずれも就職氷河期に社会へ出た世代です。
団塊でもバブルでもゆとりでもZでもない彼らは、なにを失い、なにを信じるのか。
出典:小学館『アイスエイジ』(2026年11月2日時点)
著者の葉真中顕は1976(昭和51)年東京都生まれで、この世代の当事者です。当サイトは2026年10月に『鼓動』の文庫化を扱いましたが、本作は書き下ろしの新作にあたります。
この記事では、小学館公式が持っている4段階の紹介文を全部読み比べた結果と、収録4編の中身、そして著者が小学館で出してきた本を一次資料で整理します。
※本ページはアフィリエイトリンクを含みます。
※本記事は発売前に公表された情報にもとづいています。
- 2026年12月10日・小学館・1,980円(税込)・256ページ
- ロスジェネを4つの物語で描く連作
- 著者は1976年生まれ。『ロスト・ケア』から氷河期世代を描き続けている
アイスエイジとは|4編で1つの世代を描く連作
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | アイスエイジ |
| 著者 | 葉真中顕(はまなか・あき) |
| 版元 | 小学館 |
| 発売日 | 2026年12月10日 |
| 初版年月日(発行日) | 2026年12月15日 |
| 判型 | 四六判 |
| ページ | 256ページ |
| 価格 | 1,980円(税込・本体1,800円) |
| ISBN | 978-4-09-386812-9 |
| Cコード | C0093(0:一般/0:単行本/93:日本文学、小説・物語) |
| 版元のジャンル分類 | 現代小説 |
| 収録 | 4編の連作 |
| 版元の呼び名 | ロスジェネ大河連作 |
出典:小学館『アイスエイジ』、版元ドットコム(2026年11月2日時点)
256ページに4編なので、1編あたり約64ページです。短編集ではなく、中編4本という分量です。
★発売日が発行日より5日早い
本作は発売日が2026年12月10日、初版年月日(発行日)が2026年12月15日です。書店に並ぶ日のほうが、本に印刷される発行日より5日早いという並びになっています。
| 本 | 発売日 | 初版年月日 | 差 |
|---|---|---|---|
| アイスエイジ(小学館) | 2026年12月10日 | 2026年12月15日 | 発売が5日早い |
| 十一色の果実(新潮社) | 2026年12月16日 | 2026年12月15日 | 初版が1日早い |
| やぶにらみの天使(新潮社) | 2026年12月16日 | 2026年12月15日 | 初版が1日早い |
出典:版元ドットコム『アイスエイジ』、『十一色の果実』(2026年11月2日時点)
同じ「初版年月日2026年12月15日」の3冊で、発売日が12月10日・12月16日・12月16日に割れます。 発行日は奥付に入る日付、発売日は書店に出る日付なので、どちらが先に来るかは版元と刊行形態ごとに決まります。 本作は発行日より先に売られる側です。
収録4編|50歳・45歳の「いま」から青春へ戻る構成

小学館公式が、4編それぞれの導入を公開しています。
| # | 題名 | 版元が書いた導入 |
|---|---|---|
| 1 | 五十歳、ロスジェネ、ギバーおぢ | 五十歳の独身男性・陽太郎は、デリヘル嬢のココに人生初の恋をした、と思い込む |
| 2 | ヤマンバだった! | 左遷を機に立ち止まった四十五歳の千栄子は、渋谷でヤマンバとして駆け抜けた青春時代を振り返る |
| 3 | M78 | 幼い頃、ウルトラマンの人形を心の支えにしていた正道には「正義」があった。大学で社会運動に出会う |
| 4 | 神が死んだ | 神春馬の死を知った笹本は中学時代を回想する。転校生だった神と過ごした忘れられない一日 |
出典:小学館『アイスエイジ』(2026年11月2日時点)
4編のうち3編が「振り返る」構造になっている
版元の導入文を並べると、動詞が揃っています。
- 2編目「ヤマンバだった!」…「青春時代を振り返る」
- 4編目「神が死んだ」…「中学時代を回想する」
- 3編目「M78」…「幼い頃」から始まって大学へ進む
1編目だけが現在進行形で、50歳の男が「いま」恋をしたと思い込む話です。残りは過去へ戻る構造になっています。
題名の「アイスエイジ」=氷河期は、この世代が社会へ出た時期を指しますが、版元の導入文を読むかぎり、4編は「氷河期のそのとき」ではなく「氷河期を通ったあと」から書き始められています。
版元が並べたレッテルは7語
500字の紹介文には、この世代に貼られてきた呼び名が並んでいます。
コギャル、ヤマンバ、フリーター、ネットカフェ難民、非正規、ネトウヨ、ギバーおぢ……レッテルを貼られ続ける世代の切実な叫びを、渾身の筆で描き切るロスジェネ大河連作。
出典:小学館『アイスエイジ』(2026年11月2日時点)
7語のうち2語(ヤマンバ・ギバーおぢ)が、そのまま収録作の題名に入っています。 「コギャル」「フリーター」「ネットカフェ難民」「非正規」「ネトウヨ」は題名には出てきません。7語すべてが4編に1対1で対応しているわけではないとみられます。
★小学館公式は紹介文を4段階持っていて、100字版と500字版で説明が違う

ここが本作の書誌でいちばん面白い点です。
小学館の商品データには、紹介文が4つ別々に登録されています。「見出し」「内容紹介(100字)」「内容紹介(500字)」「編集担当からのおすすめ情報」です。書店やネット書店に流れるのは、ふつうこのうち1つだけです。
| 枠 | 内容 |
|---|---|
| 見出し | 氷の下に閉ざされた世代の切実な叫びを描く |
| 内容紹介(100字) | 氷河期のレッテルを貼られ時代の転換点を生きる人々は、なにを失い、なにを信じるのか。恋と友情、希望と挫折、選択と後悔。その先にある人生を描く四つの物語。 |
| 内容紹介(500字) | 団塊でもバブルでもゆとりでもZでもない彼らは、なにを失い、なにを信じるのか。コギャル、ヤマンバ、フリーター……(以下、4編の導入) |
| 編集担当からのおすすめ情報 | 著者の葉真中顕さんは1976年生まれ。デビュー作『ロスト・ケア』から氷河期世代にかかわる困難をテーマに描き続けています。 |
出典:小学館『アイスエイジ』(2026年11月2日時点)
100字版と500字版は、同じ本の説明なのに語彙がまったく違います。
| 100字版 | 500字版 | |
|---|---|---|
| 世代の呼び方 | 「氷河期のレッテルを貼られ」 | 「団塊でもバブルでもゆとりでもZでもない」 |
| 中身の示し方 | 「恋と友情、希望と挫折、選択と後悔」(抽象語6つ) | 具体的なレッテル7語+4編の導入 |
| 読者が受ける印象 | 人生の機微を描く4編 | 世代を名指しする社会派の連作 |
同じ1文(「なにを失い、なにを信じるのか」)だけが両方に入っています。
版元ドットコムに流れているのは500字版だけなので、書店の注文端末やネット書店で見えるのはふつう500字版のほうです。100字版は小学館公式の商品ページに行かないと読めません。
→ 「社会派すぎて重そう」と思った人は、100字版のほうが本作の手触りに近い可能性があります。 逆に「世代論として読みたい」人は500字版の語彙が目安になります。どちらも版元が書いた同じ本の説明です。
★小学館から出る葉真中顕の本としては、これが初めてのオリジナル小説

著者は小学館でこれまで2点出していますが、どちらも同じ作品です。
| 刊行 | 書名 | レーベル | ページ | 中身 |
|---|---|---|---|---|
| 2016年4月11日 | アイアムアヒーロー THE NOVEL | ビッグコミックス〔スペシャル〕 | 293〜298ページ | 花沢健吾の漫画のノベライズ |
| 2017年10月5日 | 政治的に正しい警察小説 | 小学館文庫 | 328ページ | — |
| 2026年12月10日 | アイスエイジ | (単行本) | 256ページ | 書き下ろしの連作 |
出典:小学館『アイスエイジ』の同一著者欄、国立国会図書館サーチ(2026年11月2日時点)
小学館公式の「同じ著者の本」に出てくるのは『政治的に正しい警察小説』と『アイアムアヒーロー THE NOVEL』の2点だけです。『アイアムアヒーロー』はノベライズで、『政治的に正しい警察小説』は小学館文庫です。
→ 小学館の単行本としては、本作が最初の1冊になります。著者の主な版元は光文社(『ロスト・ケア』『コクーン』『鼓動』)・幻冬舎(『凍てつく太陽』)・中央公論新社(『ロング・アフタヌーン』)・KADOKAWA(『警官の道』)・文藝春秋(『家族』)と分かれており、本作で小学館が加わります。
著者の経歴(版元が書いている範囲)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 生年 | 1976(昭和51)年 |
| 出身 | 東京都 |
| デビュー | 2013年『ロスト・ケア』 |
| 受賞 | 第16回日本ミステリー文学大賞新人賞 |
| 版元が挙げる主題 | 氷河期世代にかかわる困難 |
出典:版元ドットコム『アンソロジー 昭和五景』著者プロフィール、小学館『アイスエイジ』(2026年11月2日時点)
1976年生まれは、大学卒業が1990年代末〜2000年前後にあたり、版元が言う「氷河期世代」の中核です。編集担当が「あなたの姿がこの物語のどこかに見つかるかもしれません」と書いているのは、読者も同世代である前提で書かれた一文です。
同じ2026年12月に、葉真中顕の本が2冊出る
本作の8日後に、著者が参加したアンソロジーが出ます。
| 発売日 | 書名 | 版元 | 著者の関与 |
|---|---|---|---|
| 2026年12月10日 | アイスエイジ | 小学館 | 単著・4編 |
| 2026年12月18日 | アンソロジー 昭和五景 | U-NEXT(千夜文庫) | 5人中1人・書き下ろし1編 |
出典:版元ドットコム『アンソロジー 昭和五景』(2026年11月2日時点)
『昭和五景』は谷津矢車・石川智健・永嶋恵美・金子ユミ・葉真中顕の5人による全編書き下ろしで、248ページ・858円(税込)。葉真中顕の担当は「母の土地に三億の値がついたと知った男」です。
どちらも「ある世代の来し方」を扱う点が重なります。『アイスエイジ』が氷河期世代の半生、『昭和五景』が昭和という時代です。同じ月に2冊なので、書店で取り違えないよう注意してください。
アイスエイジの3つの読みどころ

1. 4編で1人ずつ、違う入口から同じ世代に入る
50歳の独身男性・45歳の女性会社員・社会運動に進む男・中学時代を思い出す男と、4編の主人公の立場がすべて違います。 版元が「大河連作」と呼ぶのは、1人の生涯を追うのではなく、4人の半生を並べて1つの世代を描く構造だからだとみられます。
2. 「レッテル」が題名になっている
2編目「ヤマンバだった!」と1編目の「ギバーおぢ」は、どちらも世代に貼られた呼び名です。呼ばれた側が自分で名乗るという形で題名に使われています。「ヤマンバだった!」の感嘆符は、過去形で言い切る書き方です。
3. 1編あたり約64ページで区切れる
256ページ・4編なので、1編が約64ページです。連作なので通して読めますが、1編ずつ区切っても読めます。 中編4本という分量は、『鼓動』のような長編より読み始めの負荷が軽い側です。
アイスエイジに関するよくある質問
1冊で完結しますか
はい。 版元は「四つの物語」「ロスジェネ大河連作」と書いており、続刊の予告はありません(2026年11月2日時点)。
電子書籍は出ますか
2026年11月2日時点で、小学館公式に電子版の配信情報は出ていません。 同社の商品ページには電子配信とオーディオブックの欄がありますが、本作はいずれも空です。紙の発売後に追って配信される可能性はありますが、現時点では未公表です。
著者の他の本を読んでいないと分かりませんか
いりません。 本作は書き下ろしの新作で、既刊の続編ではありません。ただし版元が「デビュー作『ロスト・ケア』から氷河期世代にかかわる困難をテーマに描き続けています」と書いているので、同じ主題の流れを知りたい場合は『ロスト・ケア』が出発点になります。
『鼓動』とは関係がありますか
直接のつながりは公表されていません。 『鼓動』は18年引きこもった男の殺人と女性刑事を描く長編で、2026年10月8日に光文社文庫から出ました。本作は小学館の書き下ろし連作です。同じ著者が近い時期に出す別の作品として読んでください。
収録4編の題名はもう分かっていますか
4編すべて分かっています。 「五十歳、ロスジェネ、ギバーおぢ」「ヤマンバだった!」「M78」「神が死んだ」の4編で、小学館公式が各編の導入まで公開しています。
「ギバーおぢ」はどういう意味ですか
版元は語の説明をしていません。 紹介文では「レッテルを貼られ続ける世代」に貼られた呼び名の7番目として、コギャル・ヤマンバ・フリーター・ネットカフェ難民・非正規・ネトウヨと並べて挙げられています。1編目の題名「五十歳、ロスジェネ、ギバーおぢ」に入っているので、その内容は本編で明かされます。
まとめ|同じ本に2通りの紹介文がある、氷河期世代の連作
- 『アイスエイジ』は2026年12月10日・小学館・1,980円(税込)・四六判256ページ
- 4編の連作。版元の呼び名は「ロスジェネ大河連作」
- 収録は「五十歳、ロスジェネ、ギバーおぢ」「ヤマンバだった!」「M78」「神が死んだ」
- ★小学館公式は紹介文を4段階持ち、100字版は「恋と友情、希望と挫折」、500字版は「コギャル、ヤマンバ、フリーター……」と語彙が入れ替わる。書店に流れるのは500字版
- ★発売日(12月10日)が初版年月日(12月15日)より5日早い
- ★小学館の単行本としては本作が最初。既刊2点はノベライズと小学館文庫
- 著者は1976(昭和51)年東京都生まれ。2013年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞
- 同月12月18日に『アンソロジー 昭和五景』(U-NEXT)にも書き下ろしで参加
アイスエイジ・関連作品の読書ガイド
- 鼓動 葉真中顕 レビュー|18年引きこもった男の殺人と刑事の孤独 — 2026年10月に文庫化された長編。第37回山本周五郎賞候補作
- 十一色の果実 宮部みゆき レビュー|俳句から生まれた11篇 — 同じ2026年12月に出る短篇集
- 山本周五郎賞 歴代受賞作と候補作 — 『鼓動』が候補に入った賞
- 純文学のおすすめ — 現代を描く小説のガイド




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