『おもかげ』は、浅田次郎の長編小説で、2026年10月3日スタートのNHK総合「おもかげ」(中村雅俊主演・全3話)の原作です。65歳で定年を迎えた商社マンが、送別会の帰りに地下鉄で倒れるところから始まります。
先に、検索して来た方がつまずきやすい点を3つ書きます。
ひとつ目。ドラマは新作ではありません。 2023年にNHK BSプレミアム4Kで初放送された作品で、2026年10月のNHK総合が地上波初放送です。主演の中村雅俊も「撮影してからだいぶ月日は経っていますが、ようやく地上波で皆様に観ていただけることは本当に嬉しく思います」とコメントしています。
ふたつ目。原作は版元が2社に分かれています。 単行本は毎日新聞出版(2017年11月30日)、文庫は講談社文庫(2020年11月12日)です。いま新刊で買えるのは講談社文庫です。
みっつ目。初出は小説誌ではなく新聞です。 毎日新聞の朝刊に2016年12月13日から2017年7月31日まで連載されました。単行本を出したのが毎日新聞出版なのはこのためです。
※本ページはアフィリエイトリンクを含みます。
※本記事はドラマの内容には踏み込まず、原作小説の書誌と公表済みの情報を中心にまとめています(2026年10月20日時点)。
- 講談社文庫・2020年11月12日・464ページ・本体840円(解説=中江有里)
- NHK総合「おもかげ」(2026年10月3日スタート・全3話)の原作
- 単行本は毎日新聞出版・2017年11月30日・377ページ・本体1,500円
おもかげとは|定年の日に地下鉄で倒れた男の物語

まず内容です。講談社文庫版の紹介文が、いちばん詳しい一次情報です。
版元の紹介は「送別会の帰りに地下鉄で倒れ意識を失う」から始まる
涙なくして読めない最終章。人生という奇跡を描く著者の新たな代表作。孤独の中で育ち、温かな家庭を築き、定年の日の帰りに地下鉄で倒れた男。切なすぎる愛と奇跡の物語。エリート会社員として定年まで勤め上げた竹脇は、送別会の帰りに地下鉄で倒れ意識を失う。家族や友が次々に見舞いに訪れる中、竹脇の心は外へとさまよい出し、忘れていたさまざまな記憶が呼び起こされる。孤独な幼少期、幼くして亡くした息子、そして……。涙なくして読めない至高の最終章。著者会心の傑作。
出典:版元ドットコム『おもかげ』(講談社文庫)(2026年10月20日時点)
→ 主人公は竹脇という定年を迎えた会社員です。倒れて意識を失った状態から、記憶をさかのぼる構成になっています。「孤独な幼少期」「幼くして亡くした息子」が紹介文に出ているとおり、過去が順に明かされる作りです。
→ ドラマ側の紹介はさらに具体的で、主人公をフルネームの「竹脇正一」、職業を「商社マン」、年齢を「65歳で定年」としています(映画ナタリー 2026年10月2日)。版元の紹介文が「エリート会社員」としているところを、ドラマ側が具体化した形です。
→ Cコードは単行本が0093、文庫が0193で、いずれも「日本文学・小説」です(版元ドットコム(毎日新聞出版)/同(講談社文庫))。随筆でも短編集でもなく、長編小説として登録されています。
版元は『地下鉄に乗って』から25年の位置に置いている
時代を超えて胸を打つ不朽の名作『地下鉄(メトロ)に乗って』から25年――浅田次郎の新たな代表作、待望の文庫化。解説・中江有里
出典:版元ドットコム『おもかげ』(講談社文庫)(2026年10月20日時点)
→ 『地下鉄(メトロ)に乗って』は浅田次郎の代表作のひとつで、地下鉄が過去につながる話でした。本作も地下鉄で倒れるところから始まるため、版元が2作を並べて紹介しています。 ただし続編ではありません。
おもかげの初出は毎日新聞の朝刊連載

ここは版元の商品ページには載っていない情報です。
連載は2016年12月13日から2017年7月31日まで
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 媒体 | 毎日新聞 朝刊 |
| 連載開始 | 2016年12月13日 |
| 連載終了 | 2017年7月31日 |
| 期間 | 約7か月半 |
出典:おもかげ(小説)Wikipedia(2026年10月20日時点)
→ 新聞小説です。毎日新聞の朝刊に毎日載る形で約7か月半続きました。
→ 単行本の版元が毎日新聞出版なのは、この連載の縁です。毎日新聞出版は文庫のレーベルを持たないため、文庫化で講談社へ移りました。
おもかげの版は2社・複数種類ある|いま買うなら講談社文庫

ここが本作でいちばん間違えやすい点です。単行本と文庫で版元が違います。
単行本は毎日新聞出版、文庫は講談社文庫
| 版 | 版元 | 刊行 | ページ | 判型 | 価格 | ISBN |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 単行本 | 毎日新聞出版 | 2017年11月30日 | 377ページ | 20cm | 本体1,500円 | 978-4-62-010832-2 |
| 講談社文庫 | 講談社 | 2020年11月12日 | 464ページ(版元) | 15cm | 本体840円 | 978-4-06-520789-5 |
| 大活字版 上 | — | 2025年 | 311ページ | 21cm | — | — |
| 大活字版 下 | — | 2025年 | 441ページ | 21cm | — | — |
| 録音資料・DAISY | — | 2019年 | CD2〜3枚 | — | — | — |
出典:Books 出版書誌データベース『おもかげ』(講談社文庫)/版元ドットコム『おもかげ』(毎日新聞出版)/国立国会図書館サーチ(2026年10月20日時点)
→ 単行本を出した毎日新聞出版と、文庫を出した講談社は別の会社です。検索すると情報が2社に散ります。 いま新刊で手に入るのは講談社文庫です。
文庫のページ数は版元と図書館で11ページ違う
| 情報源 | ページ |
|---|---|
| Books 出版書誌データベース(JPRO・版元入稿) | 464ページ |
| 国立国会図書館 | 453ページ |
出典:Books 出版書誌データベース『おもかげ』/国立国会図書館サーチ(2026年10月20日時点)
→ 版元が取次へ入稿した数字と、図書館が記録した数字が11ページ違います。 巻末の解説や広告をどこまで数えるかの違いと見られます。本記事では版元側の464ページを採っています。
文庫化で単行本より87ページ増えた
| ページ | 判型 | 本体価格 | |
|---|---|---|---|
| 単行本(2017年11月30日) | 377ページ | 20cm | 1,500円 |
| 講談社文庫(2020年11月12日) | 464ページ | 15cm | 840円 |
| 差 | +87ページ | −5cm | −660円 |
出典:Books 出版書誌データベース/版元ドットコム(毎日新聞出版)/国立国会図書館サーチ(2026年10月20日時点)
→ 判型が20cmから15cmへ小さくなったぶん、1ページに入る文字が減ってページ数が増えています。 内容が増えたわけではありません。 ただし文庫版には中江有里の解説が追加されており、その分も含まれます。 本体価格は1,500円から840円へ、660円下がりました。
大活字版は2025年に上下2冊で出ている
| ページ | |
|---|---|
| 大活字版 上 | 311ページ |
| 大活字版 下 | 441ページ |
| 合計 | 752ページ |
出典:国立国会図書館サーチ(2026年10月20日時点)
→ 2025年に大活字版が上下巻で出ています。 合計752ページで、文庫の464ページの1.6倍です。21cmの大判で文字を大きくしているためです。
韓国語版は題名がまったく違う
| 題名 | |
|---|---|
| 日本語版 | おもかげ |
| 韓国語版(2021年) | 겨울이 지나간 세계(=冬が過ぎた世界) |
出典:国立国会図書館サーチ(2026年10月20日時点・ISBN 978-89-6051-843-8・431ページ)
→ 韓国語版は「おもかげ」の訳ではなく、別の題名が付いています。
おもかげのNHKドラマ|2026年10月3日から地上波初放送
ここを間違えると検索結果と食い違います。 ドラマは2026年に作られた新作ではありません。
初放送はNHK BSプレミアム4K、地上波は今回が初めて
浅田次郎の小説を中村雅俊主演で実写化したNHKドラマ「おもかげ」が10月3日よりNHK総合で放送。NHK BSプレミアム4Kで初オンエアされた同作は、今回が地上波初登場となる。
出典:映画ナタリー「中村雅俊主演で浅田次郎の小説を実写化、NHKドラマ『おもかげ』地上波初放送」(2026年10月2日)(2026年10月20日時点)
→ BSで先に放送された作品が、数年後に地上波へ降りてくる形です。「2026年秋の新作ドラマ」として紹介されることがありますが、制作はもっと前です。
「おもかげ」は本当に大好きで大切なドラマです。撮影してからだいぶ月日は経っていますが、ようやく地上波で皆様に観ていただけることは本当に嬉しく思います。(中村雅俊)
出典:映画ナタリー(2026年10月2日)(2026年10月20日時点)
→ 主演俳優自身が、撮影から時間が空いたことに触れています。 これが「新作ではない」ことのいちばん確かな裏づけです。
放送はNHK総合・毎週土曜22時・全3話
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 放送局 | NHK総合 |
| 開始 | 2026年10月3日(土) |
| 放送時間 | 毎週土曜 22:00〜22:43 |
| 話数 | 全3話 |
| 再放送 | 2026年10月6日(火)スタート・毎週火曜 24:35〜25:18(※10月13日は26:45〜予定) |
| 配信 | NHK ONE(新NHKプラス)で同時・見逃し配信予定 |
出典:映画ナタリー(2026年10月2日)(2026年10月20日時点)
→ 全3話です。43分×3回なので、原作464ページを約2時間半に収めています。
キャストと役名はナタリーの記事で分かる
| 俳優 | 役 |
|---|---|
| 中村雅俊 | 竹脇正一(主人公) |
| 浅田美代子 | 節子(正一の妻) |
| 宅麻伸 | 堀田(同期で社長まで上りつめた) |
| モロ師岡 | 永山(同じ養護施設で育った) |
| 板橋駿谷 | 和志(永山の弟子として働く婿養子) |
| 三田佳子/余貴美子/さとうほなみ | 謎の美女たち |
| 不破万作 | 榊原(正一の隣のベッドに眠っていた) |
| 前田亜季 | — |
出典:映画ナタリー(2026年10月2日)(2026年10月20日時点)
→ 「謎の美女」が3人いるのが本作の構造です。正一は自分の体を横目に、謎の美女に連れられて病院を抜け出し、思い出の場所を巡ります。
→ スタッフは脚本・吉田康弘、演出・小林聖太郎、音楽・富貴晴美。制作統括は盛夏子(アミューズ)・神林伸太郎(NHKエンタープライズ)・谷口卓敬(NHK)です。
→ 原作者と主演は同じ1951年生まれです。浅田次郎は「中村雅俊さんと私は、同じ一九五一年の生まれである」と書き、主人公の竹脇正一を「高度経済成長期の申し子」でありながら「著しい不公平」を背負った世代の雛型だと説明しています。
原作は9年前の本なので先が読める
| 時期 | |
|---|---|
| 原作 連載 | 2016年12月13日〜2017年7月31日 |
| 原作 単行本 | 2017年11月30日 |
| 原作 文庫 | 2020年11月12日 |
| ドラマ BS初放送 | 2023年 |
| ドラマ 地上波初放送 | 2026年10月3日〜 |
→ 原作とドラマの地上波放送の間が9年あります。 講談社文庫(464ページ)は新刊で手に入るので、放送中でも結末まで読めます。 ただし全3話に収めるための脚色があるかどうかは、NHKが公表していません。
おもかげの3つの注目点
1. 倒れた本人の意識から語られる構成
版元の紹介文は「竹脇の心は外へとさまよい出し、忘れていたさまざまな記憶が呼び起こされる」と書いています。ドラマ側の紹介はさらに踏み込み、「ベッドに横たわる自分の体を横目に、謎の美女に連れられるまま病院を抜け出し、思い出の場所を巡る」としています。
→ 意識を失っている本人の側から語られる構成です。見舞いに来る家族や友の描写と、過去の記憶が交互に出る形になります。浅田次郎が『地下鉄(メトロ)に乗って』で使った「現在と過去を往復する」作りの系列です。
2. 「定年」と「孤児という出自」が二重の起点になっている
→ 主人公の竹脇正一は商社マンとして勤め上げ、65歳で定年を迎えます。 ドラマ側の紹介は「孤児という出自から来る孤独を無理やり忘れ、父として夫として懸命に生きてきた」と書いています。
→ 現役を終えた日が転機であると同時に、忘れていた出自と向き合う話でもあります。版元の紹介文にある「孤独な幼少期」がここに当たります。
3. 作者は歴史時代小説と現代小説を往復している
→ 浅田次郎は『蒼穹の昴』や『壬生義士伝』のような歴史時代小説と、『鉄道員(ぽっぽや)』のような現代の短編を往復してきた作者です。
→ 本作は現代側の長編です。『鉄道員(ぽっぽや)』で直木賞を受けた路線に近い人情ものですが、短編集ではなく一本の長編です。全体像は浅田次郎のおすすめ小説にまとめています。
- 講談社文庫・2020年11月12日・464ページ・本体840円(解説=中江有里)
- 初出は毎日新聞朝刊(2016年12月13日〜2017年7月31日)
- NHK総合「おもかげ」全3話(2026年10月3日スタート)の原作
おもかげに関するよくある質問
おもかげの原作小説はどれを買えばいいですか
講談社文庫版(2020年11月12日・464ページ・本体840円・ISBN 978-4-06-520789-5)です。単行本は毎日新聞出版から2017年11月30日に出ています(377ページ・本体1,500円)が、いま新刊で手に入るのは講談社文庫です。
どんな話ですか
商社マンとして勤め上げた竹脇正一が、65歳の定年を迎えた送別会の帰りに地下鉄の車内で倒れ、集中治療室に運び込まれます。 意識の戻らない正一に、妻・節子、同期の堀田、同じ養護施設で育った永山、婿養子の和志が思いを吐露していきます。 一方の正一本人は、ベッドの自分を横目に謎の美女に連れられて病院を抜け出し、思い出の場所を巡ります。
ドラマは新作ですか
違います。 NHK BSプレミアム4Kで初放送された作品で、2026年10月3日からのNHK総合が地上波初放送です。主演の中村雅俊も「撮影してからだいぶ月日は経っていますが」とコメントしています。
ドラマはいつ放送していますか
2026年10月3日(土)スタートです。NHK総合・毎週土曜22:00〜22:43・全3話です。再放送は2026年10月6日(火)から毎週火曜24:35〜25:18(10月13日は26:45〜予定)、NHK ONE(新NHKプラス)で同時・見逃し配信予定です。
ドラマのキャストは誰ですか
中村雅俊(竹脇正一)、浅田美代子(妻・節子)、宅麻伸(堀田)、モロ師岡(永山)、板橋駿谷(和志)、三田佳子・余貴美子・さとうほなみ(謎の美女たち)、不破万作(榊原)、前田亜季です。脚本は吉田康弘、演出は小林聖太郎、音楽は富貴晴美です。
初出はどこですか
毎日新聞の朝刊です。2016年12月13日から2017年7月31日まで連載されました。単行本の版元が毎日新聞出版なのはこの縁です。
何ページですか
講談社文庫版は版元のデータで464ページです。国立国会図書館の書誌では453ページと記録されており、11ページの差があります。 単行本(毎日新聞出版)は377ページでした。本編は同じ作品で、文庫版に中江有里の解説が付くぶんと、判型が小さくなったぶんが差です。原作は2020年に文庫化済みなので、放送中でも結末まで読めますが、全3話に収めるための脚色があるかどうかはNHKが公表していません。
『地下鉄に乗って』の続編ですか
違います。 別の作品です。版元が「『地下鉄(メトロ)に乗って』から25年――浅田次郎の新たな代表作」と紹介しているだけで、物語のつながりはありません。
短編集ですか
違います。 一本の長編小説です。Cコードも単行本・文庫とも日本文学の小説(0093/0193)で、毎日新聞の朝刊に約7か月半連載された新聞小説です。
浅田次郎は初めてです。何から読めばいいですか
現代ものなら『鉄道員(ぽっぽや)』(直木賞受賞作)です。歴史時代小説なら『蒼穹の昴』や『壬生義士伝』です。全体像は浅田次郎のおすすめ小説にまとめています。
まとめ|ドラマは地上波初放送の旧作。原作は新聞連載から版元をまたいで文庫化された
- 『おもかげ』は浅田次郎の長編小説で、2026年10月3日スタートのNHK総合「おもかげ」(中村雅俊主演・全3話)の原作
- ★ドラマは新作ではない=NHK BSプレミアム4Kで初放送された作品で、2026年10月が地上波初放送。主演の中村雅俊も「撮影してからだいぶ月日は経っていますが、ようやく地上波で皆様に観ていただける」とコメントしている
- ★初出は小説誌でなく新聞=毎日新聞の朝刊に2016年12月13日から2017年7月31日まで約7か月半連載。単行本の版元が毎日新聞出版なのはこの縁
- ★版元が2社に分かれている=単行本は毎日新聞出版(2017年11月30日・377ページ・本体1,500円)、文庫は講談社文庫(2020年11月12日・本体840円)。いま新刊で買えるのは講談社文庫
- ★文庫のページ数が版元と図書館で11ページ違う=版元入稿のJPROは464ページ、国立国会図書館は453ページ。巻末の解説や広告の数え方の違いと見られる
- ★文庫化で87ページ増え、本体価格は660円下がった(377→464ページ/1,500円→840円)。判型が20cm→15cmに小さくなったぶんで、中江有里の解説が追加される
- ★ドラマは全3話・43分×3で、原作464ページを約2時間半に収めている。脚本は吉田康弘、演出は小林聖太郎、音楽は富貴晴美
- ★原作者と主演が同じ1951年生まれ。浅田次郎は主人公を「高度経済成長期の申し子」でありながら「著しい不公平」を背負った世代の雛型と説明している
- ★「謎の美女」が3人いる(三田佳子・余貴美子・さとうほなみ)。正一は自分の体を横目に、彼女たちに連れられて病院を抜け出し思い出の場所を巡る
- 長編であって短編集ではない。Cコードは単行本0093・文庫0193でいずれも日本文学の小説
- 大活字版は2025年に上下2冊(上311ページ・下441ページ・合計752ページ)
- 韓国語版(2021年)は題名が『겨울이 지나간 세계』(冬が過ぎた世界)で、日本語題の訳ではない




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