『頭の大きな毛のないコウモリ 澤村伊智異形短編集』は、『ぼぎわんが、来る』でデビューした澤村伊智の短編集で、2026年11月11日に光文社文庫から出ます。990円(税込)・文庫判384ページ。2024年12月18日に出た単行本の文庫化です。
先に、検索して来た方の役に立つ点を3つ書きます。
ひとつ目。 光文社の公式サイトはこの文庫の目次を公開しています。 収録は小説7編+自作解説+文庫解説で、文庫解説を書くのは「ヱ藤(プロホラー読者)」という書き手です。
ふたつ目。 その目次と、版元の紹介文が食い違っています。 紹介文は「ほか八編を収録」と書いていますが、目次に並ぶ小説は7編です。本記事では目次を正として扱い、食い違い自体も記録します。
みっつ目。 990円安くなり、100ページ増えます。 単行本1,980円・284ページ → 文庫990円・384ページで、ちょうど半額です。
※本ページはアフィリエイトリンクを含みます。
※本記事は発売前に公表された情報にもとづいています。
- 2026年11月11日・光文社文庫・990円(税込)・文庫判384ページ
- 単行本1,980円・284ページからの文庫化(ちょうど半額)
- 小説7編+自作解説+文庫解説(ヱ藤)
頭の大きな毛のないコウモリとは|光文社文庫の384ページ

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 澤村伊智(1979年・大阪府生まれ) |
| 版元・レーベル | 光文社・光文社文庫 |
| 書店発売日 | 2026年11月11日 |
| 出版年月日(奥付) | 2026年11月20日 |
| 判型・頁 | 文庫判・384ページ(縦152mm×横105mm×厚さ15mm) |
| 価格 | 990円(税込・本体900円) |
| ISBN | 978-4-334-11212-7 |
| Cコード | C0193(一般・文庫・日本文学、小説・物語) |
| 底本 | 光文社の単行本(2024年12月18日・284ページ・1,980円) |
ページ数は版元の2つの発表で食い違う
光文社の公式サイトは384ページ、版元ドットコムの書誌は376ページと記録しています。8ページの差です。
| 情報源 | ページ数 |
|---|---|
| 光文社の本(版元公式) | 384ページ |
| 版元ドットコム(版元登録の書誌) | 376ページ |
→ 本記事は版元公式サイトの384ページを採ります。 発売前の書誌は確定前の数値が入ることがあるため、この種の差は珍しくありません。 いずれにしても単行本284ページより90〜100ページ厚くなる点は変わりません。
「書店発売日」と「出版年月日」が9日ずれている
光文社の公式ページは、2つの日付を並べています。
| 項目 | 日付 | 意味 |
|---|---|---|
| 書店発売日 | 2026年11月11日 | 書店の棚に並ぶ日 |
| 出版年月日 | 2026年11月20日 | 奥付に刷られる日 |
買う人に関係するのは書店発売日の11月11日です。奥付の日付が後になるのは出版業界の慣行で、遅れるという意味ではありません。
版元のキャッチコピー
日常は檻だ。普通の人々は敵だ。だからホラーを、怪談を。
出典:光文社の本(2026年10月11日時点)
この1行が文庫版で新しく付いたコピーです。単行本のキャッチは「恐れと禍いの最高到達点。」でした。
| コピー | |
|---|---|
| 単行本(2024年) | 恐れと禍いの最高到達点。 |
| 文庫(2026年) | 日常は檻だ。普通の人々は敵だ。だからホラーを、怪談を。 |
単行本は「到達点」=作品の格を売り、文庫は「なぜホラーを書くか」=作家の立場を売っています。 売り方が変わっているのが読み取れます。
版元のあらすじ
保育士と母親の連絡帳から浮かび上がる歪んだ日常を描く表題作「頭の大きな毛のないコウモリ」、ホラー映画撮影現場を襲う悪夢のような事件「禍 または2010年代の恐怖映画」ほか八編を収録。怪奇現象や怪談、都市伝説や昔話に、澤村伊智の描く多様な「異形」が影を落とす。どこまでも不気味で、どうしようもなく愉しい、暗黒奇譚集。
出典:光文社の本(2026年10月11日時点)
頭の大きな毛のないコウモリの収録作|目次9項目を全部並べる

光文社の公式サイトが目次を公開しています。 以下が全項目です。
| # | 目次項目 | 種別 |
|---|---|---|
| 1 | 禍 または2010年代の恐怖映画 | 小説 |
| 2 | ゾンビと間違える | 小説 |
| 3 | 縊 または或るバスツアーにまつわる五つの怪談 | 小説 |
| 4 | 頭の大きな毛のないコウモリ | 小説(表題作) |
| 5 | 貍 または怪談という名の作り話 | 小説 |
| 6 | くるまのうた | 小説 |
| 7 | 鬼 または終わりの始まりの物語 | 小説 |
| 8 | 自作解説 | 著者による解説 |
| 9 | 文庫解説 ヱ藤(プロホラー読者) | 文庫のために加わった解説 |
出典:光文社の本(2026年10月11日時点)
表題作は4番目に置かれている
表題作『頭の大きな毛のないコウモリ』は、7編のうち4番目です。真ん中に置かれています。
短編集で表題作を巻頭や巻末ではなく中央に置くのは、「ここが山」という配置です。巻頭は『禍 または2010年代の恐怖映画』で、版元のあらすじも表題作と『禍』の2編だけを名指ししています。→ 版元が推しているのはこの2編だと分かります。
「○ または〜」という型の題が4編ある
7編のうち4編が、漢字1字+「または」+説明という同じ型になっています。
| 型 | 作品 |
|---|---|
| 漢字1字+「または」+説明 | 禍(または2010年代の恐怖映画)/縊(または或るバスツアーにまつわる五つの怪談)/貍(または怪談という名の作り話)/鬼(または終わりの始まりの物語) |
| ふつうの題 | ゾンビと間違える/頭の大きな毛のないコウモリ/くるまのうた |
禍・縊・貍・鬼——いずれも「異形」や災いを一字で指す漢字です。副題の「または」以下がその一字を現代の何に重ねたかを示しています。
| 漢字 | 副題が示す現代の舞台 |
|---|---|
| 禍 | 2010年代の恐怖映画 |
| 縊 | 或るバスツアーにまつわる五つの怪談 |
| 貍 | 怪談という名の作り話 |
| 鬼 | 終わりの始まりの物語 |
副題は「2010年代」「バスツアー」「作り話」と、どれも現代の俗なものを指します。古い漢字一字と、いまの日常を突き合わせるのがこの4編の作りだと読めます。書名の「異形短編集」も、ここに掛かっています。
「縊」は中に五つの怪談が入っている
『縊 または或るバスツアーにまつわる五つの怪談』だけ、副題が「五つの怪談」と内部の数を名乗っています。
1編のなかに5つの怪談が入る入れ子構造で、単行本の紹介文にあった「元アイドルのバスツアー参加者たちが語る戦慄の一夜」がこれに対応すると読めます。参加者が順番に語る形式だと推測できますが、版元は構成を明言していないので断定しません。
版元の「ほか八編」と目次の7編は合わない
ここが本記事でいちばん注意を促したい点です。
| 情報源 | 編数 |
|---|---|
| 版元の紹介文 | 「ほか八編を収録」 |
| 版元公式サイトの目次 | 小説7編(+自作解説+文庫解説) |
数え方の基準が示されていないため、どちらが正しいとは本記事では決めません。 ただし目次は項目名まで列挙された一次情報なので、収録作を知りたい読者は目次を見るのが確実です。自作解説を1編として数えれば8項目になりますが、これは推測です。
文庫で加わるのは「自作解説」と「文庫解説」
項目名が「文庫解説」である以上、9番目は文庫のために書かれたものです。
書き手の肩書が「プロホラー読者」となっているのが目を引きます。作家・評論家ではなく「読者」を名乗る肩書で、本職の批評より、読み手としての反応を置くという版元の選択だと読めます。
『自作解説』が単行本にもあったかは公表されていません。 光文社の単行本ページには目次が出ていないため、ここは確認できませんでした。
頭の大きな毛のないコウモリの単行本と文庫の違い|ちょうど半額になる

| 単行本 2024年 | 文庫 2026年(本作) | |
|---|---|---|
| 発売日 | 2024年12月18日 | 2026年11月11日 |
| 判型 | 四六判(縦194mm×横133mm×厚さ21mm) | 文庫判(縦152mm×横105mm×厚さ15mm) |
| ページ | 284ページ | 384ページ |
| 価格(税込) | 1,980円 | 990円 |
| 本体価格 | 1,800円 | 900円 |
| ISBN | 978-4-334-10515-0 | 978-4-334-11212-7 |
出典:版元ドットコム(単行本)、光文社の本(2026年10月11日時点)
価格はちょうど半分
1,980円 → 990円で、990円安くなります。 単行本のちょうど50.0%です。文庫化の値下がりとしては大きいほうで、本体価格が1,800円→900円とぴったり半分に設定されています。
100ページ増えるが、厚さは6mm薄くなる
284 → 384ページで100ページ増えるのに、厚さは21mm → 15mmで6mm薄くなります。
| 単行本 | 文庫 | |
|---|---|---|
| ページ | 284 | 384 |
| 厚さ | 21mm | 15mm |
| 1mmあたり | 約13.5ページ | 約25.6ページ |
文庫の紙がずっと薄いためです。ページが増えるのは判型が小さくなり1ページに入る字数が減るからで、加筆の告知は2026年10月11日時点でありません。 ただし『文庫解説』が加わるので、その分は確実に増えています。
文庫化までは約1年11か月
| 出来事 | 日付 |
|---|---|
| 単行本 発売 | 2024年12月18日 |
| 文庫 発売 | 2026年11月11日 |
約1年11か月。文庫化は単行本の2〜3年後が目安なので、やや早いほうです。
同じ日に出た今野敏の単行本も、同じ日に文庫化される
ここが面白いところです。光文社は2024年12月18日に、本書と今野敏『昇華 機捜235』の単行本を同じ日に出しました。 そして2026年11月11日に、2冊を同じ日に文庫化します。
| 頭の大きな毛のないコウモリ | 昇華 機捜235 | |
|---|---|---|
| 単行本 | 2024年12月18日・284ページ・1,980円 | 2024年12月18日・336ページ・1,980円 |
| 文庫 | 2026年11月11日・384ページ・990円 | 2026年11月11日・400ページ・968円 |
| ISBN(単行本) | 978-4-334-10515-0 | 978-4-334-10512-9 |
単行本のISBNも10512と10515で3しか離れていません。 → 同じ刊行ロットで作られ、2年後も揃って文庫になるという、版元の計画がそのまま見える並びです。11月11日の光文社文庫は、ホラー短編集と警察小説が同時に出る日になります。
どちらを買うか
| 単行本が向く人 | 文庫が向く人 | |
|---|---|---|
| 価格 | — | 990円安い(ちょうど半額) |
| 文字の大きさ | 四六判で読みやすい | — |
| 持ち運び | — | 厚さ15mmで薄い |
| 解説 | — | 文庫解説(ヱ藤)が付く |
→ これから読むなら文庫です。 値段が半分で、文庫解説という追加もあります。
頭の大きな毛のないコウモリの3つの読みどころ

1. 怖さの入口が「書類」であること
表題作の設定は、版元の説明によれば「保育士と母親の連絡帳から浮かび上がる歪んだ日常」です。
連絡帳は、毎日書かれ、相手に読まれる前提の文書です。嘘を書けばいつか合わなくなるし、本音を書けば相手に伝わってしまう。日常の記録そのものが、読み手に恐怖を組み立てさせる装置になっています。
なお単行本の紹介文では「連絡日記」、文庫では「連絡帳」と、版元の表記が変わっています。
| 版元の表記 | |
|---|---|
| 単行本(2024年) | 保育士と母親の連絡日記 |
| 文庫(2026年) | 保育士と母親の連絡帳 |
→ 作中でどちらの語が使われるかは、本で確かめることになります。
2. 古い漢字一字と、現代の俗なものを突き合わせる
前述のとおり、4編の題が「禍」「縊」「貍」「鬼」という漢字一字+「または」+現代の説明という型です。
副題が指すのは「2010年代の恐怖映画」「バスツアー」「作り話」で、どれもいまの日常の中にあるものです。古い言葉で呼ばれてきた恐れを、現代の具体物に重ねる——版元の言う「怪奇現象や怪談、都市伝説や昔話に、澤村伊智の描く多様な『異形』が影を落とす」は、この構えを説明しています。
澤村伊智は2019年に「学校は死の匂い」で第72回日本推理作家協会賞【短編部門】を受けており、短編の書き手としての評価が確立している作家です。
3. 2026年は短編集が2冊続いた年になる
本書の文庫化は、2026年10月に出た『靴と自転車』(KADOKAWA・248ページ・「はじめに」+8編)の翌月です。
| 刊行 | 書名 | 版元 | 構成 |
|---|---|---|---|
| 2026年10月1日 | 靴と自転車 | KADOKAWA | 「はじめに」+8編 |
| 2026年11月11日 | 頭の大きな毛のないコウモリ(本作) | 光文社文庫 | 7編+自作解説+文庫解説 |
『靴と自転車』は版元が「デビュー10周年を迎えたホラーの旗手」と紹介した新刊で、本書は2024年の単行本の文庫化です。性質は違いますが、2か月続けて澤村伊智の短編集が書店に並ぶことになります。
どちらから読んでもかまいません。 本書はシリーズものではなく、代表作の〈比嘉姉妹〉シリーズとも独立しています。
頭の大きな毛のないコウモリに関するよくある質問
頭の大きな毛のないコウモリの文庫版はいつ出ますか
2026年11月11日です(書店発売日)。 光文社文庫から990円(税込・本体900円)・文庫判384ページで出ます。奥付の出版年月日は2026年11月20日です。
何編入っていますか
光文社公式サイトの目次では、小説7編+自作解説+文庫解説(ヱ藤)の9項目です。版元の紹介文は「ほか八編を収録」と書いており、目次と数が合いません。 収録作を確かめたい場合は目次を見るのが確実です。
収録作のタイトルを教えてください
禍 または2010年代の恐怖映画/ゾンビと間違える/縊 または或るバスツアーにまつわる五つの怪談/頭の大きな毛のないコウモリ/貍 または怪談という名の作り話/くるまのうた/鬼 または終わりの始まりの物語——以上7編です。これに自作解説と文庫解説(ヱ藤)が加わります。
単行本と文庫で中身は違いますか
文庫には「文庫解説」(ヱ藤)が加わります。 本文の加筆・改稿の告知は2026年10月11日時点でありません。 ページ数は284→384へ増えますが、これは判型が小さくなったためです。
単行本と文庫はどちらを買うべきですか
これから読むなら文庫です。 単行本1,980円に対し文庫は990円で、ちょうど半額。さらに文庫解説が付きます。
〈比嘉姉妹〉シリーズと関係はありますか
版元の紹介文に〈比嘉姉妹〉シリーズとの関連は記載されていません。 独立した短編集です。本書から読めます。
「異形短編集」とはどういう意味ですか
版元は「怪奇現象や怪談、都市伝説や昔話に、澤村伊智の描く多様な『異形』が影を落とす」と説明しています。 7編のうち4編が「禍」「縊」「貍」「鬼」という漢字一字の題を持ち、副題で現代の舞台に結び直されています。
ホラーが苦手でも読めますか
版元は「どこまでも不気味で、どうしようもなく愉しい、暗黒奇譚集」と書いています。 流血や直接的な恐怖ではなく、連絡帳・バスツアー・恐怖映画の撮影現場といった日常の側から入る作りです。 とはいえホラーとして売られている本なので、苦手な方はホラー・怪談小説おすすめ15選で傾向を見てから選ぶのが安全です。
384ページは読むのにどれくらいかかりますか
7編+解説で文庫判384ページなので、通しで5〜6時間が目安です。短編集なので1編ずつ区切って読めます。
澤村伊智は初めてです。どれから読めばいいですか
本書から読めます。 短編集なので1編で作家の手触りが分かります。2026年10月に出た『靴と自転車』も入口になります。代表作から入りたい場合は〈比嘉姉妹〉シリーズの『ぼぎわんが、来る』(第22回ホラー小説大賞〈大賞〉)です。
まとめ|目次が公開されている。収録は7編+自作解説+文庫解説
- 『頭の大きな毛のないコウモリ 澤村伊智異形短編集』は2026年11月11日・光文社文庫・990円(税込)・文庫判384ページ
- ★光文社公式が目次を公開しており、収録は小説7編+自作解説+文庫解説(ヱ藤)の9項目
- ★版元の紹介文は「ほか八編」と書くが、目次の小説は7編で数が合わない。 数え方の基準は示されていない
- ★7編のうち4編が「禍」「縊」「貍」「鬼」という漢字一字+「または」+現代の説明という型。副題は「2010年代の恐怖映画」「バスツアー」「作り話」と、いまの日常を指す
- ★表題作は7編の4番目=中央に置かれ、版元が名指しするのは表題作と巻頭の『禍』の2編
- ★文庫解説の書き手の肩書が「プロホラー読者」=作家・評論家でなく読者を立てている
- ★底本は2024年12月18日の単行本(284ページ・1,980円)。文庫は990円でちょうど半額、本体価格も1,800円→900円とぴったり半分
- ★100ページ増えるのに厚さは21mm→15mmと6mm薄くなる(文庫の紙が薄いため)
- ★ページ数は光文社公式384/版元ドットコム376で8ページ食い違う。本記事は版元公式を採った
- ★光文社が2024年12月18日に同時に出した今野敏『昇華 機捜235』も、2026年11月11日に同時に文庫化される
- 「書店発売日 11月11日」と「出版年月日 11月20日」は別物で、棚に並ぶのは11月11日
- 〈比嘉姉妹〉シリーズとは独立。本書から読める
連絡帳は、毎日書かれ、必ず読まれる。 その往復のなかに歪みが積み上がっていく——書類が怖さの入口になる短編集です。



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