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この君なくば 葉室麟 レビュー|朝日文庫から文春文庫へ移る再文庫化・5つめの版【2026年最新】

2026 10/14
ジャンル別 歴史時代 新刊レーダー
2026年10月14日
この君なくば 葉室麟のレビュー記事アイキャッチ画像

『この君なくば』は、葉室麟の長編時代小説で、2026年12月2日に文春文庫から出ます。304ページ・990円(税込・本体900円)・文庫判。

先に、検索して来た方がつまずきやすい点を3つ書きます。

ひとつ目。新作ではありません。 葉室麟は2017年に亡くなっています。本作は2010年代に朝日新聞出版から出た作品で、今回出るのは文春文庫版です。

ふたつ目。文庫化も初めてではありません。 この作品はすでに朝日文庫に入っていました。つまり今回は「別の版元の文庫へ移る」再文庫化です。同じ作品の文庫が2種類存在することになります。

みっつ目。朝日文庫版と比べると値段が上がります。 朝日文庫は298ページで620円、文春文庫は304ページで本体900円です。ページ数はほぼ同じで、本体価格は45%上がります。

※本ページはアフィリエイトリンクを含みます。

※本記事は発売前に公表された情報にもとづいています。

『この君なくば』をAmazonでチェック
  • 2026年12月2日・文春文庫・304ページ・990円(税込・本体900円)
  • 朝日新聞出版の単行本・朝日文庫を経た、5つめの版
  • 幕末の九州・日向の伍代藩を舞台にした長編時代小説

Amazonでこの君なくばを見る →

目次

この君なくばとは|文春文庫から出る葉室麟の長編時代小説

この君なくば文春文庫版の書誌と、発売日と初版奥付日が8日ずれていることを示した図

まず文春文庫版の書誌を押さえます。判型・ページ数・価格・ISBNは版元と版元ドットコムの双方で確認できます。

項目 内容
著者 葉室麟
版元 文藝春秋(文春文庫)
発売日 2026年12月2日
初版奥付日 2026年12月10日
判型 文庫判
ページ 304ページ
価格 990円(税込・本体900円)
ISBN 978-4-16-792597-0
Cコード 0193
ジャンル(版元分類) 歴史・時代小説

出典:文藝春秋BOOKS『この君なくば』/版元ドットコム(2026年10月14日時点)

発売日と初版奥付日が8日ずれている

日付
発売日 2026年12月2日
初版奥付日 2026年12月10日

出典:文藝春秋BOOKS『この君なくば』(2026年10月14日時点)

→ 書店に並ぶ日と、奥付に入る日が8日ずれています。 本を開いて最初に見る日付は「2026年12月10日」になる見込みです。検索で「12月10日発売」と出てきた場合は、この奥付日を指していることがあります。

文藝春秋の自社ページは「定価:未定」のまま

2026年10月14日時点で、文藝春秋の商品ページは価格欄が「定価:未定」です。いっぽう版元ドットコムの同じISBNのレコードには「900円+税」が入っています。

情報源 価格の記載
文藝春秋BOOKS 定価:未定
版元ドットコム(JPRO) 900円+税

出典:文藝春秋BOOKS『この君なくば』/版元ドットコム(2026年10月14日時点)

→ 取次に流す書誌(JPRO)には価格が入っているのに、自社サイトにはまだ反映されていません。 本記事では版元ドットコムの900円(税込990円)を採りますが、発売日が近づいたら文藝春秋のページで確定値を見てください。

Cコードの「0193」は一般向けの文庫・日本文学

Cコードは4桁で、販売対象・発行形態・内容を表す数字です。本作は0193。

桁 値 意味
1桁目 0 一般向け
2桁目 1 文庫
3〜4桁目 93 日本文学・小説

出典:文藝春秋BOOKS『この君なくば』(2026年10月14日時点)

→ 版元の登録上も「小説」です。随筆や評論ではありません。

この君なくば
BOOK

この君なくば

葉室麟|文春文庫

Amazonで見る →

この君なくばは5つめの版|朝日新聞出版から文春文庫までの刊行史

この君なくばの朝日文庫版と文春文庫版のページ数と価格を比べた図

ここが本作のいちばんの特徴です。『この君なくば』は、今回の文春文庫で「5つめの版」になります。

単行本・朝日文庫・大活字版2冊・文春文庫で5つ

版 版元 ページ 価格 ISBN
単行本 朝日新聞出版 259ページ(20cm) 1,600円 978-4-02-251014-3
朝日文庫 朝日新聞出版 298ページ(15cm) 620円 978-4-02-264794-8
大活字版 上 埼玉福祉会 288ページ(21cm) 3,000円 978-4-86596-665-7
大活字版 下 埼玉福祉会 250ページ(21cm) 2,800円 978-4-86596-666-4
文春文庫 文藝春秋 304ページ 本体900円 978-4-16-792597-0

出典:国立国会図書館サーチ(dcndl/2026年10月14日時点)・版元ドットコム

→ 1つの作品に、版元をまたいで5つの版があります。 朝日新聞出版で単行本と文庫、埼玉福祉会で大活字版が上下2冊、そして文藝春秋で文庫という並びです。

朝日文庫298ページ620円と、文春文庫304ページ本体900円

同じ作品の文庫同士を比べます。

朝日文庫 文春文庫
版元 朝日新聞出版 文藝春秋
ページ 298ページ 304ページ
価格 620円 本体900円

出典:国立国会図書館サーチ/版元ドットコム(2026年10月14日時点)

→ ページ数の差は6ページです。本体価格では620円から900円へ、280円(45%)上がります。 なお朝日文庫の620円は刊行当時の価格で、消費税率も当時と今では違います。「同じ中身がこれだけ高くなった」と単純に言えるものではありませんが、手に取るときの値段は変わります。

大活字版は上下2冊に分かれている

ページ 価格
上 288ページ 3,000円
下 250ページ 2,800円
合計 538ページ 5,800円

出典:国立国会図書館サーチ(2026年10月14日時点)

→ 大活字版は埼玉福祉会から上下2冊で出ています。合計538ページで、文庫1冊(304ページ)の約1.8倍です。文字を大きくすると、同じ本が2冊に分かれます。

著者は2017年に亡くなっている

国立国会図書館の著者典拠は「葉室, 麟, 1951-2017」です。

出典:国立国会図書館サーチ(著者典拠/2026年10月14日時点)

→ 本作は新しく書かれた小説ではありません。 既刊を文春文庫で出し直すものです。葉室麟の遺作や絶筆を含む全体像は葉室麟のおすすめ代表作・遺作ガイドにまとめています。

この君なくばの初出|「小説トリッパー」の連載5回

この君なくばが朝日新聞出版の単行本から朝日文庫、大活字版を経て文春文庫に至る流れを示した図

初出は朝日新聞出版の小説誌「小説トリッパー」です。国立国会図書館の雑誌記事索引に、連載の各回が掲載ページつきで残っています。

新連載から最終回まで5回分が記事索引に残っている

回 掲載ページ
新連載 120〜135ページ
第2回 244〜273ページ
第3回 274〜304ページ
第4回 190〜205ページ
最終回 70〜103ページ

出典:国立国会図書館サーチ(雑誌記事索引/dcndl・2026年10月14日時点)

→ 「新連載」と明記された回から「最終回」まで、5回分が確認できます。 索引上の発行年は2011年から2012年にかかっています。版元の商品ページには連載の回数も期間も書かれていないので、ここは図書館側のデータでしか追えません。

1回あたりの分量は16ページから34ページまで振れる

回 ページ数
新連載 16ページ
第2回 30ページ
第3回 31ページ
第4回 16ページ
最終回 34ページ

出典:国立国会図書館サーチ(雑誌記事索引より算出/2026年10月14日時点)

→ 最も短い回が16ページ、最も長い回が34ページで、倍以上の開きがあります。 毎回同じ量ではなく、終盤にいくほど長くなる構成でした。なお第2回(244〜273)と第3回(274〜304)はページが連続していますが、索引には掲載号が別に立っているため、同じ号に2回分載ったのかどうかは、この索引だけでは確定できません。

この君なくばのあらすじと登場人物|幕末の伍代藩

この君なくばについて版元が公開していることと記載がないことを並べた図

舞台は九州・日向の伍代藩

朝日新聞出版版の内容紹介が、文春文庫版よりも詳しく人物と背景を書いています。

勤皇佐幕で揺れ動く九州・日向の伍代藩-。軽格の家に生まれた楠瀬譲は、恩師・桧垣鉄斎の娘・栞と互いに惹かれあう仲であった。蘭学に秀でた譲は、藩主・忠継の密命で京の政情を探ることとなる。やがて栞の前には譲に想いを寄せる気丈な娘・五十鈴が現れるが-。激動の幕末維新を背景に、懸命に生きる男女の清冽な想いを描く傑作長篇時代小説。

出典:版元ドットコム『この君なくば』(朝日新聞出版)(2026年10月14日時点)

→ 「勤皇佐幕で揺れ動く」=藩の中で尊王と幕府支持が割れているという設定です。架空の藩「伍代藩」が日向(現在の宮崎県)に置かれています。

主な登場人物は3人

人物
楠瀬譲(くすのせ ゆずる) 伍代藩士。軽格(下級)の家に生まれる。蘭学に秀でる
栞(しおり) 譲の恩師・桧垣鉄斎の娘。譲と惹かれあう仲
五十鈴(いすず) 譲に想いを寄せる気丈な娘
譲に密命を与える人 藩主・忠継

出典:版元ドットコム『この君なくば』(朝日新聞出版)(2026年10月14日時点)

→ 譲・栞・五十鈴の3人が軸です。譲は藩主の密命で京へ行くので、藩の中の話と、京の政情の話が交互に進む形になります。

文春文庫版の惹句は「己の思いに忠実に生きた清冽な男女たち」

己の思いに忠実に生きた清冽な男女たち

激動の幕末維新を背景に、高潔な志を持つ伍代藩士の楠瀬譲と彼を密かに慕い続ける栞、自由奔放に生きる五十鈴、それぞれの姿を描く。

出典:文藝春秋BOOKS『この君なくば』(2026年10月14日時点)

→ 文春文庫版は、朝日新聞出版版より短い紹介です。ただし人物の書き分けが加わっています。栞は「密かに慕い続ける」、五十鈴は「自由奔放に生きる」と、2人の対比が明示されています。

この君なくばの3つの読みどころ

1. 題名が作中の心情をそのまま言っている

「この君なくば」は「あなたがいなければ」という意味です。版元が「己の思いに忠実に生きた」と書いているとおり、題名そのものが主題の宣言になっています。葉室麟の『蜩ノ記』や『銀漢の賦』と同じく、武士の立場と個人の思いがぶつかる形です。

2. 架空の藩を立てて幕末を描いている

伍代藩は架空の藩です。実在の藩を使わないことで、勤皇と佐幕の対立を人物の側から書ける形になっています。実在の事件を追う幕末小説(『燃えよ剣』など)とは入口が違います。

3. 2人の女性の描き方が対照的

版元の紹介が「密かに慕い続ける栞」と「自由奔放に生きる五十鈴」と書き分けています。同じ男性に向かう2人を、正反対の性格で置く構成です。朝日新聞出版版の紹介では五十鈴を「気丈な娘」としており、版によって言い方が変わります。

文春文庫版『この君なくば』
  • 304ページ・990円(税込・本体900円)・文庫判
  • 版元分類は「歴史・時代小説」、Cコードは0193
  • 初出は朝日新聞出版「小説トリッパー」の連載5回

Amazonでこの君なくばを見る →

この君なくばに関するよくある質問

この君なくばはいつ発売ですか

2026年12月2日です。文春文庫から出ます。初版の奥付日は2026年12月10日なので、奥付を見ると12月10日になります。

新作ですか

いいえ。 葉室麟は2017年に亡くなっています(国立国会図書館の著者典拠は「1951-2017」)。本作は朝日新聞出版から出ていた既刊を、文春文庫で出し直すものです。

朝日文庫版を持っています。買い直す必要はありますか

本文が増補されたという発表はありません。 朝日文庫は298ページ、文春文庫は304ページで、6ページ差です。文春文庫版に解説が付くかどうかは、2026年10月14日時点で版元ページに記載がありません。 お持ちなら、まず版元ページで解説の有無を確認してからで十分です。

なぜ別の出版社の文庫から出るのですか

版元はその理由を公表していません。 分かっているのは、単行本と文庫が朝日新聞出版から出ていた作品が、今回は文藝春秋の文庫として出るという事実だけです。

価格はいくらですか

版元ドットコムでは本体900円(税込990円)です。ただし文藝春秋の自社ページは2026年10月14日時点で「定価:未定」のままです。確定値は発売が近づいてから版元ページで確認してください。

何ページ、何時間で読めますか

304ページなので、4〜5時間が目安です。長編時代小説1本です。

大活字版はどこが違うのですか

埼玉福祉会から上下2冊で出ています。上288ページ・3,000円、下250ページ・2,800円で、合計538ページ・5,800円です。文字が大きいぶん、冊数とページ数が増えます。

初出はどこですか

朝日新聞出版の小説誌「小説トリッパー」です。国立国会図書館の雑誌記事索引に、新連載から最終回まで5回分が残っています。版元の商品ページには連載情報の記載がありません。

シリーズものですか

単独の長編です。シリーズには属していません。

葉室麟は初めてです。これから読んでいいですか

単独の長編なので、ここから読めます。 ただし代表作から入るなら『蜩ノ記』(直木賞受賞)が定番です。『銀漢の賦』『霖雨』も当サイトで扱っています。全体像は葉室麟のおすすめ代表作・遺作ガイドにまとめています。

まとめ|同じ作品が、版元を移って5つめの文庫になる

  • 『この君なくば』は2026年12月2日・文春文庫・304ページ・990円(税込・本体900円)・文庫判
  • ★新作ではない=葉室麟は2017年没(国立国会図書館の著者典拠は「1951-2017」)
  • ★文庫化も初めてではない=すでに朝日文庫に入っていた作品で、今回は別の版元の文庫へ移る再文庫化
  • ★版は今回で5つめ=朝日新聞出版の単行本(259ページ・1,600円)/朝日文庫(298ページ・620円)/埼玉福祉会の大活字版 上下2冊(288+250ページ・3,000+2,800円)/文春文庫(304ページ・本体900円)
  • ★文庫同士を比べるとページ差は6ページ、本体価格は620円→900円。ただし620円は刊行当時の価格で、消費税率も当時と今では違う
  • ★発売日(12月2日)と初版奥付日(12月10日)が8日ずれている
  • ★文藝春秋の自社ページは「定価:未定」のままで、版元ドットコムには900円+税が入っている
  • ★初出は朝日新聞出版「小説トリッパー」の連載5回=新連載120〜135/第2回244〜273/第3回274〜304/第4回190〜205/最終回70〜103ページ。1回16〜34ページで倍以上振れる
  • 舞台は勤皇佐幕で揺れる九州・日向の架空の藩「伍代藩」。軽格の家の楠瀬譲、恩師の娘・栞、気丈な五十鈴の3人が軸
  • 譲は蘭学に秀で、藩主・忠継の密命で京の政情を探る
  • 版元分類は「歴史・時代小説」、Cコードは0193(一般向け・文庫・日本文学)

同じ小説が、版元を移りながら5つめの版になります。 文庫で読むなら、いま新刊で買えるのは文春文庫版です。

この君なくば・葉室麟の読書ガイド

  • 【2026年最新】葉室麟のおすすめ代表作・遺作ガイド|蜩ノ記・銀漢の賦から絶筆まで完全網羅
  • 葉室麟のおすすめ小説 人気ランキングTOP10|初心者向けの1冊から名作まで
  • 蜩ノ記 葉室麟 レビュー|直木賞受賞の時代小説 あらすじ・読みどころ完全ガイド
  • 銀漢の賦 葉室麟 レビュー|幼なじみ3人が50年後に対峙する あらすじ・読みどころ完全ガイド
  • 霖雨 葉室麟 レビュー|咸宜園の広瀬淡窓と弟を描く あらすじ・読みどころ
  • 歴史時代小説おすすめ20選|戦国から江戸まで名作完全ガイド
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