『松島・蔵王殺人事件〈新装版〉』は、西村京太郎の十津川警部シリーズの長編で、2026年10月9日に徳間文庫から出ます。304ページ・913円(税込)。亀井刑事の初恋の女性に魔の手が迫るという筋立てです。ただし本作は新作ではありません。1994年の初版から数えて5つ目の版で、途中には講談社文庫版と、まったく別の書名で出た県別選集版があります。この記事では、5つの版を全部並べて、どれを買えばいいかを一次資料で整理します。
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※本記事は発売前に公表された情報にもとづいています。
- 2026年10月9日・徳間文庫・304ページ・913円(税込)
- 1994年の初版から5つ目の版
- 十津川警部と亀井刑事が松島・奥松島へ
松島・蔵王殺人事件 新装版とは|徳間文庫の304ページ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 西村京太郎 |
| 版元・レーベル | 徳間書店・徳間文庫 |
| 発売日 | 2026年10月9日 |
| 判型・頁 | A6判・304ページ |
| 価格 | 913円(税込・本体830円) |
| ISBN | 978-4-19-895159-7 |
| Cコード | C0193(一般・文庫・日本文学、小説・物語) |
| 構成 | 全8章 |
出典:版元ドットコム(徳間書店登録データ)、国立国会図書館サーチ(2026年10月3日時点)
🔴 この作品には5つの版がある|版元2社・書名違いの選集あり

〈新装版〉という表記だけでは、何度目の版なのか分かりません。国立国会図書館サーチとネット書店の登録情報を突き合わせると、本作は5つ目の版です。
| # | 刊行 | 版元・レーベル | 書名 | ページ | ISBN |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 1994年7月 | 徳間書店・トクマ・ノベルズ | 松島・蔵王殺人事件 :長編トラベル・ミステリー | 206ページ | 4-19-850104-1 |
| 2 | 1997年7月1日 | 徳間書店・徳間文庫(に1-30) | 松島・蔵王殺人事件 | 263ページ | 4-19-890721-8 |
| 3 | 2003年2月1日 | 講談社・講談社文庫(に1-76) | 松島・蔵王殺人事件 | 293ページ | 4-06-273678-0 |
| 4 | 2012年3月23日 | 徳間書店・TOKUMA NOVELS | 十津川警部 日本縦断長篇ベスト選集 17[宮城] | 288ページ | 4-19-850911-5 |
| 5 | 2026年10月9日 | 徳間書店・徳間文庫〈新装版〉 | 松島・蔵王殺人事件 〈新装版〉 | 304ページ | 978-4-19-895159-7 |
出典:国立国会図書館サーチ、版元ドットコム、各版のネット書店登録情報(2026年10月3日時点)
この表から3つのことが分かります。
① 副題「長編トラベル・ミステリー」は1997年の文庫化で消えている
初版(1994年のトクマ・ノベルズ)には「長編トラベル・ミステリー」という副題が付いていました。これが1997年の徳間文庫化で落ちています。
古書で「松島・蔵王殺人事件:長編トラベル・ミステリー」を見かけたら、それは1994年のノベルズ版です。中身は同じ作品です。
② 2003年には講談社文庫から出ている(版元またぎ)
2003年2月の版は講談社文庫です。徳間書店で出た作品が、別の版元の文庫になっているわけです。「に1-76」という講談社文庫の著者番号が付いているので、講談社も西村京太郎作品を多数文庫化していたことが分かります。
古書で講談社文庫版が安く出ていることがありますが、本編は同じ作品です。
③ 2012年版は、書名がまったく違う
4つ目の版は、書名が『十津川警部 日本縦断長篇ベスト選集 17[宮城]』です。県別のベスト選集の第17巻(宮城県)として、本作が丸ごと入っています。
書名で検索しても出てこない版なので、既に持っているかどうかの確認がいちばん難しいのがこの版です。[宮城]という県名の角書きが目印です。
結論|どの版を買うべきか
| あなたの状況 | おすすめ |
|---|---|
| 初めて読む | 本作(2026年の徳間文庫新装版・913円)。いま新刊で買える唯一の版 |
| 1997年の徳間文庫を持っている | 買い直す必要はありません。本編は同じ |
| 2003年の講談社文庫を持っている | 同じく不要 |
| 2012年の『日本縦断長篇ベスト選集 17[宮城]』を持っている | 同じく不要。書名が違うので気づきにくい点に注意 |
| 版を揃えて集めている | 新装版はカバーが新しくなります |
〈新装版〉で本編が書き換わることは通常ありません。版元も内容紹介・章立てを過去の版から変えていません。新装版の価値は、いま新刊で手に入る唯一の版であることと、カバーの刷新です。
松島・蔵王殺人事件のあらすじ|実在しない区議の名刺から

上野公園で、架空の名刺を持った男の毒殺死体が見つかる
上野公園で身元不明の男の毒殺死体が発見されます。世田谷区議の名刺を所持していましたが、実在しませんでした。
翌日、多摩川の絞殺死体からも架空の名刺が出る
続けて翌日、多摩川で見つかった女性の絞殺死体からも架空の名刺が現われます。
印刷屋の証言は「依頼人に東北訛りがあった」
十津川警部は印刷屋から、依頼人に東北訛りがあったとの情報を得、新聞記事を出します。
松島の小笠原ゆきからの問い合わせ、そして失踪
宮城県松島の小笠原ゆきから、被害者は自分の叔母ではないかとの問い合わせがあり、十津川と亀井刑事は現地へ向かいます。だが、ゆきは姿を消していました。
亀井が頼ったのは、高校時代の憧れの同級生
亀井は高校時代の憧れの同級生、奥寺綾子に聞き込みを依頼しますが、彼女も行方不明になってしまいます……。
出典:版元ドットコム(徳間書店登録データ)の内容紹介(2026年10月3日時点)
版元の惹句は「亀井刑事の初恋の女性に魔の手が迫る! 十津川と亀井を待ち受ける驚愕の真相!」です。
全8章の章題
| 章 | 章題 |
|---|---|
| 第一章 | 身元不明 |
| 第二章 | 再会 |
| 第三章 | 奥松島 |
| 第四章 | わずかな手掛り |
| 第五章 | 写真の中に |
| 第六章 | 雷雨の中で |
| 第七章 | 死者への花束 |
| 第八章 | 終局への一週間 |
出典:版元ドットコム(徳間書店登録データ)(2026年10月3日時点)
第二章が「再会」、第三章が「奥松島」です。章題の並びから、東京で始まった事件が第三章で宮城へ移る構成だと読み取れます。第八章「終局への一週間」という題は、終盤に期限が設定されることを示しています。
松島・蔵王殺人事件の3つの読みどころ

1. 亀井刑事が主役側に立つ回である
十津川警部シリーズでは、亀井刑事は十津川の相棒です。本作は亀井の高校時代の憧れの同級生が事件に巻き込まれるため、亀井の個人的な過去が捜査に入ってきます。
版元が惹句で「亀井刑事の初恋の女性」を前に出しているのは、そこが売りだからです。シリーズを長く読んできた人向けの回でもあります。
2. 手がかりが「存在しない名刺」である
本作の起点は、実在しない世田谷区議の名刺です。2つの死体から、同じ印刷屋で作られた架空の名刺が出てきます。
身元を隠すために名刺を持たせるのではなく、偽の身元を与えるために名刺を作るという方向です。印刷屋という「誰かが発注した痕跡が残る場所」が捜査の入口になり、そこから東北訛りという一点に絞られていきます。
3. 舞台が松島・奥松島・蔵王と動く
書名に松島と蔵王の2つの地名が入っています。宮城県内でも、松島は海(日本三景)、蔵王は山(県境の連峰)で、性質がまったく違う土地です。
| 地名 | 性質 | 章題での登場 |
|---|---|---|
| 松島 | 海・日本三景 | (舞台) |
| 奥松島 | 松島の東側の島群 | 第三章の章題 |
| 蔵王 | 山・宮城と山形の県境 | (書名) |
章題に出てくるのは「奥松島」で、観光地としての松島そのものではなく、その奥が使われています。人が消えるのに向いた場所の選び方です。
西村京太郎について|生涯の著書は649作
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 生年・出身 | 1930年・東京都品川区 |
| 没年 | 2022年(惜しまれつつ逝去) |
| 受賞 | 江戸川乱歩賞、日本推理作家協会賞、日本ミステリー文学大賞、吉川英治文庫大賞ほか |
| 著書 | 649作 |
出典:版元ドットコム(徳間書店登録データ)の著者プロフィール(2026年10月3日時点)
649作という著作数のため、同じ作品が複数の版元・複数のレーベル・複数の選集に入ることが頻繁に起きます。本作の5版はその典型例です。
松島・蔵王殺人事件 新装版に関するよくある質問
新装版で中身は変わりますか
本編は変わりません。版元の内容紹介と全8章の章立ては、過去の版から変わっていません。新装版の変更点はカバーです。新規収録物の有無は、2026年10月3日時点で公表されていません。
すでに文庫を持っています。買い直す必要はありますか
ありません。1997年の徳間文庫、2003年の講談社文庫、2012年の『日本縦断長篇ベスト選集 17[宮城]』のいずれかを持っているなら、本編は同じです。
何度目の文庫化ですか
文庫としては3種類目です。1997年の徳間文庫、2003年の講談社文庫に続き、本作が徳間文庫の新装版です。版の総数では5つ目になります。
書名が違う版があると聞きました
2012年3月23日に『十津川警部 日本縦断長篇ベスト選集 17[宮城]』(TOKUMA NOVELS・288ページ)として刊行された版があります。書名に「松島・蔵王殺人事件」が入っていないので、書名で検索しても出てきません。持っているかどうかを確認するには、[宮城]という角書きを目印にしてください。
初版はいつですか
1994年7月、徳間書店のトクマ・ノベルズです。このときの書名は『松島・蔵王殺人事件:長編トラベル・ミステリー』で、副題が付いていました。
十津川警部シリーズの何作目ですか
シリーズに公式な通し番号はありません。著者の著作は649作あり、十津川警部シリーズも長期にわたって書かれたため、巻数で管理されていません。各作品は独立して読めます。
どの作品から読み始めるべきですか
シリーズは1作ごとに独立しているので、本作から読んでも問題ありません。代表作から入りたいなら『寝台特急殺人事件』、受賞作から入りたいなら『終着駅殺人事件』(第34回日本推理作家協会賞)が入口に向きます。
読了時間はどれくらいですか
304ページの長編1本なので、通しで4〜5時間が目安です。
まとめ|5つ目の版で、新刊で買える唯一の版になる
- 『松島・蔵王殺人事件〈新装版〉』は2026年10月9日・徳間文庫・304ページ・913円(税込)
- 本作は1994年の初版から5つ目の版。版元は徳間書店と講談社の2社にまたがる
- 副題「長編トラベル・ミステリー」は1997年の文庫化で消えている
- 2012年版は『十津川警部 日本縦断長篇ベスト選集 17[宮城]』という別の書名で出ている
- 既に文庫を持っている人は買い直す必要なし。本編は同じ
- 架空の世田谷区議の名刺から始まり、亀井刑事の高校時代の憧れの同級生が巻き込まれる
新装版の価値は、いま新刊で手に入る唯一の版であることです。初めて読むなら本作、既に持っているなら見送りが結論です。




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