『初恋をしまう日』は、『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受けた町田そのこの新作長編で、2026年10月21日に講談社から出ます。2,255円(税込)・四六変型判352ページ。兄の犯罪で故郷を追われることになった茜(あかね)と、苛烈な父親を持つ碧生(あお)。二人は惹かれ合うものの、現実を変えるにはあまりに幼く無力でした。そして15年の時が経ち、新天地で生活する彼らに、過去と向き合うときが近づきます。版元は本作を「本屋大賞作家・町田そのこ デビュー10周年!」と掲げています。この記事では、あらすじと読みどころを一次資料で整理します。
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※本記事は発売前に公表された情報にもとづいています。
- 2026年10月21日・講談社・2,255円(税込)・352ページ
- 15年の時を隔てて過去と向き合う長編
- 版元は「デビュー10周年」と掲げる節目の新作
初恋をしまう日とは|講談社から出る四六変型判の新作

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | 初恋をしまう日 |
| 著者 | 町田そのこ |
| 版元 | 講談社(単行本) |
| 発売日 | 2026年10月21日 |
| 判型・ページ | 四六変型判・352ページ |
| 定価 | 2,255円(税込・本体2,050円) |
| ISBN | 978-4-06-544920-2 |
| Cコード | C0093(一般・単行本・日本文学) |
出典:版元ドットコム(講談社登録データ)(2026年10月4日時点)
判型が四六「変型」判です。標準の四六判ではなく、版元が本作のために寸法を変えた造本であることを示します。節目の刊行として装丁に手が入っている可能性がありますが、装画・装幀者は2026年10月4日時点で未公表です。
初恋をしまう日のあらすじ|二人は幼く、無力だった

「ひとと生きるのは、辛いことよ」と言って渡されたリング
版元が最初に引くのは、渡す側の台詞です。
「ひとと生きるのは、辛いことよ」
そう言って渡されたお揃いのリングが、いつまでもわたしの宝物だった。
祝福の言葉ではありません。「ひとと生きるのは辛い」と告げながら、それでも二人で持つための指輪を渡す——という場面から本作は始まります。
兄の犯罪で故郷を追われる茜と、苛烈な父親を持つ碧生
主人公は二人です。
| 人物 | 抱えているもの |
|---|---|
| 茜(あかね) | 兄の犯罪で故郷を追われることになった |
| 碧生(あお) | 苛烈な父親を持つ |
どちらも、自分が選んだのではない家族の事情を背負っています。
惹かれ合うが、現実を変えるにはあまりに幼く無力だった
二人は惹かれ合います。しかし版元の言葉はここで止まりません。「現実を変えるにはあまりに幼く無力だった」。
15年が経ち、過去と向き合うときが近づく
15年の時が経ち、新天地で生活する彼らですが、過去と向き合うときはすぐそこまで来ていました。
いつまでも変わらないものと、新たな出会いに恵まれ変化したものを見つめ、かけがえのない初恋に下す決断は。
出典:版元ドットコム(講談社登録データ)の内容紹介(2026年10月4日時点)
初恋をしまう日の3つの読みどころ

1. 題名が「しまう」である。初恋を成就でも破綻でもなく「しまう」話
本作の題名は『初恋をしまう日』です。「実る」でも「終わる」でも「散る」でもなく「しまう」という動詞が置かれています。
「しまう」は、捨てることではありません。大事なものを所定の場所に収めるという動作です。版元の紹介に「お揃いのリングが、いつまでもわたしの宝物だった」とあることと、題名の「しまう」が噛み合います。
版元が結びに置くのは「かけがえのない初恋に下す決断」という一文です。初恋そのものを否定する話ではなく、それをどう置くかを決める話として組まれていることが、題名から読めます。
15年という時間設定も効いています。出会ったときに「幼く無力だった」二人が、決断できる年齢になって再び向き合う——同じ相手に、違う力量で向き合い直す構成です。
2. 二人の名前が「茜」と「碧生」で、色の対になっている
公表されている情報のなかで、最も読み取れる仕掛けです。
| 人物 | 名前の字 | 字の意味する色 |
|---|---|---|
| 茜(あかね) | 茜 | アカネ。根から赤い染料を採る植物。茜色=暗く深い赤 |
| 碧生(あお) | 碧 | アオ。碧は青緑色を指す字(碧玉・紺碧) |
しかも読みが「あかね」と「あお」で、呼び名の時点で赤と青になっています。
版元は色についてひとことも説明していないため作者の意図は断定できませんが、二人の主人公に赤と青の字を割り当てるのは、対になる二人を一目で示す造りとして読めます。
町田そのこは題名に色や生き物を置く作家でもあります。『52ヘルツのクジラたち』はクジラの鳴き声の周波数、デビュー作『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』は熱帯魚の名前でした。本作では題名ではなく人物名のほうに置かれています。
3. 版元が「デビュー10周年」と掲げる節目の刊行
版元は本作の内容紹介の冒頭を「本屋大賞作家・町田そのこ デビュー10周年!」で始めています。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| — | 「カメルーンの青い魚」で第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞 |
| 2017年8月 | 同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』(新潮社)でデビュー |
| 2021年 | 『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞受賞 |
| 2026年10月 | 本作 |
出典:版元ドットコム(講談社登録データ)の著者紹介、国立国会図書館サーチ(デビュー作の版元・刊行年月/2026年10月4日時点)
デビュー作は新潮社から2017年8月に出ています。本作の刊行は2026年10月なので、経過は9年2か月です。「10周年」は10年目という数え方にあたります。
町田そのこの既刊は版元が分かれています。デビュー作が新潮社、『52ヘルツのクジラたち』は中央公論新社、『コンビニ兄弟』は新潮社で、本作は講談社です。版元の著者紹介はほかに『蛍たちの祈り』『ドヴォルザークに染まるころ』『月とアマリリス』を挙げています。
初恋をしまう日に関するよくある質問
シリーズものですか
いいえ。単独の長編です。版元の書誌情報にシリーズ表記はなく、前提となる既刊はありません。『52ヘルツのクジラたち』『コンビニ兄弟』を読んでいなくても単体で読めます。
連作短編ですか、長編ですか
版元ドットコムに目次は載っていません。内容紹介は茜と碧生という二人の人物を15年にわたって追う筋として書かれており、長編と読めます。『コンビニ兄弟』のような連作短編とは組み方が違います。
恋愛小説ですか
初恋が題名と主題に置かれていますが、版元の紹介で二人が背負うのは「兄の犯罪」と「苛烈な父親」です。家族の事情が二人を分けた話として組まれているので、恋愛小説として読めると同時に、家族の話としても読めます。
文庫版はいつ出ますか
2026年10月4日時点で未公表です。参考として、『52ヘルツのクジラたち』は単行本2020年4月→中公文庫2023年2月で約2年10か月でした。
本屋大賞を受賞した作品ですか
いいえ。本作は2026年10月発売の新作です。町田そのこが本屋大賞を受賞したのは2021年の『52ヘルツのクジラたち』です。
「デビュー10周年」とありますが、デビューはいつですか
デビュー作『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』は2017年8月に新潮社から出ています。本作の刊行は2026年10月なので経過は9年2か月で、版元の「10周年」は10年目という数え方です。
町田そのこを初めて読みます。どれから読むべきですか
本作から読めます。代表作から入りたいなら『52ヘルツのクジラたち』(2021年本屋大賞受賞・孤独と再生の物語)、連作短編の読み心地を味わいたいなら『コンビニ兄弟』(門司港のコンビニが舞台)が入口です。
読了時間はどれくらいですか
352ページなので、通しで6〜7時間が目安です。
まとめ|赤と青の二人が、15年後に初恋をしまう
- 『初恋をしまう日』は2026年10月21日・講談社・2,255円(税込)・四六変型判352ページ
- 兄の犯罪で故郷を追われた茜(あかね)と、苛烈な父親を持つ碧生(あお)
- 惹かれ合うが「現実を変えるにはあまりに幼く無力だった」
- 15年の時が経ち、新天地で暮らす二人に過去と向き合うときが来る
- 冒頭に引かれるのは「ひとと生きるのは、辛いことよ」と言って渡されたお揃いのリング
- ★題名の動詞は「しまう」。捨てるのではなく所定の場所に収めるという形
- ★二人の名前が「茜(赤)」と「碧生(青)」で色の対になっている
- 版元は「デビュー10周年」と掲げる(デビュー作は2017年8月・新潮社)
「ひとと生きるのは、辛いことよ」と言いながら指輪を渡した人がいて、それを15年しまっていた人がいる。本作が決めるのは初恋が実るかどうかではなく、それをどこに置くかです。



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