『この君なくば』は、葉室麟の長編時代小説で、2026年12月2日に文春文庫から出ます。304ページ・990円(税込・本体900円)・文庫判。
先に、検索して来た方がつまずきやすい点を3つ書きます。
ひとつ目。新作ではありません。 葉室麟は2017年に亡くなっています。本作は2010年代に朝日新聞出版から出た作品で、今回出るのは文春文庫版です。
ふたつ目。文庫化も初めてではありません。 この作品はすでに朝日文庫に入っていました。つまり今回は「別の版元の文庫へ移る」再文庫化です。同じ作品の文庫が2種類存在することになります。
みっつ目。朝日文庫版と比べると値段が上がります。 朝日文庫は298ページで620円、文春文庫は304ページで本体900円です。ページ数はほぼ同じで、本体価格は45%上がります。
※本ページはアフィリエイトリンクを含みます。
※本記事は発売前に公表された情報にもとづいています。
- 2026年12月2日・文春文庫・304ページ・990円(税込・本体900円)
- 朝日新聞出版の単行本・朝日文庫を経た、5つめの版
- 幕末の九州・日向の伍代藩を舞台にした長編時代小説
この君なくばとは|文春文庫から出る葉室麟の長編時代小説

まず文春文庫版の書誌を押さえます。判型・ページ数・価格・ISBNは版元と版元ドットコムの双方で確認できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 著者 | 葉室麟 |
| 版元 | 文藝春秋(文春文庫) |
| 発売日 | 2026年12月2日 |
| 初版奥付日 | 2026年12月10日 |
| 判型 | 文庫判 |
| ページ | 304ページ |
| 価格 | 990円(税込・本体900円) |
| ISBN | 978-4-16-792597-0 |
| Cコード | 0193 |
| ジャンル(版元分類) | 歴史・時代小説 |
出典:文藝春秋BOOKS『この君なくば』/版元ドットコム(2026年10月14日時点)
発売日と初版奥付日が8日ずれている
| 日付 | |
|---|---|
| 発売日 | 2026年12月2日 |
| 初版奥付日 | 2026年12月10日 |
出典:文藝春秋BOOKS『この君なくば』(2026年10月14日時点)
→ 書店に並ぶ日と、奥付に入る日が8日ずれています。 本を開いて最初に見る日付は「2026年12月10日」になる見込みです。検索で「12月10日発売」と出てきた場合は、この奥付日を指していることがあります。
文藝春秋の自社ページは「定価:未定」のまま
2026年10月14日時点で、文藝春秋の商品ページは価格欄が「定価:未定」です。いっぽう版元ドットコムの同じISBNのレコードには「900円+税」が入っています。
| 情報源 | 価格の記載 |
|---|---|
| 文藝春秋BOOKS | 定価:未定 |
| 版元ドットコム(JPRO) | 900円+税 |
出典:文藝春秋BOOKS『この君なくば』/版元ドットコム(2026年10月14日時点)
→ 取次に流す書誌(JPRO)には価格が入っているのに、自社サイトにはまだ反映されていません。 本記事では版元ドットコムの900円(税込990円)を採りますが、発売日が近づいたら文藝春秋のページで確定値を見てください。
Cコードの「0193」は一般向けの文庫・日本文学
Cコードは4桁で、販売対象・発行形態・内容を表す数字です。本作は0193。
| 桁 | 値 | 意味 |
|---|---|---|
| 1桁目 | 0 | 一般向け |
| 2桁目 | 1 | 文庫 |
| 3〜4桁目 | 93 | 日本文学・小説 |
出典:文藝春秋BOOKS『この君なくば』(2026年10月14日時点)
→ 版元の登録上も「小説」です。随筆や評論ではありません。
この君なくばは5つめの版|朝日新聞出版から文春文庫までの刊行史

ここが本作のいちばんの特徴です。『この君なくば』は、今回の文春文庫で「5つめの版」になります。
単行本・朝日文庫・大活字版2冊・文春文庫で5つ
| 版 | 版元 | ページ | 価格 | ISBN |
|---|---|---|---|---|
| 単行本 | 朝日新聞出版 | 259ページ(20cm) | 1,600円 | 978-4-02-251014-3 |
| 朝日文庫 | 朝日新聞出版 | 298ページ(15cm) | 620円 | 978-4-02-264794-8 |
| 大活字版 上 | 埼玉福祉会 | 288ページ(21cm) | 3,000円 | 978-4-86596-665-7 |
| 大活字版 下 | 埼玉福祉会 | 250ページ(21cm) | 2,800円 | 978-4-86596-666-4 |
| 文春文庫 | 文藝春秋 | 304ページ | 本体900円 | 978-4-16-792597-0 |
出典:国立国会図書館サーチ(dcndl/2026年10月14日時点)・版元ドットコム
→ 1つの作品に、版元をまたいで5つの版があります。 朝日新聞出版で単行本と文庫、埼玉福祉会で大活字版が上下2冊、そして文藝春秋で文庫という並びです。
朝日文庫298ページ620円と、文春文庫304ページ本体900円
同じ作品の文庫同士を比べます。
| 朝日文庫 | 文春文庫 | |
|---|---|---|
| 版元 | 朝日新聞出版 | 文藝春秋 |
| ページ | 298ページ | 304ページ |
| 価格 | 620円 | 本体900円 |
出典:国立国会図書館サーチ/版元ドットコム(2026年10月14日時点)
→ ページ数の差は6ページです。本体価格では620円から900円へ、280円(45%)上がります。 なお朝日文庫の620円は刊行当時の価格で、消費税率も当時と今では違います。「同じ中身がこれだけ高くなった」と単純に言えるものではありませんが、手に取るときの値段は変わります。
大活字版は上下2冊に分かれている
| ページ | 価格 | |
|---|---|---|
| 上 | 288ページ | 3,000円 |
| 下 | 250ページ | 2,800円 |
| 合計 | 538ページ | 5,800円 |
出典:国立国会図書館サーチ(2026年10月14日時点)
→ 大活字版は埼玉福祉会から上下2冊で出ています。合計538ページで、文庫1冊(304ページ)の約1.8倍です。文字を大きくすると、同じ本が2冊に分かれます。
著者は2017年に亡くなっている
国立国会図書館の著者典拠は「葉室, 麟, 1951-2017」です。
出典:国立国会図書館サーチ(著者典拠/2026年10月14日時点)
→ 本作は新しく書かれた小説ではありません。 既刊を文春文庫で出し直すものです。葉室麟の遺作や絶筆を含む全体像は葉室麟のおすすめ代表作・遺作ガイドにまとめています。
この君なくばの初出|「小説トリッパー」の連載5回

初出は朝日新聞出版の小説誌「小説トリッパー」です。国立国会図書館の雑誌記事索引に、連載の各回が掲載ページつきで残っています。
新連載から最終回まで5回分が記事索引に残っている
| 回 | 掲載ページ |
|---|---|
| 新連載 | 120〜135ページ |
| 第2回 | 244〜273ページ |
| 第3回 | 274〜304ページ |
| 第4回 | 190〜205ページ |
| 最終回 | 70〜103ページ |
出典:国立国会図書館サーチ(雑誌記事索引/dcndl・2026年10月14日時点)
→ 「新連載」と明記された回から「最終回」まで、5回分が確認できます。 索引上の発行年は2011年から2012年にかかっています。版元の商品ページには連載の回数も期間も書かれていないので、ここは図書館側のデータでしか追えません。
1回あたりの分量は16ページから34ページまで振れる
| 回 | ページ数 |
|---|---|
| 新連載 | 16ページ |
| 第2回 | 30ページ |
| 第3回 | 31ページ |
| 第4回 | 16ページ |
| 最終回 | 34ページ |
出典:国立国会図書館サーチ(雑誌記事索引より算出/2026年10月14日時点)
→ 最も短い回が16ページ、最も長い回が34ページで、倍以上の開きがあります。 毎回同じ量ではなく、終盤にいくほど長くなる構成でした。なお第2回(244〜273)と第3回(274〜304)はページが連続していますが、索引には掲載号が別に立っているため、同じ号に2回分載ったのかどうかは、この索引だけでは確定できません。
この君なくばのあらすじと登場人物|幕末の伍代藩

舞台は九州・日向の伍代藩
朝日新聞出版版の内容紹介が、文春文庫版よりも詳しく人物と背景を書いています。
勤皇佐幕で揺れ動く九州・日向の伍代藩-。軽格の家に生まれた楠瀬譲は、恩師・桧垣鉄斎の娘・栞と互いに惹かれあう仲であった。蘭学に秀でた譲は、藩主・忠継の密命で京の政情を探ることとなる。やがて栞の前には譲に想いを寄せる気丈な娘・五十鈴が現れるが-。激動の幕末維新を背景に、懸命に生きる男女の清冽な想いを描く傑作長篇時代小説。
出典:版元ドットコム『この君なくば』(朝日新聞出版)(2026年10月14日時点)
→ 「勤皇佐幕で揺れ動く」=藩の中で尊王と幕府支持が割れているという設定です。架空の藩「伍代藩」が日向(現在の宮崎県)に置かれています。
主な登場人物は3人
| 人物 | |
|---|---|
| 楠瀬譲(くすのせ ゆずる) | 伍代藩士。軽格(下級)の家に生まれる。蘭学に秀でる |
| 栞(しおり) | 譲の恩師・桧垣鉄斎の娘。譲と惹かれあう仲 |
| 五十鈴(いすず) | 譲に想いを寄せる気丈な娘 |
| 譲に密命を与える人 | 藩主・忠継 |
出典:版元ドットコム『この君なくば』(朝日新聞出版)(2026年10月14日時点)
→ 譲・栞・五十鈴の3人が軸です。譲は藩主の密命で京へ行くので、藩の中の話と、京の政情の話が交互に進む形になります。
文春文庫版の惹句は「己の思いに忠実に生きた清冽な男女たち」
己の思いに忠実に生きた清冽な男女たち
激動の幕末維新を背景に、高潔な志を持つ伍代藩士の楠瀬譲と彼を密かに慕い続ける栞、自由奔放に生きる五十鈴、それぞれの姿を描く。
出典:文藝春秋BOOKS『この君なくば』(2026年10月14日時点)
→ 文春文庫版は、朝日新聞出版版より短い紹介です。ただし人物の書き分けが加わっています。栞は「密かに慕い続ける」、五十鈴は「自由奔放に生きる」と、2人の対比が明示されています。
この君なくばの3つの読みどころ
1. 題名が作中の心情をそのまま言っている
「この君なくば」は「あなたがいなければ」という意味です。版元が「己の思いに忠実に生きた」と書いているとおり、題名そのものが主題の宣言になっています。葉室麟の『蜩ノ記』や『銀漢の賦』と同じく、武士の立場と個人の思いがぶつかる形です。
2. 架空の藩を立てて幕末を描いている
伍代藩は架空の藩です。実在の藩を使わないことで、勤皇と佐幕の対立を人物の側から書ける形になっています。実在の事件を追う幕末小説(『燃えよ剣』など)とは入口が違います。
3. 2人の女性の描き方が対照的
版元の紹介が「密かに慕い続ける栞」と「自由奔放に生きる五十鈴」と書き分けています。同じ男性に向かう2人を、正反対の性格で置く構成です。朝日新聞出版版の紹介では五十鈴を「気丈な娘」としており、版によって言い方が変わります。
- 304ページ・990円(税込・本体900円)・文庫判
- 版元分類は「歴史・時代小説」、Cコードは0193
- 初出は朝日新聞出版「小説トリッパー」の連載5回
この君なくばに関するよくある質問
この君なくばはいつ発売ですか
2026年12月2日です。文春文庫から出ます。初版の奥付日は2026年12月10日なので、奥付を見ると12月10日になります。
新作ですか
いいえ。 葉室麟は2017年に亡くなっています(国立国会図書館の著者典拠は「1951-2017」)。本作は朝日新聞出版から出ていた既刊を、文春文庫で出し直すものです。
朝日文庫版を持っています。買い直す必要はありますか
本文が増補されたという発表はありません。 朝日文庫は298ページ、文春文庫は304ページで、6ページ差です。文春文庫版に解説が付くかどうかは、2026年10月14日時点で版元ページに記載がありません。 お持ちなら、まず版元ページで解説の有無を確認してからで十分です。
なぜ別の出版社の文庫から出るのですか
版元はその理由を公表していません。 分かっているのは、単行本と文庫が朝日新聞出版から出ていた作品が、今回は文藝春秋の文庫として出るという事実だけです。
価格はいくらですか
版元ドットコムでは本体900円(税込990円)です。ただし文藝春秋の自社ページは2026年10月14日時点で「定価:未定」のままです。確定値は発売が近づいてから版元ページで確認してください。
何ページ、何時間で読めますか
304ページなので、4〜5時間が目安です。長編時代小説1本です。
大活字版はどこが違うのですか
埼玉福祉会から上下2冊で出ています。上288ページ・3,000円、下250ページ・2,800円で、合計538ページ・5,800円です。文字が大きいぶん、冊数とページ数が増えます。
初出はどこですか
朝日新聞出版の小説誌「小説トリッパー」です。国立国会図書館の雑誌記事索引に、新連載から最終回まで5回分が残っています。版元の商品ページには連載情報の記載がありません。
シリーズものですか
単独の長編です。シリーズには属していません。
葉室麟は初めてです。これから読んでいいですか
単独の長編なので、ここから読めます。 ただし代表作から入るなら『蜩ノ記』(直木賞受賞)が定番です。『銀漢の賦』『霖雨』も当サイトで扱っています。全体像は葉室麟のおすすめ代表作・遺作ガイドにまとめています。
まとめ|同じ作品が、版元を移って5つめの文庫になる
- 『この君なくば』は2026年12月2日・文春文庫・304ページ・990円(税込・本体900円)・文庫判
- ★新作ではない=葉室麟は2017年没(国立国会図書館の著者典拠は「1951-2017」)
- ★文庫化も初めてではない=すでに朝日文庫に入っていた作品で、今回は別の版元の文庫へ移る再文庫化
- ★版は今回で5つめ=朝日新聞出版の単行本(259ページ・1,600円)/朝日文庫(298ページ・620円)/埼玉福祉会の大活字版 上下2冊(288+250ページ・3,000+2,800円)/文春文庫(304ページ・本体900円)
- ★文庫同士を比べるとページ差は6ページ、本体価格は620円→900円。ただし620円は刊行当時の価格で、消費税率も当時と今では違う
- ★発売日(12月2日)と初版奥付日(12月10日)が8日ずれている
- ★文藝春秋の自社ページは「定価:未定」のままで、版元ドットコムには900円+税が入っている
- ★初出は朝日新聞出版「小説トリッパー」の連載5回=新連載120〜135/第2回244〜273/第3回274〜304/第4回190〜205/最終回70〜103ページ。1回16〜34ページで倍以上振れる
- 舞台は勤皇佐幕で揺れる九州・日向の架空の藩「伍代藩」。軽格の家の楠瀬譲、恩師の娘・栞、気丈な五十鈴の3人が軸
- 譲は蘭学に秀で、藩主・忠継の密命で京の政情を探る
- 版元分類は「歴史・時代小説」、Cコードは0193(一般向け・文庫・日本文学)
同じ小説が、版元を移りながら5つめの版になります。 文庫で読むなら、いま新刊で買えるのは文春文庫版です。



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